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君と僕との間には、まだ裏切りを覚えるだけの関係はない


毎日、ちょっと心を通わす。
君と僕との関係は、それだけで十分なのだ。


ずっと君のことは知っていた。
僕のことを支え続けてきてくれたことも。

最近、家に閉じこもるようになった。
けれど、こんなときになってようやく、僕は君の想いを意識し始めるようになったんだ。

君が大地を踏みしめて、僕とどこまでも駆けて行きたいこと。
君が辛い重荷を背負ってでも、大きく逞しく成長したいこと。

若い僕は、気持ちばかりが先走って、いつも君に無理をさせたね。君の頑張りがなければ、僕が立っていられないなんてこと、気がつきもしなかった。どうか馬鹿な昔の僕を、笑って許してやってほしい。

すぐに全てを叶えてやれる訳じゃないけれど、夕方17時から30分。君と心を通わせたい。

僕はゆったりと足を肩幅に広げ、腰を落とすことを繰り返す。
それに気が済んだら、両手を地につけ、ありったけの力強さを示すかのように、体を腕の力で引き上げる。
ここまでくると、君を感じて、僕の心臓は高鳴り出すんだ。
そして最後に、肘と爪先だけで体を支え、君を全身で受け止める。

もしかしたら、君には物足りないないかもしれない。あすけんのお姉さんも、一日に必要な運動量ではないと言う。

けれど、今の僕にできるのは、これで精一杯。

毎日、ちょっと心を通わす。
筋肉と僕との関係は、それだけで十分なのだ。

だってまだ君と僕との間には。

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