見出し画像

奥深い「植え付け」「鹿ネット」の世界へ。ひた森勉強会(第2回|後編)

ひた森の担い手づくり協議会の広報チーム@林業初心者です。
ひた森勉強会のレポート・第2回前編に続き、後編をお届けします。

勉強会の現場は日田市前津江(まえつえ)のとある山林。

先週の晴天とはうってかわって冷たい雨の降る寒い12月、第1回勉強会で「リスク」や「心得」を学んだ私たちに対して、「リアルな現場とはそういうものだぞ」と教えてくれるための天候だと思い、講義に耳を傾けます。

前編の「地ごしらえ」に続き、後編で習うのは「植え付け」と「鹿ネット」です。

奥深い「植え付け」の世界へ

まずは講師陣がお手本を披露します。

講師による植え付け見本。植え付けひとつも奥深い世界です

「根を曲げたらだめ」「広がるように」
「踏んだ後に少し引っ張り、ほどよく抜けないか確認する」
「根が曲がってる苗は芯をまっすぐなるように植える」
「上に出ているところを真っ直ぐにする」

講師によるお手本とレクチャーに参加者は興味津々。
見学の後は、実践として「ひとり5本」を植えていきました。

苗は「作る人によって長さがちがう」とのこと

見るはやすし、行うはむずかし。
参加者それぞれが植え付けに挑戦していくなか、講師より

「踏み込みが1番だいじ。活着がちがう」
「かかとでふんでしっかり、根っこの間にしっかり土を入れるのが大事」

といった細かな教えが伝授されていきました。

「シェルター」と呼ばれる白い筒は、苗木をシカの食害から守るアイテム
ものによっては生分解性するものがあるとのこと

造林や育林は、山の持ち主である山主からの依頼によって行うことが多いため、どのくらい植えるか、どのように植えるか、など事前の打ち合わせが大切になることも、作業の合間に教えていただきました。

苗木を天敵から守る「鹿ネット」

最後は鹿ネット。
見るだけならかわいい鹿も、大切に植えた木々を食べてしまう害獣。鹿との戦いはさまざまですが、今回は「鹿ネット」を学びました。

地中にポールを埋め込み、ネットを貼っていきます。

「傾斜に対して垂直に打ち込む」
「杭は50センチ打ち込む」
「杭にスプレーとかで50センチ地点に印をつけておくと便利」
「下に岩とかある場合は移動させる」

講師陣の動きをみると「簡単そう」と思うものの、実際にはそんなはずなく、慣れない人は「3人」で張るのがおすすめと教えてもらいました。

鹿ネットにはいろんな色があるけど大分は「オレンジ」と「黒」が多いそう

「地ごしらえ」「植え付け」「鹿ネット」まで学んだところで下山。

冬の山仕事は寒いという、当たり前なリアルも五感で学びながら、前津江公民館に戻りました。

ぶるぶる震える身体を、地元のお母さんお手製のお弁当や豚汁に温めてもらった後は、午後の座学では質疑応答が行われました。

実際はどうなの? リアルな質疑応答

「山道をみているとゼロからやるには難しそうに見えるが、植林をやるには重機などが必要となるのか?」
「植え付けの仕事は年間通してどのくらいできるか?」
「苗はどこでつくられているのか?」

参加者からの質問に、日田市の佐藤朝子さんが回答していきます。

日田市農林振興部林業振興課 地域林政アドバイザーの佐藤朝子さん

ある参加者からの「『棚』の必要を学んだが、切ったあとの丸太などを斜面に縦に置いたままになっている山も見かける」という意見に、佐藤さんは「個人の所有林なので、本人の意向としてそれをしているので良い悪いをいえない」と回答。

とはいえ、「日田の人は意識が高く、伐採する作業者と所有者との話のなかで(切られた木が)残っていることもあるが、雑なことしないという意識のなかで管理されています」とのこと。

こちらがしっかりつくられた「棚」の様子(配布資料より)

なるほど。
今日の講義で少なくとも、広報チームの「日田の森を見る目」が変わったことを感じながら、第2回目勉強会は幕を閉じました。

次回の実践研修は、2024年2〜3月に開催予定。

ちなみに、スパイク付きの長靴を履いていたマルマタ林業・合原万貴氏によると「長靴(スパイク付き)は長時間歩くには大変だが、今日のようにぬかるんでいる時はよい。長時間作業するときは地下足袋がいいですよ」とのこと。

肝に銘じて次回に備えます。