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バンクデータとバンクコンディションから色々紐解く

以前の記事で、各競輪場の競走路(バンク)は周長が違う!・競走路(バンク)自体には規定がない!?というお話に触れました。各場バンクの仕様が異なるため、バンクデータという情報があります。そして、そのバンクの状況・状態(コンディション)というものもレース展開を考えるうえで、大切になってきます。今回は、菊池仁現役時代の動画からどういうことか?紐解いてみたいと思います(*'ω'*)!

バンクコンディションとは

バンクコンディションというのは、天候や風向き、気温、走路の状況などを指します。雨の日も、雪の日も、荒天でない限り、レースは行われます。立地によって風も異なり、それに季節や天候を加えると、レースに影響を与える要素がかなりあるのです。なので、当日のバンクコンディションや選手のバンクとの相性というのはレース展開を考えるうえで軽視できないんですね。

バンクデータとバンクコンディションからレースを紐解く具体例

具体例として以下の動画から紐解いてみましょう!現役時代の菊池仁志による愛媛県松山市にある「瀬戸風バンク」のバンクチェックです。

第52回オールスター競輪:瀬戸風バンク・BANK CHECK
・バンク自体はすごく軽くて高速バンク
・400バンクにしてはカントもたってるし走りやすいバンク
・33バンクと比べても遜色ないくらいたってるんじゃないですか
(47期・愛媛:菊池仁志)

バンクが軽いというのは、路面抵抗が少なく速度が出やすいという意味です。カントというのはコーナーにつけられる傾斜のことで、カントが立っているという事は傾斜の角度があるという意味です。傾斜を利用して加速することもできますね!(上るのに「力」パワー・エネルギーが要りますが…)

・風が競争に与える影響

Q.風が競争に与える影響は?
・夏風と冬風とで多少違う
・夏はホーム向かいのバック追いになる
・冬になるとバック向かい風がたまに吹く:そうなってくるとバンク全体が向かい風のような感じになる時がある

バンク内に吹く風の向きによって仕掛けどころが変わります。季節によっても風が変わってくるので注意です。追風を利用して加速する、空気抵抗が増える向かい風をどうしのぐか。全体が向かい風となると厳しいですね。瀬戸風バンクはバックストレッチの後方に国旗が掲揚されています。その向きは要チェックですね!

・季節による風の向き

Q.この季節、風向きはどうなりますか?(収録秋)
・夏風と冬風と日によって変わるかもしれない
・先行選手がバック追いの時は流れるので持つ
・全体的に向かい風になったときは先行選手はきつくなりますね

最終周回で、バックストレッチが追い風の時は先行選手もスピードに乗り、レースも流れて脚が持つのだけど、全体が向かい風になった時はずっと力が要るため最終局面に残る力が削られるということです。先行選手の力が重要になってきますね。

・仕掛けのタイミング

Q.このバンク、仕掛けのタイミングは?
・あまり早く仕掛けても意外とカントが立っているので力のあるまくり選手だと力で来る
・極力仕掛けを遅らせてバックを加速状態で通過してもらうのが一番いい ☜ これ基本

力のある選手がコーナーの傾斜を利用して加速してくると捲りが決まりやすいということです。そのため、力のある選手が(カントを利用した)よい条件下で加速してきた状態に負けないよう、バックストレッチ付近で一番加速した状態になることが大切ということです。これは基本だと菊池仁志が申しております(笑)。

・競りは内と外とどちらが有利?

Q.競りは内と外どちらが有利?
・風の影響による:全体的に向かい風が吹いているときは内がかなり重くなってくる
・競りになった場合:2コーナーまで外も我慢できれば外が有利になってくる

競り合う場面で内側と外側とどちらが有利か?という話です。外側はカントの傾斜もあり、距離も長くなるため、内側が有利なようですが、風によって条件が変わってくるということです。内側が重くなれば、外側の方が傾斜を利用するなどすればスピードが乗りやすいということもあるのでしょう。

・内と外ではどちらが伸びる?

Q.このバンク、内と外ではどちらが伸びる?
・内が重いときがある
・中バンクイエローのちょっと下くらいが伸びてくることが多い

先述の通り、風によって内側が重くなることがあります。中バンクイエローというのは、イエロー・ライン※の少し内側という意味で、この辺りが伸びがいい(スピードが乗りやすい)ということです。※参)⇒ http://keirin.jp/pc/static/beginner/basics/rules.html

・理想のレース展開

Q.菊池仁志の理想の展開
・先行選手が極力仕掛けを遅らせてもらって、バックを番手でまわること
・後ろのまくり選手たちが後ろのラインでもつれてというのが理想

先述の通りです(笑)。番手というのは先行選手の後ろの位置ということです。2番手、3番手というのはラインの前からの順番のことだそうです。参)⇒ http://keirin.jp/pc/static/beginner/keirin-glossary/ha-ho.html

・牽制時の注意

Q.ブロックに行くときに注意することはありますか?
・牽制すると上がりすぎる:カントがきつい分上がりすぎると内側を来る選手が出てくる⇒マーク屋のテクニックになってくる

2005年に移転新設された瀬戸風バンクは当時では新しいマッコーネル緩和曲線が導入されており、選手がその仕様になれていないことも多く、このような ❝牽制すると上がりすぎる❞ 事象をよく目にしたということです。傾斜の角度があるので、外側に自転車を振ると、遠心力で上にいきやすいのだそうです。現在はほとんどの競輪場にこのマッコーネル緩和曲線*が導入されていて、選手も慣れてきたためこういうことは目につく事象ではなくなったようです。

マーク屋というのは、目標とする選手(自力型:先行・捲り)の後方につけて追走する選手のことです。マーク屋は、後ろをどう威嚇・牽制するなどしてさばくか、というテクニックが必要なんですね。風を受けて力を使う先行選手の後ろには後ろの仕事があるんですね。そしてラインの絆になっていくんですね…。

*マッコーネル緩和曲線については、Wikiにありましたのでご参照ください(*'ω'*)

バーチャル体験

そして!瀬戸風バンク 傾斜角34度のマッコーネル緩和曲線、こちらの動画でバーチャル体験してみてください(*´ω`*)