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チームのモチベーションを引き上げる数字(売上)の秘密

先日の面談は、「転職先を検討しているというよりは、モチベーションが上がらない」という、お悩み相談でした。

この面談をもとに、私の売上の考えを参考までにお伝えします。
もちろん、売上改善の方法はこれだけではありません。

渡辺さん(仮名)は4名のメンバーを抱えながら、ご自身も営業活動をされているプレイングマネジャー。

・メンバーは、手を抜いている様子はなく、売上を作ろうと懸命に業務に取り組んでいる。
・日中はスケジュールが埋まっていて夜遅くまで残業することもしばしば。
・売上は横ばい。努力と成果が比例しない状況が続くにつれて漂い始めた疲弊感。

「モチベーションの向上」がメインの相談かと考えていましたが、モチベーション云々というよりも、「売れれば解決する問題」という結論に至りました。
売上は、実際に数値目標を追っている方はもちろん、管理や経営に携わっている方にとっても大きな課題です。

1. 数字
数字を上げるには、数字で分析し、数字で判断する必要があります。
これがないと判断基準が主観となり、その施策の効果も測ることができません。


2. 分析
営業、販売活動の成果は、下記の方程式にあてはめると簡単に分析ができます。


リード(件) × CV(%) × LTV(円)
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■ リード
その期間で獲得した、見込客の数。
渡辺さんの場合は、BtoBの無形商材を扱っており、新規開拓はテレアポのみとのこと。
そのため、テレアポによる新規アポイント獲得社数をリードに設定しました。
もしこれがWEB販売であれば資料請求があった件数をリードとするなど、それぞれの商材にあった設定で試してください。

■ CV(%)
成約率。見込客が購入をおこない、顧客になった割合のこと。
今回は、訪問からの購入率をCVに設定しました。

■ LTV(円)
顧客生涯価値。顧客が、生涯にわたって自社に払ってくれる金額のこと。
例えば、毎月届く健康食品を定期契約しているAさんの場合

・平均購買単価 5,000円
・粗利率 70%
・平均年間購買頻度 12回
・継続購買期間 2年
・新規獲得コスト(新規獲得するためにかかる費用) 10,000円
・顧客維持コスト(利用を継続してもらうためにかかる費用) 2,000円

 LTV = 平均購買単価 × 粗利率 × 年間購買頻度 × 継続購買期間 -(新規獲得コスト + 顧客維持コスト)
 LTV = 5,000円 × 70% × 12回 × 2年 -(10,000円 + 2,000円)= 72,000円

・Aさんの顧客生涯価値 = 72,000円

上記のように顧客ごとにとったり、平均値でとったり、商品別にとったり様々な指標として活用できます。
これが分かると、新規顧客獲得にどれくらいコストをかけられるか、などといった判断基準にもなります。


今回は、計算を簡単にするために下記を用いました。
1年間の粗利 ÷ 1年間の新規顧客数
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リード(件) × CV(%) × LTV(円)

【渡辺さんの場合】
アポ獲得社数 × 訪問からの購入率 ×(粗利 ÷ 新規顧客数)
これらを、月単位で見ていったところ数字が落ちている部分がはっきり分かりました。
LTVが大きく下がっていたのです。

他の数字も引き合いに出しながら掘り下げていくと、下記のようなことが分かりました。

・訪問数を増やすためにコール数を増やした
・コールからのアポイント獲得数、獲得率が上がった
・成約率が、この半年で10%近く下がった
・既存顧客への接触回数が減った
・この半年、売るための大幅な値引きを容認していた
・初回、値引を条件にご購入くださったお客様のリピート率が低い

同様に、個人単位でも分析したところメンバーひとりひとりの強み、弱みが顕著に表れました。


3. 対策
状況を改善するには【数値の低いものから着手する】ことが効果的です。

例えば
リード(8) × CV(5) × LTV(2) = 80

・リードを「1」改善
リード(9) × CV(5) × LTV(2) = 90

・LTVを「1」改善
リード(8) × CV(5) × LTV(3)120

同じ「1」を改善するにも「結構できている」ところを「更にできる」ようにするよりも「できていない」ところを「少しマシ」にする方が効果が高いのです。
何より「できていない」ところを「少しマシ」にする方が簡単だと思いませんか?

渡辺さんのケースではLTVの低下が著しかったのでこれを改善するには?ということを一緒に考えました。
今後は、週単位で計測するようにお勧めしています。


「 リード(件) × CV(%) × LTV(円)」
は、人事採用にも適用できると考えています。

エントリー数 × 入社率 × 社員一人あたりが生涯にわたって自社に利益をもたらす金額

たくさん応募があって、入社率が高くても勤続年数が短かったり(上記でいう、平均購買年数)生産性が伸びなかったり(上記でいう、平均購買単価や粗利)しては意味がありませんよね。
採用の目的は、採ることではなく採用した結果、組織に利益をもたらすこと。
利益があることでこそ顧客へのサービスの提供を維持でき従業員に投資をしたり、給与を払うことができます。

人事の仕事は、営業であり、経営でもあります。

数字に置き替えて「因数分解」をしてみると改善ポイントが見えてくるものです。
改善ポイントが分かれば、あとは仮説を立てて、検証するだけ。

これなら、気軽にできそうじゃありませんか?
ぜひトライしてみてくださいね。

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