避難生活10の気づき 【避難生活編】
第2回は、「避難生活」についての3つの気づきです。
避難生活10の気づき 【避難生活編】
〜被災直後から数か月、避難所等で過ごす〜
03:緊急事態での「水」
水は避難所では貴重な資源 。
たとえ飲めなくても、いろいろな使い道がある。
現場の工夫に寄り添った道具がつくれないか?
緊急事態での水の用途に合わせた処理方法とは?
避難所では、「水」が日常よりもたくさんの種類に分類されていたように思う。積もった雪をお風呂で保管したり沢の水や学校のプールの水など、実に多様な水源が立ち現れていた。一方で、夏の川の氾濫では、下水から逆流して浸水した水には感染の脅威などがあり、大変危険な水も出現していた。被災時には、限られた「使えそうな水」を最大限活用するために、トイレを流す水、清掃のための水、食事など身体の中に入る水などきめ細かく優先順位をつける必要があり、仕分ける解像度が上がる。そのような中で、飲用や調理用の水をできるかぎり守りながら、清掃などに使う水、生活用水などをどのように分類するか、何らかの処理で賢く使う方法など、普段とは違う工夫がありそうだ。それらの用途や工夫に寄り添う道具を作れないか。
04:非日常の中の日常
「それどころじゃない」非日常のなかで温かい食事や笑いは、
日常を少し取り戻せたサイン。
もっとたくさんの「日常」をつくれる?
緊急時に日常に近づく体験ができることの価値
被災時には、嫌な臭いや美味しさなど多くのことが後回しになるが、当時の苦労はあまり記憶に残っていないようだ。一方で、震災後2週間経って初めてシャワーを浴びた時のことを今でも鮮明に覚えていたり、学校の授業でつくったラジオが避難所で役立ったことなど、厳しい状況の中でも「何かをできた」記憶は強く残り、その後の人生を勇気づけてくれているように感じた。お風呂の湯船やサラダの生野菜など、非常事態の中で「いつもと同じ兆し」や少しでも「日常に近づく」経験が、私たちの精神衛生を支えてくれるのではないか。
05:長期化した避難生活
緊急事態での共同生活だからこそ
いつもと違うつながりをつくっていかないと!
…でも、いつも通りひとりになれる時間がないと困る
ゆるやかにつながっているからこそ、安心してひとりになれる空間デザイン
心身ともに緊迫した状況では、みんなで支え合ったり見守り合うなど「誰もひとりにしない」ことが大切になる。一方、慣れない集団生活の中では、ひとりになりたいという瞬間が誰にでもあるだろう。それは、自宅に個室があることを思えば当然のニーズだと思う。少しのあいだ“他人”の視線や存在感から解放される空間が備わっていれば、もっと前向きにつながりあえるのではないか。多様な物理的制約に配慮した避難所づくりとともに、多様な気持ちのモードに応える場所を。飲食店や近年のオフィスのように、レイアウトや目線などの工夫で、つながりながらひとりにもなれる空間デザインのノウハウが活用できる領域ではないか。
続けて、避難生活10の気づき【長期化した避難生活編】も
ぜひ、ご一読ください。