英国ぶらり(4) 世界遺産を見よう
私の世代、1970年代に子ども時期を過ごした男の子だったら、たいていハマったのが「怪奇現象」の世界。空飛ぶ円盤とかネッシーとか雪男とか心霊写真とか超能力とか。
そしてそんななかにドーンとあったのが「超古代文明」とその遺跡の話。エジプトのピラミッドをはじめ、いまや世界遺産になっているような遺跡の数々が、遠い古代に滅びた超文明の遺構だという説を唱えるシロモノで、いまでもけっこう人気ありますね。
そうした超古代文明の遺跡のひとつとしてよく話題になったのが、イギリスにあるストーンヘンジ。
学問的にいえば環状列石というやつで、世界各地にあるんですが(日本にもあります)、なかでもストーンヘンジが群を抜いて有名なのは、その規模が大きいから。高さ5メートル以上の巨石が立ち並ぶさまはたしかに「こりゃあ宇宙人のしわざだ」とか思いたくなりますね。
ストーンヘンジこそは、UFOの基地だとか、超パワーを秘めたスポットだとか、古代の生贄の祭壇だとかいった怪しげな説が、われわれボンクラボーイたちの頭に刷り込まれたわけです。
ということで、そこはかとなくあこがれのあったストーンヘンジを見にいくことにしました。ロンドン発の日本人ガイド付きバスツアーです。
ロンドンのビクトリア駅に朝8時ごろ集合して、観光バスで一路ソールズベリ郊外のストーンヘンジへ。所要時間およそ2時間。午前中のうちに現地に到着します。
いまでは超常現象もさほど信じていない私ですが、やはりドキドキしますね。巨大な駐車場があるビジターセンターからシャトルバスで約5分、そこから歩いていくと、ありました!
あのストーンヘンジを見てるんだと思うと、そこそこの感慨がありました。『世界の怪奇現象』とかで見た写真や、木曜スペシャルでワクワクしながら見たのと同じ風景ですからね。
でもね、感動の嵐というほど圧倒的でもなかったのも事実。
現在は巨石の近くまで行かれないせいもあります。地下の埋蔵物を痛めないようにと説明されてましたが、登ったり落書きする輩がいるせいもあるんでしょうね。むかしはサークルの内側まで入れたようですが、いまはサークルの周囲にはロープが張られ、そこを踏み越えると係員が飛んできて大声で制止されます。
これじゃあ、そうドキドキはしませんよ。
それ以上にストーンヘンジの周囲は、非常に牧歌的なんですよね。周囲は一面の草原ですが、そこでは牛や羊がノンビリ草を食んでいるし、カラスがやたらにいるしで、あんまり神秘的な雰囲気じゃありません。
まあでもこの景色って、ひょっとしたら何千年も変化してないんだろうから、まあしょうがない。ついにUFOは現われませんでした。
神秘ではなくても貴重な古代遺跡だし、列石を囲んだ周濠があるんだとか、その周囲には日本の円墳のようなマウントがたくさんあるとか(ほんとに墓所らしい)、いろいろ学びもありました。
そういえば、ロンドンへ帰ってきてからホテルでテレビ見ていたら、ストーンヘンジの石の一部が遠くスコットランドから運ばれたものだとわかったというニュースをBBCでやってました。へえ。
お昼前にストーンヘンジ見学は終了。こちらは、それで帰ってしまってもいいところですが、今回は団体行動のバスツアー。次なる予定が入っています。
またまたバスで約1時間の移動(実際には道路工事などあって、もうちょっとかかったけど)を経て、やってきたのはバースの街。
バースの街にもちょっと思い入れがあります。編集者時代に何度も担当した英国ミステリの雄ピーター・ラヴゼイの人気シリーズ、ダイヤモンド警視シリーズの舞台が、ほかならぬバースなのです。
なので、ダイヤモンド警視が捜査して歩いた街並みであるとか、彼の所属する警察署であるとか、殺人事件の現場になった場所とかを訪ねる手もあったんですが……なにしろ担当したのはどれももう10年以上前のこと。覚えてないよ。
そのうえ、これが団体ツアーの辛いところ。バースの街へのご滞在は、自由時間だけとはいえ1時間半。しかもこの時間内に昼食もすませねばなりません。根性あるツアー参加客は昼めし抜きで見物したいたようですが、わが家はそんなことはせず、手近のレストランでガッツリと飯食ってたので、街並みをぶらついただけでタイムアップとなりました。
今回のツアーではもう1カ所、コッツウォルズの村を訪ねるというメニューがありました。またまたバスで小1時間。
なんでも「ハリー・ポッター」のロケ地になって有名なんだとか。ハリポタ、見てないんだよね。でもテレビシリーズの「ダウントンアビー」のロケもしたそうで、こっちは見たからね。
例によって、滞在時間は約1時間。こちらは小さな村なので、時間は充分。ハリー・ポッターの両親の家とかありましたが、見てないのでピンときません。予習してくればよかった。
いかにもイギリスの田舎の村を味わえたので、行って損ではなかったです。村の名前忘れちゃったけど(笑)
これでツアーはおしまい。そこからまたロンドンへはバス2時間。
ヒースロー近くの高速道路で交通事故があって、しばし渋滞したのがツアー最後の見せ場でした。ちょっと酷そうな事故だったけど、大丈夫だったのかな?
移動の心配がなく(バスで居眠りしてても到着する)、ガイドによる説明も拝聴できるバスツアーも悪くなかったですね。もうちょっと時間の余裕があればいいんだけど、それはツアーの選び方でなんとかなるものでしょう。もっと厳しいツアーもあるそうですから。
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