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500円映画劇場「宇宙戦争ZERO」

今回は2009年のカナダ映画「宇宙戦争ZERO」(原題:High Plains Invaders)

意外にも、けっこうちゃんとした映画でした。

1892年。まだ西部開拓時代、コロラド州の高地にあるスモールタウンが異星人(らしい)に襲撃され、町の住人とガンマンたちが立ち向かう、というお話し。

ウェスタン+インベーダーってネタですが、あの「カウボーイ & エイリアン」よりも2年前の作品。だから独創性は認めてやりましょう。

製作ニュースを聞いて思いついて、先手必勝とばかりに急いで作っただけなのかもしれませんがね。もちろん勝っちゃいないけど。

ヤスモノ映画の常套手段に従って、舞台を小さな町に限定し、登場人物も少なめなので、「宇宙戦争」的なスケールの広がりは見られません。まあロケ費用を考えれば、いたしかたない。

そして説明不足というよりは、メンドクサイから説明を省いたかのように、異星人(らしい)の目的や正体も、ほとんど明かされません。ウランを喰うとか何とか、なんか取ってつけたような説明はあったけど。

虫っぽい異星人(なのか、彼らの作るロボットか何かなのかわかりませんが)のCGは悪くないです。いやこのクラスの映画にしては上出来の部類でしょうね。ヤスモノ映画にはありがちな「ポンと出てきちゃう」緊迫感のなさも少なめ。

手前の虫どもは出てくるが、背景はパ■リ

ただ、敵の数とかその位置状況がはっきりしないのは、ウェスタンとしては重大な欠点。これは演出の下手さゆえですね。このへん、ガンファイト演出の名手であるジョン・スタージェス監督のウェスタンでも見て勉強してください

という具合に、いつものような欠点もあるにはあるのですが、それが致命傷になっていないのは評価してあげましょう。

登場人物はきちんと「怪獣映画の人物配置の黄金則」にしたがい、主人公(元強盗犯の死刑囚)、科学者(ウラン鉱石掘ってる)、軍人(すぐに戦いたがる好戦的ガンマン)を配しています。偉い。

この好戦的ガンマン役に、男勝りの女性ガンマンをもってきたのが、(まあ)成功の一因でしょう。

けっこう美女で、腕は立つが、人間性は最低で、異星人との対決中にもさっさと自分だけ逃げだそうとしたりして、見る者のヒートをあおります。こういうキャラクターを一枚加えるだけで、ドラマとしての厚みが増すわけですね(ちょっと誉めすぎか)

この女性ガンマンを演じたのはサニー・ファン・ヘーテレン。ドイツ生まれのスペイン育ちだそうで、碧い目が印象的。「あんがい早撃ちじゃないか」というセリフがよかったね。

本作はカナダ製のテレビ映画。

この国は、500円映画の世界ではけっこう主流のひとつで、おおむね大した出来ばえではない作品が多いのですが、たまにはこういう「当たり」もあるってことでしょう。

いつもクソミソにいうばかりの、わが「500円映画劇場」ですが、誉めるときは誉めますよ。

「宇宙戦争ZERO」、ヒマな人は見て損はないですよ(誉めるったって、この程度か)

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