「支援したいOSプロジェクト」の私の判断基準・その2
前回の記事(↓)の続き。
心臓部を自前で作る力の凄さ
Appleもマイクロソフトもそうですが、OSのカーネルは自社開発カーネルです。業界の覇権を握っているところは、コアからフルスクラッチする力があるわけですね。
現在GoogleはLinuxをベースにしたAndroid とChromeOSを使用していますが、JavaやLinuxの縛りからフリーになるために自社でカーネルから作り始めているのが数年前からちらほらと話題になっています。
興味深いのは、「UnixライクOS」ではなく、Unixに影響を受けた全く新しいカーネル、という点。オンラインでデモも試せますが、未来を感じます。
https://mgoulao.github.io/fuchsia-web-demo/
ハードウェアも強くなってきたGoogleがいよいよコアの部分も置き換える機会を虎視眈々と準備を進めているわけですが、このあたりは流石アメリカの企業だなとおもってしまいます。AppleもMSもアメリカの企業。で、頑なにLinuxをメインに採用しなかったのは、Linuxは元々フィンランド製であり、一人の神(リーナスさんですね)が君臨するプロジェクト。オープンソースライセンス縛りがありプロプライエタリに好き勝手出来ないカーネルである点かなと思ってます。
Googleもその考えは根底にあると思います。今はLinuxの恩恵を借りておき、準備が出来たところでしれっと自社製カーネルに置き換える作戦でしょう。AndroidもChromeOSもLinuxであることを全面には出さずむしろ色々カスタマイズして隠そうとしている感じが見受けられるのもその片鱗です。まぁ、ようはLinuxはGoogleに色々とエキスを吸われてパクられているのだと思います。
System76とPop!_OSの未来
私がSystem76とPop!_OSが気に入っていて支援したいと思っている理由は、もう少し突っ込んで書くと、「ハードウェアを開発しているLinuxベースのOSだから」というのは本質的な部分ではありません。
注目している部分は、開発リーダーが既存のGnomeやLinuxにこだわっておらず、むしろ完全自社オリジナルOSを目指しているところです。
数年前にも書いたのですが、「Redox OS」をコツコツと開発している、という点です。(↓)
Googleもそうですが、System76も、小さい会社でありながらも、コアの部分から自前でコントロールしたい、という野望が見て取れます。将来はLinuxを置き換えてRedoxOSの独自UNIXカーネルになるかもしれません。
では、そうなったら、私はPop!_OSを使うのをやめるか?と言われたら・・・
「やめません」。
むしろPop!_OSを支援し、脱Linuxデスクトップするでしょう。
Linuxは大好きですが、
「“Linuxユーザーであること自体に”意味と価値とアイデンティティを見出しているわけではない」(ここ、大事なので太字で書きました)
からですね。私は「未来を感じる本気プロジェクトにワクワクするユーザー」なので、Pop!_OSが脱LinuxしてLinuxよりも優れた独自UNIXカーネル開発に成功してそれに移行したら、むしろそちらを応援してみたい、と思います。
何が言いたいかと言うと・・・
OSプロジェクトが「本物かどうか」は、コアからフルスクラッチでオリジナルを作ってやる、くらいの圧倒的な技術力と野望とスピリットがなければダメ
ということです。
厳しい事書きますが・・・・世界中でも、さらに最近では日本でも新しいデスクトップLinuxプロジェクトがいくつかスタートしていますが、このSystem76とPop!_OSくらいの技術力とスピリットを感じるプロジェクトは正直、私の知る範囲では、まだないです。
既存のLinuxデスクトップのコピーを作って派生プロジェクトをスタートしても、それだけでは「本物」とは言えず、そのような派生プロジェクトがいくら増えたところで意味がないのです。
そういう理由で、これまでいくつかデスクトップLinuxコミュニティに入って応援してたりコメント投稿したりしてましたが、最近それらを一旦リセット。すべて脱会して辞めることにしました。
今はデスクトップLinuxは、System76のPop!_OS一本に絞って使用・支援しようと思ってます。