COSMICの行方
Pop!_OSを開発するSystem76が、完全オリジナルDE「COSMIC」を開発する、とニュースがありました。
これはつまり、Pop!_OSのデスクトップ環境（以下DE）がGNOMEベースから離脱し、独自DEになるということを意味しています。
redditのPop!_OSコミュニティグループでは開発チームの方自らコメントや質問に対する返答を行っています↓。
COSMICの現状
私はPop!_OSもSystem76も大好きです。しかし、ファンのバイアスを取り除いてフェアな目で見ると、現状のCOSMICはそれほど良いとは言えません。前回書いたように、アプリケーション検索窓でマルチバイトを入力しようとすると固まりますし、背景透過も出来なくなりました。
Pop!_OSの21.10は現在頻繁にアップデートが出ています。昨日（2021/11/11）のアップデートで、アプリケーション検索機能そのものが独立したウィンドウになる仕様に変更になりました。↓
ただ、どうもこの実装はスマートではないと感じます。インストールされたアプリの一覧性が失われています。
「ユーザーは自分がインストールしたアプリケーション名を覚えているものだ」
ということを大前提にしているように見えます。
現在のmacOS、iOS、Androidなどのようなアプリの一覧性に慣れた身からすると、旧来のMacやWindows派生のインターフェイスよりもスマホ派生のインターフェイスを継承しているGNOME40のほうがアプリを探しやすいです。↓
また、Gnome40の検索ではアプリのセッティングまで一括して検索して出来ます↓。
対するCOSMICは、あくまでもアプリのみです↓。
透過機能を排除してしまった真っ黒な背景も、通常のアプリのWindowとの差別化がありません。Gnome40のシステムと完全に統合されて調和した検索機能と違ってスタンドアローンの「アプリ検索アプリ」に見えます。
このあたりがCOSMICがまだまだGNOMEの拡張機能の一つに過ぎない、という現状をよく表しているとも言えます。
GNOME嫌いの謎
インタビューを聞いたりツィートを読んでいると、System76の開発者リーダーさんはGNOME嫌いなのですよね。何がそんなに嫌いなの？と言いたくなるくらいに。なので今回のニュースは「ああやっぱりか」と思った程度で、特に驚きませんでした。
正直言うと、私はGNOMEにはアンチがなぜこんなにいるのかが全くの謎です。アンチGNOMEの人達に人気の高いKDEなんかは
・Windowsによく似ているインターフェイス設計思想
・フォント周りが美しくない
・デザインスタンダードに統一感がない
という点で私は全く使う気になれません。
理由は明らかです。私がWindowsで嫌いな要素が上に挙げた３つであり、KDEはそれらを全て見事に継承しているからです。
GNOMEは方向性がなんとなくMacとよく似ていると言われます。もしかしたら私が元々Macユーザー歴が長いのでKDEよりもGNOMEのほうが好きなのかもしれません。
色々と方向性が変わるGNOMEですが、ユーザーインターフェイスの統一感という点ではブレずに一貫しており、それはGNOME40にも継承されています。
まぁ簡単にいうと、私はGNOME40をとても気に入っている、ということです。私はMacやWindowsのデスクトップ環境よりも優れていると思ってます。
Pop!_OSに加えてManjaro Linuxを使い始めたのも、ManjaroのGNOME環境のほうが素直にGNOME 40の良さを引き出して実装しているように感じたからです。
まとめ
いずれにせよ、「COSMICデスクトップ」は未だ登場していません。なので現時点でSystem76がやろうとしていることはGNOMEベースのPop!_OSに実装されているGNOME拡張機能を基準に推測するしかありません。
Pop拡張のタイリング機能は方向性として素晴らしいのですが、検索周りに不満が沢山あり、またデザインの統一感、操作の安定性も今ひとつな感じがあり現時点での私の評価は100点満点の40点といったところです。
完全独自DEの「COSMIC」にはPop!_OSファン・System76ファンとしては大いに期待しています。しかし同時に不安材料も沢山あります。
「 COSMICをオフにしたGNOME 40ベースのPop!_OSが気に入っている」
というのが現状では、出来具合や方向性によってはPop!_OSを離れることになるかもしれない、というスタンスは常に持っていたいと思っています。
私の不安を吹き飛ばすような新しいデスクトップの登場を期待するばかりです。