春場所ニューカマー9年後
平成27年春場所デビューの新弟子たちのその後を定点観測し続けて、もう9年。ついに彼らの力士生活も10年目に入りました。この1年、彼らの土俵生活はどうだったんでしょうか?
同期の中ではいち早く昇進し、3度の幕内優勝を手に大関にまで昇った御嶽海でしたが、そこを頂点として2022年は急降下。大関の座からはわずか4場所で陥落し、その後も負け越し続きで番付を平幕下位にまで下げてしまいました。2023年は逆襲の年になったのでしょうか?
残念ながらこの1年も低迷が続いたようです。2022年からの6場所連続負け越しは夏場所で食い止めたものの、前頭上位に行っては撥ね返されるばかり。相撲内容もパッとせず、どうも復活の兆しが見えません。まだ体調が戻らないのでしょうか。
御嶽海にかわって同期でトップにたったのは霧馬山です。
昨年春場所で初優勝した霧馬山は続く夏場所も11勝をあげて大関の座を射止めました。それを機に、師匠の現役時代の四股名である霧島に改名。新大関の場所は負傷で負け越しでしたが、秋場所のカド番を切り抜けると、九州場所には見事2度目の優勝。綱盗りに挑んだ初場所にはもう一歩のところまで迫りましたが、一気に横綱昇進の可能性も感じました。ところがこの春場所は大負け。どうやら首の負傷があったようですが、夏場所はカド番のピンチです。立て直せるでしょうか。
大きな負傷を乗り越えて復活してきた宇良は引き続き上位挑戦の1年でした。
前頭上位に定着し、毎場所上位を苦しめる存在になり、初場所にはついに小結の昇進、新三役の座を手にしました。その後は負け越しが続きましたが、相撲内容は相変わらず派手で、しかも安定感が加わってきて、会場人気は抜群のものがあります。大勝ちがないせいか三賞には縁がありませんでしたが、今後も楽しませてくれそうです。狙うは三役定着か。
こちらは相変わらずの不安定さが続く北勝富士。
下位で勝ち越し上位で負け越しが、もうすっかり特徴になってしまった感じですが、名古屋場所ではドカンと大仕事。堂々12勝を積み上げて優勝決定戦まで進出。惜しくも豊昇龍に敗れたものの3年半ぶりに三賞(敢闘賞)を受賞する活躍を見せ、ついにブレイクの時がきたかと思わせました。続く秋場所には前頭筆頭で勝ち越して、2020年春場所以来に三役復帰まで果たしましたが、小結で臨んだ九州場所は大敗。続く初場所は負傷で途中休場となり、この春場所も負け越しと、再び幕内下位に。まぁ特徴をいかんなく発揮したってことなんでしょうか。
昨年初場所に、こちらも師匠の四股名に改名した井上改め肥後ノ海。
2020年に大きな負傷で約1年を休場して幕下から序ノ口まで下降、そこから1年かけて幕下19枚目まで番付を戻した昨年春場所でまたしても負傷のため途中休場。そんなわけで秋場所までの3場所を全休し、再び序二段まで後退してしまいました。つくづく負傷とは恐ろしいものです。それでも負傷が癒えれば実力はある肥後ノ海、3場所連続で勝ち越しで幕下復帰も見えてきました。今度こそは一気に関取の座へのアタックまで行きたいですね。
肥後ノ海と同様に幕下まで番付を進めた、小原、大和湖、漣の3人は幕下には定着したものの、なかなか十両昇進のチャンスをつかむまでに至っていません。
十両昇進の可能性は、まずは幕下15枚目以内に進むこと。そこで7戦全勝すれば十両昇進という内規があるためです。この春場所にも13枚目で7戦全勝優勝した風賢央の十両昇進が決まりましたね。肥後ノ海を含めた同期の幕下4人組は、秋場所の大和湖の14枚目が唯一の関取チャンスだったのですが惜しくも2勝5敗でチャレンジ失敗。まずはここをクリアしなければ、同期で5人目の関取誕生はあり得ません。
来たる夏場所には、ひょっとすると小原が15枚目以内に浮上するかもしれません。頑張れ。
そして残る幕下経験組の諒兎馬はこのような1年。
昨年春場所に負け越して幕下から陥落したあと、5場所かけて幕下復帰にこぎつけたのですが、どうやらまた三段目に戻ってしまいそうです。ここはもうひと踏ん張り、幕下定着を目指したいところ。
いっぽう、いまだ幕下昇進の壁を破れないでいた同期の残る6人ですが、残念ながらこの1年で幕下昇進を果たしたものはいませんでした。壁は厚い。
そのうちのひとり、朝虎牙が2023年秋場所を最後に引退しました。最高位は三段目19枚目。お疲れさまでした。
また、福湊は今年初場所から福生龍に改名。これを機に躍進して欲しいところ。
また大当利は九州場所で自己最高位(序二段14枚目)を更新しています。
朝童子、出羽の空、京の里も引き続き頑張ろう。
43人いた平成27年春場所組(同場所に新弟子検査に合格した組)も、現役力士は15人になってしまいました。15人のうち幕内昇進者が4人、その全員が三役に昇進し、優勝経験者が2人、大関昇進者も2人。これはかなり優秀な組といえるのではないでしょうか。
でも、もちろんまだ終点ではないです。それぞれがさらに高い目標に向かって、いっそうの頑張りを期待します。
では、また来年お会いしましょう。