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「夜の底に沈むまで、麻を跳ぶ」ヒスイの恋愛410字

「忍者は、麻の木を跳ぶ修行をするって知ってるか?」
夏の宵祭り、あなたは笑ってこちらを見た。藍の浴衣に黒い帯。
私は白地に麻の葉もよう。

「知ってる。麻の木は1日に3センチ伸びるから、毎日、麻を跳び越えていれば、いつのまにか思わぬ能力が身に着くっていうんでしょう」
「そう。気づいたら、予想もしなかった所にいる――俺も。きみもな」

私たちは見つめあう。どこかで、祭りの太鼓が聞こえる。
夜が香る。

「……だけど忍者は能力を隠すわよ。隠してこそ、意味がある」
「そうだな。隠してこそ、だな」

その時、背後から声がした。
「お待たせ!」
彼女が来る。藍色の浴衣が夜ににじむ。あなたとそろいの浴衣。
私の親友、彼の妻。私はまた笑う。
「遅いよ! まったよ!」

夏の夕暮れ、宵祭り。
この恋は忍者の恋。顕(あらわ)れないからこそ、意味がある。
浴衣はためく宵祭り。


【了】(357字)

今日はほんのり切ない恋の、410字です。
ヒスイ本体は、おかげさまで病にもかからず、自宅待機も無事終わりました! 今日から通常営業💛
ケロリンは日曜日まで家から出られず、ぶうぶう言っております(笑)
みなみなさまもどうぞ、ご健勝にお過ごしくださいませ。

また明日、ヒスイ日記でお会いしましょうね!



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NNさまの企画87(ちょっと公開順が逆になりました(笑))
#ヒスイの鍛錬100本ノック
#お題・忍者


今後のお題
【4】水 【12】落書き  【43】鬼  【54】蜘蛛  
【61】舌先三寸  【73】アナログレコード【82】★みなとさん3★ 
【89】★みなとさん4★  【94】はらごしらえ 【95】ロングヘア 【96】遅配  【100】カブト
消えているけど【鳥獣戯画】。書いてないです。ぜったいに(笑)

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