切り株ひとつでいくらでも語れる実践レポ。ひた森勉強会(第2回|前編)
ひた森の担い手づくり協議会の広報チーム@林業初心者です。
第1回に続き、造林育林を学ぶひた森勉強会のレポートをお届けします。
第2回は12月16日に開催された、造林現地研修をレポート。
会場は前回の田来原(たらいばる)公園からほど近い、日田市前津江(まえつえ)の前津江公民館と、そこから車で5分ほどの山林です。
前日までの暖冬はどこへ行ったのか。寒く小雨が降るなか、これ以上降らないでくれと願いながら参加者を待つ我々。前津江公民館に集合し、第2回研修がスタートしました。
ひた森勉強会、第2回目は現場へ!
ひた森企画部会メンバーである、ナンブ木材流通の武内暁男部会長とマルマタ林業の合原万貴さんが挨拶。「50年先を想像しながら植えてみてほしい」という言葉に、広報チームはぐっときました。
野菜のように今日植えたものが3カ月後には収穫できるとはいかないのが、森づくりの世界。
林業初心者な広報チームは「50年後かあ…生きてたらXX歳かあ…」と、遠い目をしてしまう時間軸ですが、ネイティヴ・アメリカン(インディアン)の教えにも「どんなことも7代先のことまで考えて決めなければならない」とあるように、雄大な自然と共にある仕事には、現代人が忘れかけている大切な感覚があるわけです。遠い目をしている場合じゃありません。
そんなことをつらつらと考えているうちに、参加者一同はいざ、現場へ。
山道の傾斜や寒さもリアルな学びに
ここどこだろう? と思うような場所で車を降り(だって山の現場だもの)、国道でも県道でもない林道をのぼっていきます。
参加者の皆さんと急勾配の林道を登りながら、現場に着いてもないのに足に痛みをおぼえた広報チームは、まずここで思います。
四六時中パソコンの前に座り続けている我々のような運動不足人間こそ、造林を副業にすべきではないのか?
身体はうごかせるし、緑がいっぱいで目にも優しい。そしてしっかり副業になる。「良いことだらけじゃないの」と思いながら現場に到着しました。
それにしても寒い…。
こうした山道の傾斜や寒さも、前回の研修で学んだ「心得」のひとつなのか。先週の勉強会で体験した平たい森とは異なる、起伏に富んだ山道に、山仕事のリアルも感じました。
そして、ぐるりと杉林に囲まれた山林のなか、講師を務めるマルマタ林業と森林組合の皆さんご指導のもと、勉強会がスタートしました。
まずは「地ごしらえ」から
「地ごしらえ」とは、苗を植え付ける前に、地面に落ちている枝や葉っぱを片付ける作業のこと。
「地面に残っている小さな切り株などもこの段階でとっておきましょう」と講師の先生。その心は、植林のあとに生い茂ってくる雑草を刈るとき、草に隠れた切り株に草刈機の葉があたるとキックバック(回転方向の反対に刈刃が跳ね返ってしまうこと)してしまうから。怖っ! という要注意事項です。
「地ごしらえ」で集めた「ごみ(枝など)」は「棚(たな)」と呼ばれる場所に盛っていきます。
切り株にみる「人の手仕事」にうっとり
参加者のひとりから「この切り株は?」という質問がありました。
みるとそこに立派な切り株がどーんと鎮座。
すると講師の先生は少しうれしそうな表情で、「この切り株は手切りされたもの」で、切る時には「受け口」と「追い口」があり、中央に「つる」があり、「切り株を見るだけでどっちに倒したかとか、どんな方法で作業したかわかるんだ」とか、「これを切った人はうまいね〜」とか、切り株ひとつで何時間でもたのしめそうなほど、うっとりと語ってくれました。
林業というと、広大な森のなかでもくもくと作業するようなイメージもありましたが(林業初心者である個人所感)、ひとつの切り株に残る誰かの気配が残る仕事なのでしょう。
林業に従事する方々はいつも「この木は○○だな」など、いろんな人の気配とともに仕事をしているのだと分かりました。
そして、伐採と同じように「植え付け」にも人柄がでるとのこと(ドキッ!)。
いくらでも語れる森の仕事。
「植え付け作業」「鹿ネット」は次回のレポートでお届けします。