冷麺にマヨネーズ、それから新喜劇。
京都にいた頃のある夏、コンビニで冷麺(冷やし中華)を買いました。確かそのコンビニはセブンイレブン。
セブンイレブンは冷やし中華をめっちゃこだわって作ってはると、コンビニ特集のテレビで見たか、テレビを見た人から聞いて。今日のお昼は絶対にこれ!!と、珍しく悩むことなく即決しました。
さぁお昼の時間、蓋を開けると、タレ、カラシ……マヨネーズ??
冷麺にマヨネーズ??
なぜ??
入れ間違い??
「えーー?!冷麺にマヨネーズがついてる……入れ間違い??」
ネイティブさんからしたら、ところどころイントネーションがおかしかったと思うけれど、普段は関西弁で話していたので、あえて言わなければ、関西の子、京都の子と思われていた当時のわたしのこの一言に、少し年上の生粋の京都っ子のおふたりがものすごく反応されました。
「どしたん?冷麺にはマヨネーズやで!」
「今まで1度も、冷麺にマヨネーズかけたことないん?」
普段はそこまでわーっと何かを主張しはらへんお二方から、冷麺にマヨネーズを発端に文化の違いを習うことになりました。
「夏のお昼ご飯に、家で冷麺出てきたら嬉しかったわ」
「いいですね」
「土曜日の半日授業終わって家に帰ってとか、夏休みの土曜日のお昼に、冷麺と麦茶とマヨネーズが食卓に置かれて、新喜劇見ながら食べんねん」
「そうそう土曜のお昼は新喜劇見ながらやんな。冷麺出てきた日って嬉しかったよなぁ。」
「え??おうちでも冷麺にマヨネーズかけるんですか?」
「せやでー!」
「家でみんなかけはるから、コンビニのにもマヨネーズついてるんちゃうん?」
「そっか……。あと今もうひとつびっくりしたことがあるんですけど」
「「なにぃ?」」
「……新喜劇って土曜のお昼の番組なんですね」
「「あんた、どこに住んでたん?」」
「ほら、うち京都の子ちゃうんで」
「あー!」
「忘れてたわ!そうやったなぁ」
「……何曜日か忘れたけど、夕方やってるの見てた気がします」
「えー?」
「新喜劇が夕方なん?!」
「お昼ご飯の時間やのうて、夕方ちょっと日がかげってきた頃にテレビつけたら、花ちゃんがなんか言わはって、みんなが一斉にこけはる番組またやってるなぁ…みたいな感じで見てました」
「お昼ちゃうかったんやー」
「小学生の頃は何曜日かの夕方でした。中学か高校の時はもしかしたら土曜のお昼やったかもしれへんけど、部活やってたし、あんまりテレビ見てへんくて覚えてません」
「そっかー」
「冷麺にマヨネーズかけるのんも、土曜のお昼に新喜劇見るのんも当たり前じゃないんやな。なかなかカルチャーショックやなぁ、お互いに」
「マヨネーズ付いてるのが間違いちゃうなら、かけて食べますー」
「無理せんとき?」
「せやで、好きなように食べてええんやで?たまたまうちらはかけてたから、なんかそれが当たり前みたいに言うてしもたけど、人それぞれやし」
「でもほかすの嫌やし、マヨネーズ持って帰ってもなかなか使わへんかもやし……それにめっちゃ興味わいたから」
麺の上に具を乗せて、タレをかけて、マヨネーズとカラシも上にしぼって食べた。
「あ……美味しい!」
「ええやろー」
「な、マヨネーズいるやろう?」
美味しかったし、楽しかった。
それからはマヨネーズがついてきたり、近くにあればかけて食べるのが当たり前になった。
京都を離れたら、また冷麺にマヨネーズは当たり前じゃなくなった。これが元々わたしの普通。だけどふと思い出して、人に話してみた。
「京都に住んでた時、コンビニで冷麺買ったらマヨネーズがついててびっくりして、周りの人に聞いたら「冷麺にはいつもマヨネーズかけるよ」って聞いて、半信半疑でかけたら美味しかったんですー」
「うぇーーマヨネーズ?なんか気持ち悪くない?」
「なんにでもマヨネーズかけたら太るよー?」
「……そうですね」
いろんな意見があっていいのだけれど、私の説明不足か、冷麺にマヨネーズかけるのも美味しいよは完全否定されてちょっとさみしくなった。
それからどうしたかって??
冷麺にマヨネーズをかけるのは京都での楽しみにとっておくことにした。もう誰にも言わない、元々かけないのが当たり前だったんだから、かけないと決めた。
でもこれを書いていて、食べたいなー、マヨネーズかけたいなーって思いがぐるぐるしだした。
だから今度実家にお邪魔したら冷麺を作って、「京都ではマヨネーズかけててん」って両親に話して、わたしはマヨネーズをかけて食べようかなと勝手に計画を立てた。
両親はたぶん完全否定はしないと思うから。「へぇーそうなんだね」って、マヨネーズをかけるわたしを気にしないだろうから。ひょっとすると「やってみようかな」って試さはるかもしれへんし。
いやいや実家やのうて、自分ちで今すぐ作って食べたらええやんかって思いますでしょ?それがあかんのですよ。
自分のために麺茹でて冷やしたり、卵、きゅうり、ハムなんかを千切りにしたり……考えるだけでしんどい。そんな手間かけて自分のためのご飯作られへん。
そんな手間かけるならご飯いらへんって思ってしまう。あかんけど。考えただけでイライラモヤモヤして、結果買い食いしちゃいそう。ほんまあかんけど。
あ……冷麺作る言うても、タレはたぶん買います。美味しく作る自信がありません。甘酸っぱい醤油ベース、まろやかな練り胡麻ベース?どっちのタレも好きです。
7月12日、もわっとした暑さでお目覚め。でも汗はかいていなくて不思議ねぇと思いながら、7月11日がセブンイレブンに結びついて、京都での冷麺の記憶を掘り起こし。
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