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Nomad Sculpt:ヘッドのスカルプト

前回の記事(↓)の続き。

Nomad Sculptでのヘッドのスカルプト

ヘッドの造形は作業量も情報量も多いのでこれが快適に出来るか、というのはスカルプトアプリを選択する上でとても重要と考えてます。

Nomad Sculptはその点、かなりの合格点です。

とにかく、ビューポート内でオブジェクトを動かす時のパフォーマンスが非常に良い(↓)。

ブラシの使い勝手も、追従性が高くてレスポンスも非常に良いです。

この微妙なレスポンスの感覚は非常に大事です。

例えばギターの世界でも弦をピッキングしてから弦振動をピックアップで広いエフェクターを通って音が加工処理されてアンプから音が出るまでの間隔遅延をレイテンシーと言ってこれが早いのが良いとされてます。あまり良くないギターは生音でもこの微妙な遅延を感じたりもします。

これと同じ事がスカルプトにも言えます。

ペンを画面にタッチして、その情報がアプリに伝導し、膨大なポリゴンにその移動情報が伝えられ、そしてオブジェクトに変化が加えられる、という流れがものすごいスピードで行われてるわけですが、早ければ早いほど、実際にリアル粘土をハンドスカルプトで造形している間隔に近くなります。

頂点が少ない場合のローポリモデリングの場合は気になりませんが、スカルプトのような大量頂点を一挙に動かすハイポリもデリングではこの微妙な間隔が非常に重要。これを業界初で実現したのがZBrushだったわけで(正確に言うとSculptrisで、それをPixologicが買収してZBrushに吸収合併)、だからあれだけの人気とシェアを獲得したわけです。

そのZBrushも、PCの性能が追いつかない場合はふうふう言います。ファンがぶん回ったり、遅延が発生したり、ZBrushそのものが落ちたり。(ZBrush使い始めの頃はクラッシュには本当に悩まされました)

時代が進み、これをiPadのアプリでサクサク出来るというのは、本当にいい時代になりました。快適度は正直、ZBrushを遥かに超えてます。少なくともちょっと前のZBrushだったり、Coreだったりよりはかなり快適ですね。

iPadでのNomad Sculptの場合、PCのようにファンが回ったり筐体が極端に熱くなったりしないのも良いです。いや、ちょっと恐ろしいくらい静か。これはMプロセッサが優秀なのも大きいでしょう。
ただ、それだけではない気がします。

ZBrush for iPadとの比較

Mプロセッサの優秀さだけでなくNomad Sculptの基本設計が良いのは、同じiPad上で別のアプリを動かせばわかります。分かりやすいのがZBrush for iPadです。

忖度なしに、ぶっちゃけて大げさに言わせてもらうと、例えて言うならNomad Sculptがmp4動画ならZBrush for iPadはGIF動画のようです。
アニメで例えるならヌルヌル動くディズニーアニメとコマ送りのような日本のアニメの違い、みたいな。
微妙にコマ数が足りない感じと言えば分かりやすいですかね。
コマ数が足りないぶんスピード感があって動きが軽いのは良いのですが、なんか、微妙にコマ数不足やカクカクを感じるんです。

これはデスクトップ版ZBrushとBlenderとの違いにも同じことが言えていたので、ZBrushの基本設計がそういうことなのでしょう。
処理速度の低いCPUの場合その恩恵は大きいですが、CPUの性能が上がってくるとヌルヌル感が欲しくなってきます。

iPad上のNomad Sculptは、Ryzen5950Xで動かすBlender上のそれと遜色ないくらいヌルヌルでいい感じです。

不満点

iPadのアプリ許容メモリの上限かな。もう少し欲しい。試しにBlenderで作った6GBほどのobjデータを読み込もうとしたら、Nomad Sculptが落ちました。データが大きくなるとキツそうです。
やはり前にも書いたように快適に使うなら13インチの1TBモデルが理想です。

ではまた。

雑多情報

Nomad Sculptはパフォーマンスが良くてさらにクロスプラットフォームでも展開しているって凄いなと思います。開発言語は何を使ってるのかな?と興味が湧いたので、開発者の方に直接メッセージを送って聴いてみたところ、「C++」という回答がありました。

ZBrushも、Blenderも、開発言語はC++なのですよね。

速度を求めるアプリの開発になるとやはりC言語に極力近い言語になるのでしょうか。なかなか興味深いところです。

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