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「泣くくらいじゃったら、黒幕を裂け」ヒスイの毎週ショートショートnote

その日、甲子園には巨大な黒幕がさがった。
看板には『トーナメント式ヒーリング大会』。

先攻の高校生たちが、黒幕にグレーのメモを貼っていく。

『いじめっ子のいる学校は、泣けるほど大嫌い』
『干渉しすぎるママがイヤ』
『僕を殴る父が憎い』

友だちが、家族が、学校が、社会が、この世界全体が。
主語は巨大に膨れ上がり、述語は痛みを伴っていく。
グレーのメモが漆黒の幕を埋め尽くす。
メモの重みで、幕がちぎれそう。

後攻のターン。
カラフルなメモが、グレーの上に貼り付けられてゆく。
『泣くくらいじゃったら、笑おうよ』
『ママに、もうええわ、って言っちゃろう』
『アホなゲーム、いちぬけた! って、おやじの目を見たれ』

『いっしょにいるよ』
『いっしょにいるよ』
『いっしょにいるよ』

グレーのメモが、一枚ずつ落ちてゆく。
アルプス席から応援歌が流れてきた。

『もうええわ、泣くくらいじゃったら、一緒に笑おう』

ひらり、と最後のグレーが剥がれ落ちた。

【了 改行含まず410字】


泣くくらいじゃったら、
ヒスイと一緒に笑おう。

学校になんぞ、世界のすべては詰まっていないよ。

もうじき夏休みが終わる。
ヒスイの嫌いだった新学期を思い出すのです。




今週のヘイちゃんはお休みです。
へいちゃん。
ゆっくりしてね。

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