【突撃!ナレトーーク】第3回 与謝野はるさん(後半)
ナレーター界を盛り上げるべく始動したメディアプロジェクト『HITOCOE』。
ナレーターのさかし(坂下純美)とあこ(甘利亜矢子)が、ナレーターの皆さんのライフスタイルや人生観、それぞれの働き方を紹介していきたいと思います!
今回は、前回に引き続き与謝野はるさんです!
※記事のラストに、ここで初出しの情報がございます。是非最後までご覧ください!!
学ぶ上で大切なのは目的意識
さかし:スキルアップのためにどんなことをしていますか?
与謝野:普段の練習は短文などで苦手意識のある部分の滑舌練習をしたり、舌のストレッチをしたり…。 教本的な本を読むこともありますし、明確な課題がある場合はTwitterやYoutubeでボイトレ関連で発信されている方の情報を見ることもあります。 ですが、始めた当初は基礎力以前に基礎知識がなかったんです。
読解力にしても、それ以前に日本語の読み方の基本ルールとかあるじゃないですか。ナレーションで言うと、頭の音は高く入って、最後は低く…階段みたいになってるんだよということとか。それがまずわからない。
アクセント辞典を見て、音として再生ができなかったんです。
ではアクセントがわからなかった頃はどうしていたかというと、同じアクセント記号のついた似ている言葉を複数引いていました。例えば、「レンズ」を引いた時は「レタス」や「レモン」も探したり。
それで「じゃあレモンと同じ音で言えばいいのか!」と理解していたくらいです。
レッスンについても、最初はとにかくわからなくても素直に聞こう!っていう姿勢で受けるところからスタートしました。これはしたほうがいいよと教えてもらったことはできるだけ素直に取り入れて、自分に合いそうだと思ったものを取捨選択して継続していくという形でやっています。
今は基礎のレッスンと並行しながら「ここを伸ばしたい」「これを知りたい」「改善したい、身につけたい」という目的意識を持って、オンラインで教えてくれる先生を探して教わっています。
技術面はもちろんですが、考え方とか感覚とか、感性とか心構えとか…そういったことも教えていただくことが多いです。考え方や心構えは真似しようと思ったら真似できる、自分の中に取り入れることができる部分だと思うので、卑屈にならずにずっと学び続けたいと思っています。
何よりもっともっと上手くなって、いろんな方に「伝える」ことができるようになりたいです。
「お客様と一緒につくる」ことができれば、より豊かで素敵!
さかし:仕事をいただくために、工夫していることなどありますか?
与謝野:私のお仕事は、お問い合わせかご紹介が多いです。
私は、ご紹介いただくご縁を大事にしています。最終的に私の声を採用してくださったお客様はもちろん、ご縁を繋いでくださる周りの皆様にも感謝の気持ちを持って、「みんながHappyな形になるには、私の声でお客様にとってのプラスをつくるにはどうしたらいいだろう」と考えるようにしています。
ナレーターや声優の仕事は、たくさんの方が関わって制作された映像や作品の最後に声を入れる仕事じゃないですか。台本もたくさん推敲されて作られたものだと思うんですよ。だから「こなす」のは嫌だと、一つひとつの言葉を大切に、原稿に向き合うことを大事にしたいんです。ただ声を吹き込むというのではなくて「お客様と一緒につくる」ことが少しでもできるようになれば、より豊かで素敵だと思うんですよね。
海外のお客様とも、英語が苦手でも気持ちさえあれば、相手方のお心遣いもあってなんとかなると感じています。むしろ「一緒につくろう」というムードができるとみんなで盛り上がって、「またお願いね」と声をかけていただくこともあり、ありがたいです。
作品にはお客様の想いやメッセージがこもっていると思うので、その想いを大切に、一緒につくることができるナレーター、声優でありたいと思っています。
だからこそ、職業でもあるけれど、人の在り方、生き方というのが、ナレーターとか声優のお仕事であって、私自身が豊かな仕事をすることで、お客様にも幸せになっていただけたらいいなと思っています。
あこ:素敵...!はるさんと一緒に仕事がしたいなって、みんなが思いますよ!
与謝野:DMなどでお問い合わせいただいたときにわからないところがあったら「もっと良くしたいのでお聞きしたいのですが…」と一緒にプラスを作りたいことを伝えると察してくださって「じゃあこうしようか」「ここちょっとイメージが違うのだけれど、こうじゃない?」と、リテイクのときも私がわかりやすいように手取り足取り教えてくださいます。
最終的に「ここが違うので、ここ直してください」というただの修正指示ではなくなってくるタイミングがあるんです。
あこ:え~!!
与謝野:そういうタイミングを持てた方とはチーム感が出てきて「次にこういうものを作ろうと思っているんですが、お願いできたりしますか?」とか、「こういう声の子も考えているのですが、できそうな人知っていますか?」というような話をそういったなかでいただくので、私が何らか能力を持っているというより「一生懸命、一緒にやりたいと思っているので、よろしくお願いします!」という気持ちをまっすぐに伝えているだけです。
さかし:やりとりのなかの「みんながHappyになれば」というはるさんの気持ちが伝わって、それを相手も感じてくださっているのですね。
与謝野:そうかもしれないですね。「落ち着いたトーンで読んでください」と言っていただいて録ってみたものの、送っていただいたBGMと合わせてみて「もしかすると別パターンの方がよくなるのでは」と感じた時は、おせっかいかもと思いつつパターン出しをして「こんな感じでも録ってみました!他にもパターン必要でしたら言ってください!」などお伝えしています。
短納期で提案がご迷惑になると思うタイミングは控えて、猶予があるようなタイミングではできるだけより良くできる可能性を探るようにしたいと思っています。
さかし:「こなす」のではなく「ものづくり」だからという、まさにそれですね。
そんな思いで仕事と向き合っているから、はるさんの周りにははるさんと一緒につくりたい人が集まってくるのでしょうね。
あこ:はるさんの一生懸命なまっすぐな気持ちが伝わってきますし、とても素直で謙虚で、周りのみんなからかわいがってもらえる方なのだろうなと思いました。
仕事を振りたい人とは、「仲間になってくれる人」
与謝野:片岡さんが、ナレーターブランディング会議(前半参照)で複数キャラクターを募集されているときがあるじゃないですか。「このキャラあまりやる人がいなさそうかも?」と思ったとき、片岡さんも誰かに頼まれて人を探しているのに、出てこなかったら片岡さんも困ると思うんです。
だから、私がはまるかどうかは分からないけれど、出しておくと足しにはなるのではないかという気持ちで出させていただくときもあります。
片岡:ありがとうございます!そういう想いや行動はキャスティング側や発注側にとても喜ばれるので、また仕事を振りたいなと思ってもらえます。
以前SASUKEのディレクターの乾雅人さんが「仕事を振りたい人とは、『仕事をしてくれる人』ではなくて『仲間になってくれる人』」とおっしゃっていました。
一流の制作の人はみんなはるさんみたいな人を求めているんです。
与謝野:一流の技術を持っているっていう大前提があるかもしれない(笑)
片岡:仕事を振る理由って、ある一定以上の技術を持っていれば、あとはもうその人となりなんですよ。全然テレビもいけると思いますよ。
与謝野:私自身は「自分の力はとても小さいものかもしれないけれど、プラスを生むきっかけにならないかな」という気持ちでしているだけなのですが、そう言っていただけてありがたいです。
片岡:一流の方はちゃんとそういう気持ちを持っていることも察してくれます。みんながWIN-WINになる。そういうところで結局上がっていくのだろうなと思います。
与謝野:神サポートありがとうございます。私、取っ散らかってしまうから、兄貴みたいにキュッとまとめてもらえると。これが読書量の差だ!
さかし:読書量と言えば、前に片岡さんに薦めていただいた読解力の本、いいですよ。日常のコミュニケーション向上や、ナレーション解釈にも役立ちそうです!
今後の目標…むしろ伸びしろしかない!
さかし:今後やってみたいことはありますか?
与謝野:今は CM ナレーションのような、耳にキャッチーな雰囲気のものが多いんですよ。当面はまずそこをさらに強化していきたいです。明るく楽しいものやキャラっぽい感じのCMだったり、等身大の、軽やかさがある親しみのある感じのナレーションなどを追求して、自分自身としてこの分野を、確信の持てる強みにしていけたらという思いがまずあります。
あとはAmazonやNetflixといった媒体でのオリジナル配信コンテンツの吹き替えやローカライズ時のキャラボイスをやってみたいです。
ちょうど私が宅録を始めるタイミングでNetflixが外画の吹き替えやアニメなども視野に入れた宅録マニュアルを出していて。だからそういった分野でも可能性はあるのかなと。
宅録環境を整える時も、あのマニュアルを参考にしたんですよ。
テレビアニメの出演も、もちろん大きな夢なのでチャンスがあれば掴みたい。でも、吹き替えやアニメのお仕事は地方にいたら無理だよという風潮はありますよね。
だからこそ、そんな中で地方にいながら活動するスタイルをとっている私が、地方ナレーター・声優の、ひとつの新しい形を作れたらいいなと思っています。
あと、10年20年続けていって私自身も年を経て良い声が出るようになったら、将来的には国とか地域の文化や伝統を伝えるナレーションができるようになったらいいですね。アートと一緒で未来に何かメッセージを残すとか、今の社会に何かを問いかけるものが多いと思うんですけど、自分の声でそういったものを伝えて残していくという…アーカイブしていく、そういう側面の一端を担うような。これまで人類が積み重ねた歴史とか思いとかをその先の世代に繋ぐというような、声の仕事をする者として生きることを考えた時にとても素敵なあり方だなって。
そういうのが将来的にできたら素敵だなぁなんていうふうに妄想してます。
あこ:…深いですね!(しみじみ)
与謝野:基礎をちゃんとマスターして、落ち着いた感じで読めたりするといいだろうなって。そういう意味では私、伸びしろいっぱいあると思うので!
さかし:これから地方ナレーターの活動の幅は広がっていくような気がします。コロナの影響も少なからずあると思うんですが、この状況下でどうしていくかは人それぞれだし、この勢いが落ちてくることはしばらくないんじゃないかな。
地方のナレーターも、東京に来てもらわなくても声優、ナレーターはこれだけのことができるんだよっていう常識を、はるさんは作る気がします。
与謝野:テレビアニメの仕事は東京じゃないと無理だってまだあると思うんですよ。そこに対して突破口を見出したい。技術的にも可能になってくるんじゃないかなって。これだけリモートが発達してきているので、各地方のスタジオで収録して、関東でミックスするとか。そういうことができるようになったらおもしろいですよね。
さかし:リモートでリアルタイムで掛け合いもいずれできるようになるかもしれないですね。その時にはるさんが出てくるのを楽しみにしています!
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自分や関わってくれる人への思いをとても大事にしながら仕事をしていらっしゃることが伝わってきましたね。
だからと言ってスキルアップも怠らず、「喜んでもらうために」日々学んでいらっしゃる姿勢も素敵でした!
・・・と、ここで突然ですがお知らせです!!
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与謝野はるによる
【宅録初心者の方向け 宅録基礎講座】開講予定!
1.宅録環境(宅録ブース)の整備について
1−1.自宅での宅録環境(ブース)の作り方
作ることのできる場所、必要なものや材料
その他一般販売商品
1−2.必要な収録機材
マイク、ポップガード、マイクケーブル、
オーディオインターフェース、ヘッドフォン
などの種類や選び方など
2.必要なソフトについて
2−1.収録用ソフトのご紹介
Audacity
Adobe Audition
Cubase
Studio One
それぞれのメリットとデメリット、
使い心地、操作感など。
※AudacityとStudioOneについては収録の仕方まで。
2−2.整音用プラグインのご紹介
みんな大好きRX9についてご紹介します
3.収録した音声の音質をチェックしよう
音声のチェックが入る音声登録サービスや、P2P系のサイトをご紹介。
音質も見てもらえてお仕事につながるかもしれない、自信もついて一石三鳥な方法です。
1対多、約2時間の講義になると思われます。
日程は2/14の20:00を予定!
詳細は後日、HITOCOEのツイッターでお知らせいたしますのでフォローお願いします!
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ここまでお読みいただきありがとうございました!
次回は初めて男性ナレーターに直撃インタビュー予定です。
お楽しみに!
これからも「HITOCOE」ではナレーターに特化した読み応えのある記事を連載予定です。刺さった記事があれば、ぜひスキやフォローのご登録を頂けるとうれしいです。サポートを頂ければ編集チーム一同スタンディングオベーションで喜びます!