「ずっと、みてた。きみを」ヒスイの毎週ショートショートnote
西校舎1階には『顔自販機』がある。
俺が勝手に命名したんだけど。
水曜日3時45分、自販機の前に立つ。
自販機には小さな鏡があって、
鏡ごしの校庭では陸上部が練習中。
原さくらが、筋トレをしている。
目の奥でシャッターを切った。
こんなこと続けてても
何も変わらないし、
原と、付き合えるわけじゃない。
わかってるけど。
高3、6月。運動部はもうすぐ引退。
『顔自販機』の日々も、残りわずかだ。
気づけば校庭はカラ。俺はコーラのボタンを押す。
取り出したら、後ろに原がいた。
俺のしょぼい3年間に咲いた、花がいた。
「小田君、いつもここで買うね」
「……ちげーし」
「なに買ったの?」
しょうがない。
コーラを突き出す。
「やるよ」
「いいの? じゃあ代わりに教えてあげる。この自販機、鏡があるでしょ」
「ふん」
「水曜日、ポプラの前で筋トレしてると君がくる。鏡に、映るの」
俺は黙った。
「ずっと、みてた。きみを」
さてこのセリフ、どっちが言った?
とりあえず、
コーラは原が持ってった。
【了】(改行含まず418字)
今日は、たらはかに さんの 毎週ショートショートnoteに参加しています。
お題は「顔自販機」。 書きやすいような、難しいような(笑)
へいちゃんのは、こちらです。
こんな自販機があれば
女子はひじょーーーに助かるよね(笑)
明日は、シロクマ文芸部の日です。
6月は、毎週お題がでるので
がんばります(笑)
ではまた、明日―!
ヘッダーはUnsplashのLinkedIn Sales Solutionsが撮影
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