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Voiceover? Narration? Voice Acting? 海外市場が求める声のカタチ徹底比較!
映像や音声を後から付与する仕事は、英語圏では主に「Voiceover」という言葉で総称されます。しかし、その中には「Narration」や「Voice Acting」など、目的や表現スタイルによって細かく分かれたジャンルが存在します。日本国内ではまとめて「ナレーター」「声優」と呼ぶ場合が多いかもしれませんが、海外のディレクターやクライアントとやり取りする際には、こうした区分を知っておくと非常に便利です。
本記事では、海外案件を想定してそれぞれの用語がどう使われているのか、また、どんなスキルが求められるのかを詳しく解説します。さらに、海外で仕事を得るためのヒントも交えながら、約3,000文字程度でしっかりお伝えしていきます。
1. Voiceover(ボイスオーバー)とは?
1-1. 幅広い「声の後付け作業」を指す総称
英語圏で「Voiceover(VO)」と言えば、映像やコンテンツに対して後から声を乗せる作業全般を指します。たとえば、テレビCMやオンライン広告、企業のプロモーションビデオ、eラーニング教材、さらにはアニメやゲームの吹替音声など、あらゆるジャンルが含まれます。
例文:
• “We’re looking for a voiceover artist for our new product demo video.”
• “Do you do Japanese voiceover for educational content?”
このように、とりあえず「声を当ててほしい」仕事は総じてVoiceoverと呼ばれるため、依頼内容が短いCMなのか長尺の解説動画なのか、あるいはキャラ演技が必要な案件なのかは、クライアントに詳細を確認しないとわからないこともあります。
1-2. 「I’m a voiceover artist」の意味合い
自己紹介の際に「I’m a VO talent(あるいはvoiceover artist)」と言えば、音声を扱う幅広い仕事に対応できるプロというアピールになります。必ずしもCM専門・企業VP専門というわけではなく、短尺の広告から長尺の解説まで柔軟に対応可能とみなされるでしょう。
ただし、後述するNarrationやVoice Actingの要素も含めて、「何が得意か」をはっきり示したほうが、よりクライアントに伝わりやすくなります。
2. Narration(ナレーション)の特徴
2-1. 解説・説明・朗読など“落ち着いた語り”
海外では「Narration」という言葉が、「ドキュメンタリー番組や企業紹介映像、オーディオブックなどの解説や朗読を中心とした“語り”」を指す際に多用されます。静かに事実を述べる場合が多く、視聴者や学習者に情報を正確かつ分かりやすく届けるのが目的です。
例文:
• “We need an English narration for our wildlife documentary.”
• “Our e-learning course requires professional narration in a clear, neutral tone.”
「ナレーション」という言葉自体は日本語でも使われますが、海外でも落ち着いた読み口を表したい時、あるいはドキュメンタリー的な映像作品に焦点を当てる場合に用いられることが多いです。
2-2. Narrationに求められるスキル
1. 分かりやすさ・明瞭さ
長文や専門用語を正確に読み上げる必要があるため、滑舌や発音が明瞭であることが重要です。
2. トーンの安定感
ドキュメンタリーや企業VPなど、視聴者が情報を吸収しやすいように過度な抑揚を控えめにすることが多いです。
3. 一定のリズム感・テンポ感
長尺の場合、同じ調子が続くと聴き手が飽きてしまうため、要所でのトーンやペースの微妙な変化が求められます。
3. Voice Acting(ボイスアクティング)とは?
3-1. キャラクターを演じる仕事に特化
「Voice Acting」は、アニメやゲーム、映画やドラマの吹替といった、キャラクターを演じる仕事を主に指します。感情豊かなセリフ回しや、シチュエーションに応じたリアルな反応が求められるため、海外では“voice actor/voice actress”と呼ばれる人たちが活躍しています。
例文:
• “We’re casting a voice actor for our upcoming RPG characters.”
• “We need a voice actress who can portray a teenage girl with a strong personality.”
3-2. 演技力と瞬発力が鍵
Voice Actingでは、声だけでキャラクターに命を吹き込むことが求められるため、以下のようなスキルが重視されます。
1. 感情表現の豊かさ
喜怒哀楽や細かなニュアンスを声だけで表現できるかが重要です。
2. キャラクター設定の理解
脚本や背景設定を深く読み込み、「このキャラはどういう性格か」「どうリアクションするか」を自分なりに咀嚼して演技に反映します。
3. タイミング合わせ(映像作品の場合)
吹替やアニメ収録では、口パクや映像の尺に合わせる必要があるため、瞬時に調整する柔軟性も必要です。
4. 用語が混在する理由と注意点
4-1. “Voiceover”という大枠にまとめられることが多い
クライアントやディレクターが細かい区分にこだわらず、とりあえず「Voiceover」という大きなくくりで依頼を出すケースは少なくありません。そこに「ドキュメンタリー風に落ち着いた読み方をしてほしい」「キャラクター演技が必要」といった具体的要望が後から追加されることがよくあるのです。
4-2. Overlapping(重なり合い)の例
• NarrationとVoiceover:
ドキュメンタリー用の解説でも、企業広告のナレーションでも、どちらも「voiceover」と呼ぶ人がいます。
• Voice ActingとVoiceover:
ゲームキャラの声を当てる仕事でも、書類上は「voiceover job」としてまとめられている場合があります。
5. 海外案件で成功するためのコツ
5-1. まずは“何が求められているのか”を確認する
「We need a voiceover.」と言われただけでは、CM風なのか、ドキュメンタリー調なのか、キャラクター演技なのかは分かりません。
そのため、以下のような質問を投げかけて具体的なイメージを固めるとスムーズです。
• “Is this more like a documentary narration style?”
• “Do you need me to perform multiple characters?”
• “What’s the overall tone or mood you’re aiming for?”
5-2. ジャンル別のデモリールを作成
海外クライアントにアピールする際は、「Narration用」「Character/Animation用」「Commercial用」など、デモをジャンル別に分けておくと非常に便利です。それぞれのスタイルで最適な声を出せることが明確に示せるため、ディレクターが判断しやすくなります。
6. まとめ
• Voiceover: 広く“映像やコンテンツに後付けで声を乗せる”仕事全般。短尺CM、企業VP、eラーニング、吹替などを包括する大きな枠組み。
• Narration: ドキュメンタリーや企業映像、オーディオブックなど、“解説・朗読”を主とした落ち着いた語り。視聴者に正確な情報を伝えることが目的。
• Voice Acting: アニメ・ゲーム・映画吹替など、キャラクター演技に特化。感情表現や役の設定理解など、より“演技力”が求められる領域。
海外のクライアントやディレクターも、これら3つの言葉を使い分けながら「欲しい声のタイプ」を探しています。とはいえ、大まかに「voiceover」と表記されていて、実際はナレーションだったり、キャラクター演技が求められたりすることは日常茶飯事。結局は、案件ごとに詳しい要件をヒアリングし、適切なスタイルや表現を提供できるかがカギとなります。
あなたが得意とするジャンルはどれか、どんなデモリールを用意すれば海外クライアントに伝わるのか、改めて整理してみると、グローバルな舞台での活躍が近づくはずです。ぜひ本記事を参考に、次の一歩を踏み出してみてください!
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