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『カメラを噛むカメ、光の下に』ヒスイの毎週ショートショート⑪

その日、彼は30年ぶりにスポットライトを浴びた。光が当たった瞬間、彼は歌いだしていた。
「カ~メカメ~、カメがカメラを噛むカ~メ……♪」

足も動き出す。
かつて若手芸人だった彼はカメダンスでバカ売れした。人気者になり、結婚して娘も生まれた。
しかし人気は水もの。ブームが終わると仕事は消えた。妻とも離婚。

以来30年、彼はいつかこの日が来ると信じてカメダンスを磨いてきた。
そして今日、すべてが報われる。

客席も沸いている。さあクライマックスだ。最後はダジャレ。
だが気負ったせいか、舌がもつれた。

「カ……カメミョニャ?」

うそだろ、一世一代の大舞台で噛むなんて……。
しかしそのとき鮮やかな歌声が響いた。

「カメがカメラをカメ噛~め!」

振りかえると――五年前に彼を見つけてくれた愛娘が純白のウェディングドレスを着て、笑っていた。
そして新郎新婦は披露宴のステージに上がり、花嫁の父と踊りはじめる。

客席の拍手がキラキラと降りそそいだ。


【了】(改行含めず410字)

たらはかにさんの毎週ショートショートに参加しています。
今週のお題は「全力で推したいダジャレ」。
ヒスイは、世界一のダジャレを描きたいと思いました。


今週のへいちゃんはこれ。
もうね、細かいところまで全部ダジャレで(笑) ヒスイはこれ、すき笑。

ではまた、明日。
ヒスイもぜったいに、バカ売れするぞ!
「カ~メカメ~、カメがカメラを噛むカ~メ……♪」(笑)

我ながら。
ひどいダジャレです(笑)

ヘッダーはDorotheによるPixabayからの画像

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ヒスイ~強運女子・小粋でポップな恋愛小説家
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