「自信がないから、舞台に上がる」ヒスイの初!【バトンリレー企画参加】
ヒスイ、緊張しております。
ひとって、自分が思わないところで
人を助けていることがある。
些細な言葉が、折れそうな背骨を支えてくれることがある。
今日のお話は、そういうことです。
昨日、ヒスイは某ジャズハウスに行っておりました。
小さいハコでして。
ヒスイとケロが座ったのは、後ろから二番目のテーブル。
そこからステージまでは、せいぜい3メートル。
そういう場所です。
ビールやらワインやら飲んでいると、モソモソってプレイヤーがステージに歩いてくる。客席の間を縫って(笑) そういう距離感のハコです(笑)
ギターやドラム、ベースの音調整が終わって。
ああ、はじまるなと思った瞬間に
っびゃーー^---ん!!!
って、すごいギターの音がした。
地響きがするというか。
ジャズハウスのリノリウムの床を
音が振動になって
一心不乱に駆け上がってくる感じ。
そいつはヒスイの足からふくらはぎを伝わり
そのまま背筋を駆け上がって
後頭部からジャズハウスの天井に向かって、ぶちあがった。
ステージでは、ブルースが、炸裂していた。
その日はベテランの有名ギタリスト2人+ドラム+ベースの構成。
ギタリストのひとりは、ヒスイの大好きな人。
彼がステージに向かうときの顎の角度からもう、ヒスイはヤラレてて(笑)
そのうえで、もう一人のギタリストがびりびりする音を出したので
ワインがぶ飲み(笑)
前半のステージが終わって。休憩に入った。
そしたら。
彼がこっちに歩いてくるのよ! 休憩中の近藤房之介が!!
ヒスイたちの隣のテーブル。ケロリンのすぐ横に――座った。
ケロの横にヒスイの神様がいる。ヒスイはもう昇天まぢか(笑)
ってか、ケロリンじゃま。どけ、この野郎(笑)。
そこへ、最初の一音でこっちの背骨を破壊した年配のギタリストがやってきた。
ヒスイは浅学にして知らなかったのですが
この方もすごいギタリストでして。
あれだけの音を出すのが当然と、思われている人でして。
なのに、
小柄なギタリストは、近藤房之介にむかって、ぼそぼそと言ったのです。
「……ふささん……俺……あれでよかったかな。どうかな」
房之介さんはニカッと笑った。
いつもの、『まかしとけ! この世界はぜんぶ、俺が笑って救っちゃる!」みたいな顔をして、とんとんって、相手の肩をたたいた。
「なにゆってんの、かずさん。あれ以上はないよ。あれが、あんたの音だよ。このままアトもぶっとばそうぜ」
にこ、っとギタリストも笑った。
それはもう。絶対的に、体へ響く笑顔で。
このひとが、もっと若いころに知り合っていたら
ヒスイは惚れて惚れて惚れぬいて
人生をズタボロにされても、ぜったいに後悔しない、と思うような男で。
今夜、この人の音を聞いたから
ヒスイはすこしだけ、べっぴんになった、と思える男で。
かっこよかった。
人前で音を出すって、こういうことだ。
どんなにすごいキャリアがあっても
売れてても
限界まで練習していても
自分で出す音に、自信を持てないということだ。
人前で音を出すって怖くてたまらないんだ。
不安をサラリと出したギタリストはかっこよかったし
そのまま受け止めた房之介も
カッコよかった。
ヒスイは昨日、書いた文章がうまくいかず
へこんでて。
だけど、どんなに自信がなくても
書いたものを出そう、って
思った。
評価やダメ出しが怖くて、書いたものを引っ込めることは、簡単だ。
だけどそれは、
物語に対する責任を 投げ捨てることになる。
怖くても、出すしかない。
書いて書いて。納得できるまで直して整えて、出す。
自信のなさは、物語を磨きぬくことで薄れさせ、
最後は、出す。
それが、ヒスイと物語とのあいだの契約だと思うのです。
近藤房之介。秋山一将。
昨日と今夜、地響きを立てて
『ジャズインラブリー』でやってます。
本日の記事は、チェーンナーさんのバトンリレー企画に参加させていただいてます。
バトンをくれたのは、note友のぱこちゃん。
noteでバトンリレーが開催されるたび
「あー、やりたいー! だれかヒスイにバトンを回してええ!」と
考えておりました。
願いとは、かなうもの。
ぱこちゃん。ありがとうよ。
ぱこちゃんの広いやさしさで、ヒスイもいつも、助けられているのです。
ということで。
ヒスイからは、この方にバトンをまわします!
kazeさん。
鋭いショートショートを書かれる方で。
ヒスイは大ファンなのです。
エッセイの数が多くないので、ぜひ読んでみたいという
勝手なファン心理であります(笑)。
kazeさん。無理のない形でお願いします!
いちファンからの、ムチャぶりですけど(笑)
ありがとう、と言っちゃえ(笑)
ではまた。あした。
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