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「刑事、最後のホシをあげる」ヒスイの毎週ショートショートnote

刑事の一生は、どうしても捕まえたいホシと踊っているようなものだ。
手が届きそうで届かない。定年間近の俺にも、そんな相手がいる。

「カガリさん、無免、交通事故犯の聴取です」
「ああ」

取調室には若者がひとり。
書類によれば、赤信号を無視してトラックにぶつかり、逃走したらしい。

「なぜ信号無視を?」
「わからなかった」

……あの、どハデな赤信号がわからない?
俺はヤツを窓ぎわによんだ。夜空を指す。

「あの星が見えるか? 赤い星、火星だ」
「ねえよ、そんな星」

俺はまじまじと若者を見た。半グレだが、額に清々しさが残っている。
似ている顔。同じ年齢。

「……お前、赤色が、見えないんだな」
「しょうがねえ、遺伝だ」

そう、遺伝だ。俺の死んだ息子は赤色判別ができなかった。
俺も。もちろん、会ったことのない孫息子も。

夜空を見上げる。見えない火星に感謝する。

ありがとう、赤い星。
おかげで別件逮捕できたよ。
探し続けていた、息子の忘れがたみを。

【了】(改行含まず403字)


さあ、土曜日です!
今週も たらはかに さんの
毎週ショートショートnoteに参加しています。
お題は「火星 別件逮捕」です(笑) すさまじいお題ですね。

へいちゃんのは、裏お題をお借りしました。

わかるわ……血筋って、こうなるのよね。
偶然ですが、今日のヒスイ作とリンクしてるかも??

そして、どうどうと書きますが、
今週はこのお二人の作品にインスパイアされました(笑)!

kazeさん。
まさかの篝火星也(笑) はい、名前も設定もお借りしました!

そして、こちらも(笑)
ゼロの紙さん。
空の、色が見えないってところが
ずぎゅーん、ときました。


もうこれでいいんです、ヒスイ(笑)。
むかし、三島由紀夫が
「自分の書くものは、すべて先人の書いたもののアマルガム(合金)である」と書いてて
それでいいのか! って
ビックリしたんです。

だからヒスイも
これでいいんです(笑)


明日も、ヒスイカラーのアマルガムをお届けします!
またねー💛

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