※二次創作 紳一×直人④last
体内に紳一の欲望の残滓を残し入れたまま、散らばった衣服を身につけ、ネクタイを締め、自らが床に零した白濁を手早く拭い去り、一連の発散が終わって体力回復のため安らかにベッドに横たわる紳一を見届けてから、オレは部屋を出た。
靴を履いて進む木造の校舎の廊下。直管の長い電灯が照らしつける。本来の紳一の家とは異なる、辛気臭い廊下だ。壁や床の木が湿気を沢山吸い込んでいる。改装業者を入れたが、ややもするとどこかの戸板が外れ抜け落ちそうな雰囲気がする。
せっかく女どもを集めたのに、ここまで来てオレの体でしか性欲を発散しないとは。
もしかして紳一の体力が性欲に追いつかないのか。
女達を襲いたくとも、限界の寿命が狭まり、行使できないで足踏みをしているのか。
それならそれで、オレや木戸達に女達を犯して、その光景を持ってくるよう命じればいい。
足が止まる。
……もう、僅かにしか、紳一の命の火種は無いのか。
自分の顔が映る窓の外の暗闇を見ている。昼間なら校庭が見えるはずの窓は、光が無くなんも映し出しちゃいない。
立ち止まり、紳一の寿命が残り数日かもしれないと浮かんだオレの心臓は、意外に心音が高鳴り、足が踏みしめた底に沈むような感覚と、気持ちに苛々と静けさとが入り混じり、ヒヤッとする氷に触れた時のような無音の世界の中に全身が黙って落ち込むのだった。
それが何の、どういう感情かも、自分では名付けれずに。
何かが、目を閉じた瞼の裏側にある、真っ黒な脳裏を閃いた。
汚泥の血流は忌まわしい想像力をこの俺にもたらす。
脳裏の暗闇に白い切れ込みが浮かび上がり、悪夢の胃袋がやっと口を開ける。
許された、かに思えた。
俺の昏い欲望とおぞましい渇望から、俺自身は。
許された。かに思えた。
しかしそれは、許されたのではなく、一旦溜め込み、溜飲を喉の奥に引き下げ、しばらくの間を待ち構えていただけだったーーーー。
そして、階段を降りていく。
地下の檻の前。滲んだ電灯の下。
白刃を腕に抱いた直人が壁に背をつけ立ち、銃を持った木戸が檻のすぐ手前にいる。
古手川は腰を床につけ座っている。
俺の姿を見て檻の中の女生徒達の顔や瞳に次々と希望の色が浮かぶ。部下達は一斉に俺を見る。直人は怜悧な表情のまま鋭い目つきの直視を向け、木戸は怪訝に、古手川は固唾を飲んで見守っている。
安堵が気配に浮かぶ彼女達の顔色。
連れてこられてから危険な目には何一つ遭わせていない。滅多に見れなかった首謀者の姿が自分達の目の前に現れ、きっと
ーーーーきっとお金目当ての誘拐なのね。
ーーーーお父様達と、身代金の話はついたのね。
ーーーー私達はもしかしてこのまま家に帰されるんじゃないかと。
ーーーー無事に、解放されると。
そう…………思っているな?
だが。本当の悪夢はこれから始まるのだ。
緊張が場を支配し、部下達が次の一言を待つ中、きっぱりと口を開いた。
「女生徒達を全員裸にし、外の校庭へと並べろ」
俺を捕らえた悪夢は、俺だけに飽き足らず、この場にいる全員までをも、一人残らず捕まえているのだから。
終
(オチなし!ヤマナシ、意味ナシ!伝統的なあれ)