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「140字・20秒の恋歌:①鼻先に銀色の龍。ジャマ(笑)」

①「鼻先に銀色の龍。ジャマ(笑)」

久しぶりに本を開く。行間から銀色の龍があらわれる。
龍は空中を泳いで、あたしに言う。

『あの男はどうした』
『先週の水曜に捨てた』
龍がせせら笑う。
『ずいぶん時間がかかったな』
『恋してたもん』

本を閉じる。
銀の龍はまだ鼻先で踊っている。
次の恋なんて、もうないのに。