闇の城と悪魔の鏡 ①
中世ヨーロッパのどこかの街、双子の弟の視力を助けるために、17歳の少年は、森の奥の人々の恐れる城に入っていきます。
そこで待ち受けていたのは、多彩な魔術を操る城の主から受けるあまりにインモラルな姦淫でした。
1 闇の城と悪魔の鏡
───森の奥深くに闇の城と人々に呼ばれる城が存在した。
───決して誰も近寄るな、とお触れが出ている禁断の古城。
───悪魔が住んでいるから、入ったらもう戻ってこれやしないぞと、昔からまことしやかに知れ渡るる、誰も手出しは出来ない城。
───人々が住む街からは遠景に城の姿があんなにもくっきりと目に映るのに、誰も触れられぬ、足を踏み入れようとせぬ城だった。
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アシル・ルロワがあの城に興味を抱いたのはいつ頃からだったろう。
同じ顔をした双子の弟のティモテ・ルロワがこう口にした時からか。
「兄さん、あの城の中にはどんな病気も治す不老長寿の秘薬や、何でも願いを叶えてくれる大鏡、動く人形達、そして恐ろしい大魔法使いが住んでいるんだってね」
「そんなお伽噺のようなものが本当にあるの?」
「皆がいってた」
街の子供達はあの城について、それは楽しそうに他愛なく噂した。
アシルとティモテが共に17歳の誕生日を迎えてまもなくだった。
ティモテが珍しい病にかかり伏してしまった。
医者の話によると、命には別状無い病だが、このままだと1か月もすれば、ティモテの目はあえなく失明するという。
アシルはおののき、うわずり嘆いた。
可愛い可愛い俺の双子の弟の目が生涯の光を失うなんて。
(……あの城の中にはどんな病気も治す、不老長寿の秘薬や……)
アシルは藁にもすがる想いで、茶のマントと帽子を掴み取り、あの闇の森の古城に向かってみようと思った。
あり得ないまやかしの話でもいい。
何かしたい!いても立ってもおれず。
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闇の城のたった一人の主、デモニアス・ファリオ。
通称デイモス。
長い黒髪が金刺繍の黒づくめの装束に合わさる。
彼はファリオ家が始まって以来、代々伝わるファリオ家最大の家宝
「デモシーヌの鏡」がある
デモシーヌの鏡の間で
それは大きい凝った黒ブチの鏡の前に向き合って佇んでいた。
この大鏡はファリオ家の始祖が、#デモネス__女悪魔__#と契約した暁の
「#デモネス__女悪魔__#との#ジュラメント__誓約__#」
と呼ばれる、確約の誓いの品なのだった。
─これがあるから、私達一族は魔力を使えてきた。
この鏡が壊されない限り、デイモスは大いなる#マジ ノワール__魔術__#を使い放題。
だがこの鏡がある城を離れると魔力は一切使えなくなる。
つまり城とデモニアスは一身同体のようなものだった。
デイモスの魔力が通用するのは、この城の中でだけ。
城を抜ければただの人。
つまりデイモスもまた、この鏡に、そして城に縛られている。
城の中だけで既に300年、長い年月を生きていた。
ファリオ家の人間は、今やデイモス、たった一人だ。
「我が主人!我が主人!」
唐突にそばの窓辺に佇む黒鴉が羽根をバタつかせて慌てるように喋った。
「怪しい人間が城に向かってる!城に向かってる!」
2 哀れなオプファー(生け贄)
馬の蹄の足音が止む。
「噂の城に着いたぞ」
丸一日近く馬を走らせ、あたりが暗がる時刻には、アシルは闇の城の
門構えの前に着いた。
遥か大きな扉は簡単には開きそうもない。
どこか人一人が入れる通用口らしき入口は無いのか?
城の周りを一周していると、庭園の中にブリキで出来たような等身大の兵士の人形が座り込んでいた。
鈍色の輝きを放っている。
「すごい立派な人形だなぁ」
近寄り思わず触れてみようとすると、いきなり兵士の人形はすっくと起き上がった。
「怪シイ訪問者ダ、連レテイク」
「何すんだ!放せよ!」
銀のブリキ人形は、アシルの首根っこを無理やり掴んで引きずっていった。
デイモスの前まで引きずられてきたアシル。
ここは謁見の間のようになっている。
大きな王座に待ち構えたデイモスは座っている。
「初めまして、アシルとやら。ふむふむ、弟の目の病のために、治す薬を授けてもらいにきたと」
何も言っていないのにいきなり素性や事情をあてられ目を丸くするアシル。
「俺はそんなにお人好しかな?ねえおまえ、なぜ俺が筋合いもない子供に無償の協力を貸さなきゃならない!」
デイモスはいきなりそう言って怒り出した。
「でもせっかく訪れてくれたんだ。この城の歓迎はしてやろう。たとえ招かれていない客でも─────」
激昂したかと思えば一転穏やかな口調でデイモスは笑った。
デイモスの長くて黒い爪。
アシルの前まで歩みよってきたデイモスは、片手を指を揃えてのばし、うろたえるアシルの首に爪をあて、一線横に切るような動作をした。
するとアシルの首がまるで外れるかのように取れた。
胴体からポロンと取れてしまった。
「おっと」
デイモスが慌てて落ちる首を地に落下させないようキャッチする。
取れた首のアシルの目はパチリと開いてまばたきをし、ちゃんと生きて思考をしていた。
「返事は出来るかいアシル」
「おっ、おれは一体どうなったの?何で首が」
「こちらにおいで」
同じく座り込んで自ら動かないアシルの胴体の手を紳士的に引いてエスコートし、デイモスは奥の部屋に導く。
「君はこちらに入っとけ」
キャビネットのような、ガラス貼りの飾り棚。
そこに翠に光る鍵を差し込んで開けると、アシルの首をそこに入れて飾り、ガラスの蓋をし、鍵を閉め、アシルの首を置いてけぼりにし、デイモスはアシルの胴体とどこかに去った。
3 幻触
しばらくすると首だけになったアシルに、不思議な感覚が襲ってきた。
首だけになっても体が触られる感覚やものがあたる感覚など、胴体の五感がちゃんと通じてくるのだ。
胴体は座らされ、多分先ほどの男に体を撫でさすられている。
気持ち悪いなとアシルの顔は歪むが、首だけになったアシルの脳の命令では、胴体を好きに動かせない。
あちこちを触るのがだんだん淫らな触り方になってきた。
ともすると、不快な感覚のそれは、いつしか妙な快楽を伴うように変化しつつあった。
その内あっとアシルは驚いた。
これは#ソドミエ__肛門性交__#の感覚だ!
嫌な波が無力な胴体を襲っている。
完全に抵抗できないおれの胴体を。
アシルは悔し涙が流れたが、首だけなのでどうにも動かせるものが何もなく、ただ睫毛のまばたきと、口元を歪ませるしか自由にならなかった。
好きなように襲われ果てる感覚がして、時間が経つと、先ほどのデイモスが裸の胴体を伴って目の前にきた。
飾り棚の向かいにあるソファに胴体を座らせると、棚に近付いてくる。
「どうだい。#ジョカットイオ__おもちゃ__#。ご気分は?」
自分を呼ばれたらしい。
「おれの体に何を……」
「#ルジュエ__おもちゃ__#が喜ぶようなことさ」
デイモスはさっきから名前を呼ばずに、おもちゃ、おもちゃ、とアシルを呼ぶようになった。
どうやら三か国の言葉くらいを混じえて話すのが、デイモスの言葉癖らしかった。
デイモスはソファに座り、アシルの首に見せつけるように、裸の胴体と淫らに絡まった。
「やめてくれ」
「おれの#マギー__魔術__#を思い知ったかな?よくもたやすく、恐れもせず、この城に来たもんだ」
どうやらデイモスは、無知がゆえに子供のように恐怖なく訪れたアシルを気に入らないらしい。
来るなら来るで、もっと怖がり、畏怖をしろ。と思っているらしい。
「ほら、みてみろルジュエ。おまえの#アフター__肛門__#を」
そういって男はアシルの後孔を指で開き広げ見せつけた。
「俺の#スペルム__精液__#で#ウォッシング__洗濯__#されているアフターを」
たしかに泡を吹いて白い液体が洗剤のあぶくのように開かれた後孔から溢れ出ている。
「どう?」
「ああ……」
アシルは目を閉じて顔を背けた。
「おまえは今日から俺のセックス・トイ・#マシーネ__機械__#」
そう放って、溢れ出ているそこにそのまま自らを新たに貫き埋め込んだ。
「あっ!!!………あ…あぁっ!!」
たちまちアシルの神経に耐え難い感覚が再び襲ってくる。
「伝わってくるだろ?俺と、おまえの、#セクス__性交__#の#ヴィブラシオン__振動__#が頭に」
わざと胴体の足を大きく開脚させ背後から抱き締めて差し込み、アシルの眼前に結合をイヤらしく見せつけている。
「フフフ、セックス・ペット・#マシーヌ__機械__#……。この城に一度来たらもう元の居所になんて戻れないぞ」
「くうっ………うああ…………!……そんな」
絶望に咽ぶ落胆のアシル。
デイモスは散々突き入れ、再度果てる。
「なかなかよい#ゼクス__性交__#だ。気に入った」
デイモスは飾り棚に近寄るとアシルの首が入ったガラス蓋を開け、小瓶を懐から取り出し、アシルの首の脇に置いた。
「これがおまえの弟の目が治せるようになる#マジ__魔術__#で作った薬瓶だ。入れておいてやるよ。機会があればおまえがこれを盗ってこの城から見事逃げられるのか、眺めるためにな」
首だけの状態で胴体も人質に奪われ、逃げれるはずがない。
完全に面白がっているようで、アシルの首の横に緑の美しい装飾の小瓶をコトンと置き、蓋を閉め、鍵を閉め、また、胴体と共に去っていった。