「今年さいごの桔梗をつぶす、大冒険」ヒスイのシロクマ文芸部
ただ歩く。右足と左足を出して動く。
そんなこと退屈だった。もっと跳びたかった。新しい世界で、冒険したかったんだ。
刺激的で、目をみはるような仕事。
スリルがあって大金を稼げる世界で、俺は大もうけした。
そして、喪う。
いま、俺は風をひたいに感じ、枯れた草の甘い匂いをかぐ。
指先で、今年さいごの桔梗をつぶす。
夏の終わりの紫を見ていたら、車いすの背後から声を掛けられた。
白衣のドクターが言う。
「おめでとうございます。明日、チタン製の両足が届きますよ」
ただ歩く。右足と左足を出して動く。
そんな退屈なことが、大冒険になる。
楽しみだ。
【了】(改行含まず265字)
本日は 小牧幸助さんの #シロクマ文芸部 に参加しています。
人生は、喪ってから価値が分かるものが多い。
喪ったことを悲しむのは大切だけれど、
それだけでは、ものたりない(笑)
せっかく生き延びたのだから
この日々を味わいつくそうと思います。
明日は体調を見て、書けたら書きますね。
いろいろ書きたいことがたまっているのです(笑)
連日、みょーな時間に更新してます(笑)
あつくて、体調がまだ戻らなくて。
ただ歩くことの喜びに、感謝です。