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[DX事例62]メルカリで売れた商品を配送できる無人投函ボックス!非接触・非対面かつ匿名配送もできる”発送体験”_株式会社メルカリ

ITコンサル×パートナーCFOのタナショーです。

このnoteではDX事例やIT活用事例の紹介を通して、経営者の方がITを身近に感じたり面白いと思ってもらえることで、企業の成長に役立つ情報をお届けしていきます。

今回はフリマ業界からです。業種としては情報・通信業になりますが、国内大手のフリマアプリ「メルカリ」を運営する株式会社メルカリの発送に関するDXです。


モノを非接触・非対面で安全に届けるメルカリの発送配送DX

メルカリといえば誰でもよく知るフリマアプリの代名詞ですが、2021年9月単月での月間利用者数が2,000万人を突破するという驚異的な利用者数を抱えています。若年層だけでなく中高年層の利用も増えており、累計出品数は20億品を超えるというから更に驚きです。

そんなメルカリの特徴とも言えるのが「豊富な発送・配送方法」にあります。今回はその発送・配送方法についてご紹介していきます。


①コンビニやPUDOなどから匿名配送できる「らくらくメルカリ便」「ゆうゆうメルカリ便」「メルカリポスト」
メルカリがここまで利用されるようになった理由の一つに「匿名配送」があります。フリマ購入時には出品者が購入者住所宛に配送しますが、その送付状に住所などの個人情報を記載せずに配送ができるため、女性利用者を中心に好評を得ているサービスです。

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メルカリ株式会社「匿名配送の送り状には出品者・購入者の情報はどのように印字されますか?(らくらくメルカリ便)」より抜粋

上図の画面右端は出品者控えとなり、出品者が情報を見ることはできません。使い方も簡単で、メルカリアプリで表示されたQRコードを発送場所であるコンビニの店員に見せたり、対象機械に読み取らせることで匿名の送り状を発行することができます。

この仕組みを使ったものが「らくらくメルカリ便」と「ゆうゆうメルカリ便」となります。らくらくメルカリ便のほうが「ヤマト運輸」、ゆうゆうメルカリ便は「日本郵便」となります。
発送場所が豊富で、ヤマト営業所やコンビニ3社(セブンイレブン、ファミリーマート、ローソン)や郵便局、宅配便ロッカーのPUDOでも発送ができます。

また2020年夏には新たな発送方法として「メルカリポスト」の運用が始まっています。

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メルカリ株式会社「「メルカリ」で売れた商品が発送できる無人投函ボックス 「メルカリポスト」を今夏より開始」より抜粋

このポストは無人の匿名配送ボックスとなっており、上部に備え付けられたQRコードスキャンから送り状の印刷ができ、それを貼り付けた荷物を下段の集荷ボックスに投函するだけで終わりです。

このメルカリポストは2024年までに全国8,000箇所に拡大する予定ということで、お客様がより手軽に発送できる体制を作っていきたいとのことです。


②メルカリでの利用実績をもとにAIが与信審査を実施「メルペイのAI与信」
メルカリでは独自のスマホ決済である「メルペイ」を導入しており、PayPayなどと同じくコンビニや飲食店でのキャッシュレス決済ができたり、メルカリの売上金がメルペイを通して使えるという特徴があります。

メルペイでは2019年4月からメルペイスマート払いという後払いサービスを開始しており、支払可能額となる与信審査をAIで行っています。特にメルペイでは2021年9月に「認定包括信用購入あっせん業者」の第1号として認定され、メルカリの利用実績を中心とした与信審査ができるようになりました。

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株式会社メルカリ「メルペイ、事業者として第1号となる「認定包括信用購入あっせん業者」の認定を取得」より抜粋

図の上部にあるように、従来はクレカの利用実績や本人の年収などの「信用情報機関の情報から得られる属性情報」をもとに与信を行っていましたが、この認定取得でメルカリの利用実績をもとに利用限度枠を決定できます。

今まではクレカを持っていない方や属性情報が弱いために与信が減ってしまうことがありましたが、今後はメルカリをよく利用するユーザであれば属性情報に関係なく適切な与信を受けることができます。お客様ひとりひとりのライフスタイルに併せて、メルペイを便利に使っていくことが可能になるとのことです。


DXと経営戦略の関連性について

メルカリは創業当初から「メルカリアプリ」を中心としたITサービスを積極的に展開しており、常にDXを実践している会社とも言えます。
メルカリは代表取締役会長兼CEOの山田進太郎氏が「スマホを使って世界中の個人をつなぎ、簡単にモノの売り買いをすることができたら、資源は有効活用され、人々はもっと豊かになるかもしれない」という思いから創業した会社です。

そんな思いから、ITテクノロジーを使った「循環型社会の実現」を目指しており、その取り組みの一つとして物流サービス事業を行う子会社「メルロジ」を2021年10月に設立しています。

2020年の日本全体の年間宅配便取扱個数50億個のうち5%から10%を「メルカリ」の荷物が占めており、配送パートナーはメルカリの荷物による発送・集荷・配送の人的オペレーションの負荷が高まっているそうです。メルロジは「メルカリポスト」や「メルカリステーション」を軸に、メルカリが持つデータとテクノロジーを活用した効率的な集荷物流網を構築することを目的としています。

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株式会社メルカリ「メルカリ、新規事業子会社として株式会社メルロジを設立」より抜粋

メルロジでは配送パートナーが行っていた集荷業務を自社サービスとして取り込むだけでなく、発送前の商品のクリーニング、リペアといった付加価値サービスを提供することにより、お客さまのUXを向上させていくとしています。

メルカリは、お客さまの利用体験の向上を実現することにより、「送る」「運ぶ」「受取る」のすべてにやさしい物流・サービスの提供を目指して活動を続けています。


まとめ

いかがでしたでしょうか?
以前の記事ですとクロネコヤマトでも紹介したラストワンマイル系のDXは配送先のお客様に届ける「届け先」に便利なDXでしたが、今回は集荷・出荷をする側「送り主」が便利なDXでした。

DXに限った話では有りませんが、サービスを考えるときはユーザの立場や利便性を考慮しながらサービスを作っていくことが大事ですね。今回の記事であれば「匿名配送」サービスのように「ユーザが何をしたいのか」「どんなことができれば嬉しいのか」、ユーザの気持ちになってサービスを考えることがUXのポイントです。大層なことでなく「ユーザがちょっと便利だな」と思ってもらえるような身近なところからUXを考えていくのがおすすめです♪
タナショー


参考にさせていただいた情報
株式会社メルカリ HP
https://about.mercari.com
株式会社メルカリ「2022年6月期第1四半期決算説明会資料」
https://pdf.irpocket.com/C4385/l3Fa/GZJ5/S8zq.pdf
株式会社メルカリ「「メルカリ」で売れた商品が発送できる無人投函ボックス 「メルカリポスト」を今夏より開始」
https://about.mercari.com/press/news/articles/20200220_mercaripost/
株式会社メルカリ「メルペイ、事業者として第1号となる「認定包括信用購入あっせん業者」の認定を取得」
https://jp.merpay.com/news/2021/09/kappu/
merpoli「メルカリ・メルペイの「AI与信」が目指す未来」
https://merpoli.mercari.com/entry/2021/09/10
株式会社メルロジ HP
https://about.merlogi.com
株式会社メルペイ HP
https://www.merpay.com

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