ジャッキー・チェンと勝負する(53)
引き続き「21世紀のジャッキー・チェン」 2004年の「香港国際警察/NEW POLICE STORY」です。
ハリウッド進出後、香港オンリーでの作品が減っていたジャッキーが、「ツイン・ドラゴン」以来、およそ12年ぶりにオール香港で製作した作品というふれこみ。中国語原題は「新警察故事」
タイトルからもわかる通り、ジャッキー映画の中では唯一といってもいいシリーズ作品「ポリス・ストーリー」シリーズに連なる作品だ。
1985年から1996年までに計4作が作られた「ポリス・ストーリー」シリーズは、いうまでもなくジャッキーの代表作。ジャッキーのハリウッド進出とともに、香港ローカルのこのシリーズは製作が途絶えていたわけだが、8年ぶりの復活というわけだ。
ただし、この作品は、これまでのシリーズ作品とは、設定などが大きく異なる。
そもそもジャッキーが演じる刑事は、かつてのシリーズでジャッキーが演じた主人公とは別人。名前も違うし、恋人もマギー・チャンではない。そして下っ端の刑事だった過去のシリーズの主人公と違って、今回は部下を率いる警部殿である。出世したもんだ。
その警部が、ゲーム感覚で警官を殺しまくる謎の集団によって部下たちを惨殺される。事件の責任を取って停職処分まで受けた失意のジャッキーが、ふたたび活動を開始した集団に再挑戦する。
ジャッキーが年を取ったせいもあるのだろうが、ストーリーを語る目線がずいぶん変わった。そして、そのせいで、全体に重く、暗さが主になっている。かつての、明るく楽しく、そしてちょっと軽めのストーリーとは明らかにテイストが違うのだ。
つまりこれが「21世紀のジャッキー・チェン」であり、タイトルに「新(NEW)」がついたゆえんだろう。むしろ、邦題を「新ポリス・ストーリー」としていたシリーズとは別物の作品「重案組」(1993年)に近い存在だといえよう。
とは言っても、相変わらず脚本にはツッコミどころも多く、そのへんはかつての「ジャッキー映画」の特徴を存分に残している。ちょっとだけ安心したりして。
そして、体を張ったアクションは健在だ。CGなんかお呼びでない(ちょっとは使ってるけど) ラストのNG集は、ハリウッド作品でも使われるくらい、ジャッキー映画の名物になっているが、いかんせんアメリカと香港ではその危険度が違う。NG集の迫力も、ヌルいハリウッド映画とは段違い。やっぱりジャッキーはこうでなくちゃね。
そしてラスト。ここまでの作中では、ジャッキー映画の特徴である軽めのギャグは皆無だったが、最後の最後に「らしい」シーンが用意されていて、ホッとした。めでたしめでたし。
ということで、「21世紀のジャッキー・チェン」でも、やっぱり「ジャッキー・チェン」は健在だったという結論に達しましたとさ。次が楽しみになったよ。
そうそう、邦題は「香港国際警察」だが、いったいどこが「国際」なのか。事件は香港ローカルだし、ごく普通の警察官だぞ、ジャッキーも。
いやいや、でも考えてみたら、シリーズ第1作も「ポリス・ストーリー/香港国際警察」だったっけな。ああなんだ、タイトルとサブタイトルが入れ替わっただけじゃないか(笑)
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