「たとえばビール傘の下は、青」ヒスイの410字 【毎週ショートショートnote】
私は魔女の末裔。魔法が使える。
たとえばどしゃ降りでも、傘の下だけ青空、みたいな。
普段の職場はビアガーデン。立ち仕事はきついけど、店長が好きだから頑張れる。
ところが今年は雨続きでビアガーデンは開店休業。
私は、11本の傘に魔法をかけた。
「店長、どうでしょう?」
傘をさすと、下は青空。夏雲が浮かんで気分爽快。店長は喜んで、
「すごいな、どこで買ってきた?」
「…パーティグッズの店です」
魔法の傘でビアガーデンは大繁盛。
ある夜、二人で閉店作業をしていると、
「なあエリカ。俺…」
店長はそこで予備テーブルの傘をたたいた。ぽん、と傘がひらく。
どっしゃーー!
ビールが降ってきた。
しまった。冗談で一本だけ、傘の下はビールの雨にしたんだ。
ビールを浴びて、店長の顔が真赤になる。
しまった。この人、すぐ酔うんだ。
「…エリカ…きみが、す…」
店長はすやすや眠ってしまった。
魔法には、限界がある。
店長の目が覚めたら、私から言おう――大好きですって。
【了】(改行含まず407字)
たらはにかさんの「毎週ショートショート」に参加しています。
#毎週ショートショートnote
へいちゃんも出してますよ。
これがもう、素直に笑っちゃった(笑) リスキーだなあ、ビール傘(笑)
明日はですね、8月から参加する企画への意気込みと
ついについに、月末まで引っ張った、あの記事(笑)です。
むむむ。
はそちゃん。ヒスイも月末組になりましたよ(笑)
ではまた、明日っ!
ヘッダーは、nini kvaratskheliaによるPixabayからの画像