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※二次創作 紳一×直人②


胸に溜まりきった黒い泥雨は、栓を引き、外に抜かれることなく、涅色の血液として体中を巡り、邪まなる発起をこの頭へともたらすばかりだ。

外の降り続く雨はクオンティティを変化させ、さっきまであれ程勢いが盛んだった雨は、いつのまにかしとしとと、泣く様に陰気な振り方へと変わっていた。
体感的に部屋の湿度が上がった。
建物の補修は、完全では無かったらしい。



この頃の紳一は、身体が急速に弱ってきていることにイラつきを増しているのか、以前より言動……気分に、一致性が見られないことが多くなってきた。
朝には機嫌良く眺めていたものを、昼には目の前から下げろと言う。
食欲が無いと取らなかった食事を、二、三分の後に再び持って来いと命じる。
……あれ程までに待望した女子生徒達を、踏み躙りもせず、未だに手を伸ばさない。
何を、考えているのか。
あるいは考えなどないのかもしれない。
全ては、紳一のムラッ気のある気分次第でしかないのかもしれないが。
手持ち無沙汰に閃めかせている鞘から抜いたままの白刃に、オレ自身の顔を映す。
旧校舎のあちこちに吊り下げられている裸電球の弱光と、オレのまぶた、鼻先、口元を反射し映し出している。
紳一の血の気の悪い顔と比べてもどこも血色の良く健康的だった。刀がずれ、背後の丸い壁掛け時計が刀身に映る。薬の時間だ。


木製のドアが叩かれた。直人だ。
「紳一さま、お薬の時間ですよ」
薬は室内に常備してある。直人は決まった時間に飲み忘れなく、ちゃんと飲んでいるかをチェックする為に、毎日同じ時間に部屋に来る。
「まだ飲んでいない」
「それは、いけませんね」
ベッドのすぐ横のサイドテーブルにつかつかと歩み寄る。
引き出しを開け、中の薬包を掴み、何包かちぎっては、水差しから水を移したコップと共にテーブル上に置いてあるトレイに載せて目の前に持って来る。
黙って受け取り、水を飲み、喉奥に薬を押し流す。
「直人」
嚥下しながら思いついたことをやらせようと、すぐ側に立つ側近に声をかけた。
「はい」
「脱げ」
「…………はい」

返事までに俺の意図を考える様子のタイムラグがあったが、そのまま直人は目の前に立ち衣服を脱ぎ始めた。
上着を取りネクタイを取りシャツを開襟し、そのまま床に脱ぎ落とす。
しなやかな腕は腰のベルトに手をかけ、金属の擦過音を響かせながら、ストンと同じくボトムが床に落ちていく。
下着として履いているのは、俺が着用を命じているハイレグのビキニブリーフだ。
薄紫のビキニブリーフにまで手をかけようとした所を声をあげ止めさせる。
「そのまま、後ろを振り向き背中をよく見せろ」

直人は一回一瞥すると、「はい」と背後を向く。
尻の後ろ側は、布地がほぼ無いデザインとなっておりTバック状になっている。
引き締まった双臀の間には紐一本しか食い込んでいない。
俺に脊柱沿いの背筋を見せやすい様、少しだけ首にかかる襟足の髪の毛を両手で持ち上げうなじを露わにしている。



続く

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