ゴリラガラスの動物園

【ほぼ毎日ほぼ即興ほぼ頭からっぽ台本】
お題:ゴリラガラスの動物園
執筆時間:22分

舞台上には中央に円形の黒い台がある。その上に大きなガラス製のニワトリが置いてある。静かなピアノの音楽と共に幕が上がる。しばらくすると、舞台に男が一人現れる。男は簡素な服装で貧相な顔をしている。音楽はいつしか消えている。

男1 ホッ……。

男1はニワトリを見つめ、威嚇する。しかし、動く気配はない。

男1 ウホッ……。

男1は去る。舞台上にはまた別の男が現れる。

男2 ウホッ?

男2はニワトリを不思議そうに眺め、沈黙する。

男2 ウホウホ。

男2は去る。舞台上にはまた別の男が現れる。

男3 ウホぉーーーーーーーッッ!!!

男3は円形の台に掴みかかる。すると、ビリビリッという音がし、弾き飛ばされる。

男3 ウホン……。

男3は去る。少しばかりの沈黙の後、舞台上には小さな女の子が現れる。

女の子 ねぇねぇ、お母さん、見てみて! こっちこっち! ほら、ニワトリさんだよ。はやくこっちに来てよー!

お母さんは現れない。

女の子 お母さーん! お母さーん! ニワトリ、ニワトリだよ! しかも、ガラスで出来てる!

女の子は、手を伸ばそうとするが、身長が低くて届かない。

女の子 お母さーん! 届かないよー! 取ってー!

男1が現れる。

男1 ウホッ?
女の子 あ、おじさん! これ取りたいんだけど!
男1 ウホホ、ウホ。
女の子 かたぐるまして!
男1 ウホぉ!

男1は女の子の元へ駆け寄り、肩車をする。女の子は台の上に乗り、ニワトリを掴む。

女の子 やったー! ありがとう、オジサン!
男1 ウホォッ!

男1は女の子をぶん殴り、女の子は死ぬ。男1は笑いながらニワトリを取り上げる。舞台上に男2や男3も現れる。男1は警戒してニワトリを床に置く。

男2 ウホ?
男3 ウホーーーーーーー!

男3が男1に飛びかかる。取っ組み合いになる。男2も飛びかかり、大変な取っ組み合いになる。しばらくそうしていると、大人の女性が現れる。女の子の母親のようで、女の子の遺体を見て、呆然とする。

母親 あなたたちが、ころしたの。

男2と男3は離れ、男1を指さす。

母親 そう、あなた。
男1 ウホッ。
母親 へえ。
男1 ウホ……。

母親は脱ぎ始める。下着だけになる。女の子のところへ行き、女の子の顔を舐めまわす。

母親 かわいそうな、子……。大切にしていた心は、割れることもなく、その運命を奪われてしまったのね。じゅるりらじゅるり。蛇に噛まれたってわたしは死にはしないわ。でもね、あなたがそうやって処女のまま死んでいけることを、わたしは、少し羨ましくもあるのよ。どうしてかって聞かれると、あなたがいるっていうことは、わたしは処女ではないっていうことだからなのよ。その気持ちが分かるかしら。いえ、わたしにもわからないわ。おすわりなさい、ゴリラども。そのちんちんを振り回してピザを焼くといいわ。コスプレよりひどいったら。私の腰からナイフを取り出して。それで私を殺すのよ。あなたたちは動物だから、その身体の力でしか人を殺せない。でも、私のおかげであなたたちは、ナイフという道具で、私を殺せるの。嬉しいでしょ。なんてね。こんな言葉も伝わらないんだわ。

母親、ニワトリを取り、ナイフで割る。男たちは倒れる。母親は前を向く。

母親 さあもうじゅうぶんでしょ、犯してよ、あなた。そんなところで見ていないで、ね。

幕が下りる。

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