ジャッキー・チェンと勝負する(17)

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第17弾は「ポリス・ストーリー3」。いうまでもなく、「ポリス・ストーリー」「九龍の眼/クーロンズ・アイ」につづくシリーズ第3作。前作からは4年後の1992年の作品。

前2作の続編、そして共演にアクション女優として香港ナンバーワンの大物ミシェール・ヨー(ミシェール・キング)を迎えるとあって、公開当時は見る前から期待が高まっていたものだ。

ところが、見終わっての感想は、当時も今も、うーん、今一つだったなという気分だった。もちろん、あの主題歌がまったく使われていなかったとかいう細かい点への不満だけではない。それは、この「3」がもはや「ポリス・ストーリー」シリーズではなかったからだ。

いや、シリーズ作品としてのツボはいちおう押さえてある。恋人役のマギー・チャン、上司の警部役のトン・ピョウらが、ストーリー上さほど必要もないのに出演している。だが、この「さほど必要もない」のが問題。

そう、この作品での主人公が、チェン(陳家駒)刑事である必要も「さほどない」。麻薬組織に潜入捜査にあたり、中国本土やタイ、マレーシアを飛び回るという、刑事というよりもシークレット・エージェントのような設定。そこにはもはや、前2作で見せていた香港社会での警察活動に苦悩する刑事の姿はない。そのために、どこかキャラクターが薄っぺらになった気がする。恋人と仕事の板挟みになるシーンも、今回はコメディっぽい展開ばかりになっていて、なんかやらずもがなだった。

では一個の映画作品として不出来なのかというと、決してそんなことはない。そうしたマイナスを補って余りあるのが、壮絶なアクションだ。

ジャッキーにしてはめずらしく、大がかりなガンアクションが展開するし、爆破、カーチェイス、ヘリコプターを使ったスカイアクション、列車上の格闘など、スケールも大きく、実に多彩なアクションが盛り込まれていて、特に終盤は息つく暇もない。

ここで存在感を見せるのが、ミシェール・ヨーだ。かつて香港映画界にアクション女優ナンバーワンとして君臨し、その後、結婚して引退していたが、これが復帰第1作。もちろんジャッキーとは初共演だが、途中までは完全にジャッキーを食う活躍で、ああジャッキー今回はラクしてるなと思わされるくらいだ。彼女の起用は、この作品には大きなプラスになっている(彼女はこの後、「007/トゥモロー・ネバー・ダイ」でボンドガールに「出世」する)。

だが、負けじと終盤ではジャッキーが大逆襲に転じ、最終的にしっかり場をさらう。さすがだ。

という具合で、私としては若干の不満が残らざるを得なかったものの、総体としては成功作の部類に入るだろう。だからこそ、このあともう1作シリーズ作品が作られもした、そんな作品だったな。

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