アナログ造形:『KILLING ROMMEL』(2014作品)
デジタル造形はアナログ造形の後方互換
私は「デジタル造形はアナログ造形の後方互換」という考え方です。楽器に例えれば
・デジタル造形=エレキギター
・アナログ造形=アコースティックギター・クラシックギター
という捉え方ですね。
エレキが弾ける人はアコギも弾ける(あるいはその逆)、とは言いません。登場した時代や目的が違うので、進化や派生の仕方も違っています。結果、それぞれが異なった表現が出来る違う楽器として進化しました。
とは言っても後方互換です。基本は同じスタイルの楽器です。ゆえに、どちらもやればある程度は出来るプレイヤーが「本物」と思ってます。
それは、造形も同じ。
特に後方互換側はその前方を学びデジタルであってもアナログであっても自分のスタイルを造形できるのが本物でしょう。
今回は、温故知新。デジタル造形に至る前に私がやってきたアナログ造形作品を数回に渡って詳細解説してみたいと思います。
1/35ジオラマ作品『KILLING ROMMEL』
この1/35スケールの小ジオラマ作品「KILLING ROMMEL」は2014年に制作したものです。第2次大戦の北アフリカ戦線で、ドイツ軍の名将・ロンメル将軍と戦うイギリス軍の偵察部隊「LRDG(長距離砂漠挺身隊)」をモチーフにしています。
この作品の制作動機は小説「砂漠の狐を狩れ(KILLLING ROMMEL)」を読み強くインスパイアされたのがきっかけです。
そのLRDG偵察部隊の夜明けの偵察をイメージして制作しました。
フィギュアは全てフルスクラッチ
私は作品制作における「意識」としては、基本的にスクラッチが自分の中の作品作りにおける「核」となっています。プラモデルを素材とした作品や作例の場合、大量生産された工業製品であるプラモデルを使うため必ずしも全てがスクラッチ、というわけではありません。ただ、意識としては「スクラッチする」という事を根底に持っています。作品表現を作り上げる時短のために既成品を使う、という意識です。
この「KILLING ROMMEL」では、私のイメージに合うフィギュアの既成品が存在しませんでした。そのため、フィギュア3体をフルスクラッチすることにしました。↓
実はこの3体、人生初の1/35スケールフィギュアのフルスクラッチです。
もちろん、それ以前にもスカルピー粘土での他のスケールの造形はやっていました。しかし、私はフルスクラッチ造形するのはどちらかというと大きめスケールが多く、1/35スケールという小さいスケールでの「フルスクラッチ」は実はやったことがありませんでした。
改造作品は昔からやっていましたが「ヘッドからボディまで1/35スケールでフルスクラッチ」するのはこの作品が初めてだった、というわけです。
ブーツは時短のため既成品を使用したので厳密には「フル」とは言えません。ただ、時間がもう少しあればもっと良い造形のブーツを作れる自信はあるのでその辺はまぁ、後悔と妥協、という感じですね。
あまり言いたくないですが
自分で言うのもなんなのでこういうことはあまり言いたくないですが・・・誰一人言っているのを目にしないので言うことにします。
実は、きっと私のこの作品にインスパイアされて製品化されたであろうと思われるキットがあります。Darius Miniaturesの「LRDG Patrol Set」
脚を掛けるトミーガンを持った助手席兵士、荷物てんこ盛りの荷台の上に乗る兵士、車体前のスペアタイヤ、ラクダのスカル・・・色々と酷似している点がありますね。
アイディア自体に著作権はないので「パクリだ」とか野暮な事は言いません。実際、私も実際の戦場写真からアイディアを得ましたし、私の造形とは全く違います。もっとあえて言うと「私は自分の表現の方が良い(気に入っている)」と自信を持っています。
本当にインスパイアされたかどうかは知りませんし知る良しもありません。
もし、本当に私の作品にインスパイアされたのなら、むしろ誇りに思います。
ただ、「こいつこのキットのアイディアパクっといて自分がオリジナルだと言いたいのかな?」という誤った解釈をされないために、あえて書くことにしました。
Darius Miniaturesのリリースは2018なので、私の作品のだいぶ後ですね。
重ねて書きますが、アイディアに著作権はありませんし、Darius Miniaturesも完全オリジナル造形で私の造形のコピーではありません。キット化したDarius Miniaturesに対してはキット化した労力に対してリスペクトします。
ただ、この「KILLING ROMMEL」というジオラマ作品は、私が小説にインスパイアされ、アイディアを振り絞り、もがきながら限られた時間とエネルギーを注いでいろいろな思いやメッセージを込めて作った自信作です。
人によっては色々な解釈をする人が多い世の中なので、作品に込めたメッセージや作品の意味が変な誤解をされないためにあえて書きたくないことを書いた、ということだけは強調しておきたいと思います。
さて、長い前置きでしたが・・・
この作品で表現したかった事、拘ったポイント、スカルピーでのスクラッチ過程などなどは、また次回。
ではまた。
(続きの記事↓)