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複素数の四則演算
読者の皆さまこんにちは😃!
Recurtionというプログラミング独学レッスンがWeb上にあります。そこにサブスクリプションをしていて、プログラミングの課題が合格するとXに投稿できるようになっています。
同じXにはこのRecurtionの代表の方も投稿しています。その投稿の中で今日の朝、印象に残ったのが、「プログラミングは数学の延長だ」という発言です。
確かに私自身もそう思います。アルゴリズムを考えたり、計算式を考えたりと数学の知識を使います。
足し算
複素数の足し算は、今までの実数での足し算と違います。手順は次の順にやります。
2つの複素数の実数部分どうしの足し算を行います(実数部分の和)。
純虚数(数字の部分)どうしを足します。純虚数の和(足した合計値)には$${i}$$をかけて、純虚数であることを示します。
実数部分の和と純虚数の和($${i}$$をかけた後のもの)とを足し算でつなぎます。これが足し算の答えです。
例題で示すと次のようになります。
$$
\begin{array}{} (a+bi)+(c+di) &=& (a+b)+(bi+di)
\\\ &=& (a+b)+(b+d)\times{i}
\end{array}
$$
この式展開で、$${(a+b)=A、(b+d)=B}$$と置くと、
$$
\begin{array}{} (a+bi)+(c+di) &=& A+Bi \end{array}
$$
という形になり、複素数どうしを足した結果はまた複素数となります。このことを「複素数は足し算について閉じている」と言います。
なお、複素数どおしの引き算は、引く側の複素数に$${-1}$$を掛けた複素数との足し算と同じなので、ここでは式展開を省略し、練習問題としておきます。
練習問題
$${(a+bi) - (c+di)}$$を展開して、1つの複素数にせよ。
掛け算
掛け算は実数の掛け算と同じです。しかし次のように違う点があります。
複素数の掛け算の規則
$${i}$$がつく項はカッコでまとめて、$${i}$$を掛ける。
$${i^2=-1}$$と虚数から実数に変換する。
$${(a+b)(c+d)=ac+ad+bc+bd}$$という計算で、$${b}$$と$${d}$$とをそれぞれ虚数$${bi}$$と$${di}$$とに置き換えます。すると、$${i^2=-1}$$に注意して、
$$
\begin{array}{}
(a+bi)(c+di)
&=& ac+a\times{di}+bi\times{c}+bi\times{di}
\\\ &=& ac+(ad+bc)\times{i}+bd\times{i^2}
\\\ &=& (ac-bd)+(ad+bc)i
\end{array}
$$
となります。以上の計算では実数での計算法則と、上記の複素数の掛け算の規則2を使いました。
掛け算についても、上記の式展開で$${ac-bd=A、ad+bc=B}$$とすると
$$
\begin{array}{} (a+bi)\times(c+di) &=& A+Bi \end{array}
$$
となって、複素数は掛け算についても閉じています。
割り算
分母が複素数、分子も複素数の場合を考えます。式で表すと、次のようになります。
$$
\begin{array}{} \cfrac{a+bi}{c+di} \end{array} (1)
$$
このままでは、どういう数なのか訳がわからないので、「ワザ」を使います。
割り算におけるワザ
まず、$${(a+b)\times(a-b)=(a^2-b^2)}$$となることを確認します。この式で$${b}$$を$${bi}$$と純虚数に置き換えて、掛け算を計算します。すると、
$$
\begin{array}{}
(a+bi)(a-bi) &=& a^2+a\times(-bi)+bi\times a-bi\times bi
\\\ &=& a^2+(-abi+abi)-b^2\times i^2
\\\ &=& a^2-b^2
\end{array}
$$
となるのです!ここでも、$${i^2=-1}$$となることを利用して式変形しています。複素数どおしの掛け算の結果が実数になりました。
分母の有理化
上記のワザを使うと、(1)の式の分母と分子に$${c-di}$$を掛けて計算して、
$$
\begin{array}{}
\cfrac{a+bi}{c+di} &=& \cfrac{(a+bi)(c-di)}{(c+di)(c-di)} (2)
\\\
\\\ &=& \cfrac{(ac+bd)+(ad+bc)i}{c^2+d^2}
\\\
\\\ &=& \cfrac{ac+bd}{c^2+d^2} + \cfrac{ad+bc}{c^2+d^2} I (3)
\end{array}
$$
となります。(2)で分子の計算は複素数どおしの掛け算です。分母の計算は上記のワザを使います。(3)の式は実数部分と虚数部分に分けて整理した状態です。
割り算における、このワザを使うことを「分母を有理化する」と称します。
まとめ
以上が複素数の四則演算となります。複素数でも実数と同じように自由に四則演算ができ、しかも演算結果がまた複素数となり、「閉じている」ことが確認できました。
練習問題
次の演算を行い、複素数の形にまとめよ。
$${(1+2i)+(3+6i)}$$
$${(1+2i)-(3+6i)}$$
$${(1+2i)\times(3+6i)}$$
$${(1+2i)\div(3+6i)}$$