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[DX事例100]これからのDXを支える次世代通信技術をつくる_日本電信電話株式会社(NTTグループ)

ITコンサル×パートナーCFOのタナショーです。

このnoteではDX事例やIT活用事例の紹介を通して、経営者の方がITを身近に感じたり面白いと思ってもらえることで、企業の成長に役立つ情報をお届けしていきます。

今回は通信業界からです。記念すべき100回目は通信事業会社の最大手であるNTTグループ、日本電信電話株式会社の通信技術DXです。



これからの次世代通信技術が生み出すのは「Well-being」と「五感の拡張」!? NTTのDX事例

今回はDXを実践している企業の事例ではなくDX技術の紹介となります。それも新技術になりますので「これからのDXを支える新しい技術」ですね。

タナショーのDX事例は今実際に使われていたり、実証実験中のDX技術や事例を中心にご紹介しています。
しかし今回はせっかくの100回記念なので「DX推進を一番に支える通信技術は今後どう変わっていくのか」というテーマで、NTTが研究開発を進めている少し未来の話をお伝えしていきたいと思います。


①光通信技術を押し進めた光電融合技術が作る新たなコミュニケーション基盤「IOWN」

後ほど5Gや6G通信について触れますが、まずはそれを支える通信基盤の話です。

来たる2030年には全てのモノがインターネットに繋がり、爆発的な通信需要・トラフィックが増加していくことは想像に難くないでしょう。NTTはそれに耐えうるための施策として、IWON(アイオン:Innovative Optical and Wireless Network)構想を打ち出して研究開発を進めています。

日本電信電話株式会社「IOWN」より抜粋


IWONに求められる性能はもちろん「高速通信」「大容量通信」「高品質」などが挙げられますが、実は「省エネ」であることも重要な指標となっています。
2020年度時点のデータでは、なんと日本全体の電力の1%をNTTグループが使用しています。もちろん全ての電力を通信で使っているわけではないですが、NTTはこの莫大な通信電力量の増加を問題視しており、IWONで解消しようとしています。


IWONの技術を支える主要技術として、光電融合技術を利用した「オールフォトニクス・ネットワーク」があります。現在の通信ネットワークは光信号と電気信号の変換を行なっていますが、通信処理のチップ内の高集積化により発熱量の増加を招き電力ロスや性能の低下が発生しています。

光電融合技術はチップ内の配線部分に光通信技術を導入し低消費電力化を行い、さらには光技術ならではの高速演算技術を組み込んだ、新しい光と電子が融合したチップとなります。

日本電信電話株式会社「オールフォトニクス・ネットワークとはなにか」より抜粋

IWONではネットワークから端末までの全てにこの光電融合技術を導入し、エレクトロニクス(電子)ベースからフォトニクス(光)ベースの基盤を作り出そうとしています。「オールフォトニクス・ネットワーク」導入により、下記のようなメリットがあります。

「電力効率を100倍に」
「伝送容量を125倍に」
「エンド・ツー・エンド遅延を200分の1に」

日本電信電話株式会社「オールフォトニクス・ネットワークとはなにか」より抜粋

IWONでは、このオールフォトニクスネットワーク技術を軸に、デジタルツインコンピューティングの実現、コグニティブファウンデーション(さまざまなICTリソースを制御、最適化)という特徴を備える予定であり、2024年に仕様確定・2030年の実現を目指して研究開発を進めています。

日本電信電話株式会社「IOWN」より抜粋




②ただの移動通信技術ではない、社会課題を解決するための通信技術「5G evolution および 6G」

通信基盤を紹介しましたので、こちらは次世代移動通信技術の話です。
ドコモは2020年3月より5Gの商用サービスを開始しています。対象地域が拡大してはいるものの「通信速度が速くなった」程度の認識を持つ人が多く、ビジネスへの活用事例もまだまだ発展途上の状態かと思います。

そんな状況ではありますが、NTTドコモは「ドコモ6Gホワイトペーパー」にて、次世代通信技術である5G evolution および 6Gのコンセプトを発表しています。今回はそれぞれの特徴についてかいつまんで説明していきます。

5G evolutionとは5Gを拡張発展させた通信技術であり、5Gよりもさらなる高速化、低遅延でデジタルツイン促進の架け橋となる通信技術を目指しています。アップロード速度の向上や、従来のベストエフォート(最大限の努力)型からギャランティ(一定の品質保証)型への転換が大きな特徴として挙げられます。

株式会社NTTドコモ「ホワイトペーパー 5Gの高度化と6G」より抜粋


そして6Gは5Gが持つ機能をさらに高性能化や高度化するだけではなく「あらゆる場所で通信できる」という超カバレッジ拡張を目標にしています。
陸上の面積カバー率は100%を目指し、それ以外の空・海・宇宙への通信環境も拡張予定していくとのことです。

株式会社NTTドコモ「ホワイトペーパー 5Gの高度化と6G」より抜粋


こららの要件を満たす6Gに対して、NTTは下記のようなサービス・価値を作ることができるとしています。

人間拡張:視覚・触覚などの五感の拡張、リモート操作などの存在の拡張、認知能力の拡張
ブレインテック:脳の生体信号をセンシングしスマート義手などの外骨格装置の駆動
感覚の共有:人工皮膚や仮想的な触覚情報を使うことで「実際の人間に触られたかのうような触覚を伝送する
感覚情報の多層化:上述のようなサービスを組み合わせ、気配や臨場感のあるデジタルコミュニケーションの確立

NTTは6GをSmartな生活をするための技術から、Well-being(幸福)な生活をするための通信技術に変革していきたいと発表しています。


経営戦略とDXの関連性について

NTTは2021年に発表した「アニュアルレポート2021」にて、DXとCSRを組み合わせることで社会的課題の解決を目指していきたいと謳っています。

日本電信電話株式会社「ANNUAL REPORT2021」より抜粋

また2018年に発表した中期経営戦略を2021年に見直し、社会・産業の構造変革とwith/afterコロナに対応させた新たな働き方を実現するためにDXを推し進めようとしています。
NTTはNTTドコモやNTTコミュニケーション、NTTコムウェアを子会社化もしており、3社の機能統合によるシナジーで新しい顧客体験やライフスタイルを創出していきたいとしています。

日本電信電話株式会社「ANNUAL REPORT2021」より抜粋

NTTは今後の環境変化を鑑みるにこれまでの延長線上での事業継続は厳しいとしており、DXや通信技術を提供していくことでWell-being社会、サスティナブル社会の実現に貢献するための活動を続けています。


まとめ

いかがでしたでしょうか?
今回は通信技術でこれから何ができるのか、近い未来にできる技術をお伝えする回でした。

これからの移動通信技術はただ速くすればいいわけではありません。
それだったら皆さんの企業活動にはあまり意味がないでしょう。ZOOMやインターネットをする程度の利用なら今の通信速度で充分です。
これからの通信技術は今までのDX事例でも紹介したように、遠隔地にあるロボットが有識者や職人芸の動作を再現したり、膨大なビッグデータと常時接続されるAIなど。より企業のビジネス活動を変革し、その活動を支えるインフラになっていくはずです。

今までタナショーがお伝えしてきたDX事例を整理すると、主に下記のような取り組みが挙げられます。これらの取り組み全てに通信が関わっています

・人手不足な業務の省人化/業務効率化
・有識者の職人芸の再現
・人間が判断している/考える作業を代替
・遠隔操作による移動時間の削除
・ロボット/ドローンによる24時間稼働
・ロジスティクス/ラストワンマイル技術の高度化
・非接触/非対面サービスの実現

企業がDX技術やDXを始めようとしたときの話になりますが、例えばリモート営業や無人化を始めたら顧客に「足を使って現場を回らないのはナンセンス」「あの企業からは人の温かみを感じなくなった」などと言われることもあるでしょう
これはその通りなのかもしれませんが、タナショーとしては「IT技術/DX技術は進化の途中であり、いずれ改善されていくもの」だと思っています。

NTTの取り組みのように、これからもDX技術を支える企業の努力によりリモートや非対面であっても人の温かみや息遣いが感じられるような技術やサービスがどんどん生み出されていくはずです!



御社の経営課題を考える時、その解決手法にIT化やDXが活用できないかぜひ考えてみませんか?
今まで100社のDX事例を紹介してきましたが、この100社の事例の中から御社の経営課題の解決策やヒントがきっと見つかるのではないかと思っています。
ぜひ参考にしていただければ幸いです!




あとがき🐧

今回でDX事例も100回目となります。いつもタナショーの記事を読んでいただき誠にありがとうございます!
DXに関する記事を書き始めて丸2年、さまざまな業種や企業のDX事例やネタを探し続けた2年間でした(笑) 100本は書こうと思って始めたDX事例でしたが、一区切りつきましたので今後はDX事例の投稿ペースを落とし、その分タナショーの好きな雑談や自社の活動でも投稿しようと思っています。

もちろん日本にはまだ星の数ほど会社がありますので、DX事例は引き続きご紹介していきます。次回は少しお時間をいただいて、今までのDX事例100社のまとめ記事を投稿します。
引き続き、これからもよろしくお願いいたします!
タナショー


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参考にさせていただいた情報
日本電信電話株式会社「IOWN」
https://www.rd.ntt/iown/
株式会社NTTドコモ「ホワイトペーパー 5Gの高度化と6G」
https://www.docomo.ne.jp/binary/pdf/corporate/technology/whitepaper_6g/DOCOMO_6G_White_PaperJP_20211108.pdf
日本電信電話株式会社「ANNUAL REPORT2021」
https://group.ntt/jp/ir/library/annual/pdf/annual_report_21j.pdf

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