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Blender 4.3 のスカルプトモードの進化
ここんところBlenderを最新版の4.3にアップグレードして次回作のスカルプトをやっています。
![](https://assets.st-note.com/img/1738596193-Ad7DzurMNeVC84pvnP2TtQ50.png?width=1200)
1/16スケールで再現出来る範囲で解像度を上げ、情報量を盛り込んでる作業の様子です。情報盛り込みにはあまり制限を気にせずガシガシやってますが、Blender4.3、答えてくれてます。
4.3になって、4.2以前と比べて明らかにモードの切り替えが早くなりました。私はObjectモード・Sculptモード・編集モードの切り替えをかなり頻繁に行うのですが、パッパパッパ切り替えてもストレスなし。ハイポリスカルプトのパフォーマンスもグンと良くなった印象。
Blenderの開発ノートを調べてみると、スカルプトモードのコードの大幅書き直しが行われたとのこと(↓)。
モードの切り替えはこれまでシングルスレッド処理だったのをマルチスレッドにしたりと根本改善がなされているようです。見た目は4.2以前とほとんど変わらないのですが、中身が変わったわけですね。
表の見た目的にはブラシアセットが追加されてブラシも豊富になったというのもありますが、それよりもとにかくモード切り替えのストレスがかなり減ったのは嬉しいです。
モディファイア:MultireとSubdivisionの使い分け
私の用途であるフィギュア制作においては、ハイポリ作業は必須ではあるものの、無闇矢鱈に意味もなくハイポリにしてもあまりメリットはないです。最後はデシメートしてポリゴンをガッと減らす作業をするので、その時にいかにポリゴンの無駄遣いをしているかがわかります。
ZBrushメインの時はそういうポリゴン数なんか気にせずにモリモリとやってはクラッシュ、というのを繰り返してました。ZBrushはハイポリが得意すぎて、それが却ってポリゴン数を考えながらスカルプトするという意識を生まない部分でもあるのも事実。
Blenderを使うようになってポリゴンを抑えつつ同じ効果を得るスカルプトにシフトしました。
Blenderスカルプトのちょっとしたコツとして、
解像度を上げる際にいきなりローポリからMultire solutionを使わない
最初に最低限必要な分だけはSubdivision Surfaceで上げる
Multireは解像度上下の必要がある範囲のみ、必要に応じて使う
というのがあります。サブディビジョンレベルをスライダーで超ローポリからハイポリまで振り幅広く上げたり下げたり出来るZBrushの感覚でMultireは使わない、ということですね。
あとはQuad RemesherとVoxel Remesherの使い分け、ですかね。適材適所で。
そういうコツ的な部分が分かってくると、Blender側のバージョンアップによるパフォーマンスの向上に加えて、作り手側のワークフローの効率化を組み合わせれば快適なモデリングが可能になります。
希望としては、モディファイアの処理速度がもう少し改善してくれたら嬉しい。特にMultireはまだちょっと使い勝手が悪く緩慢。
4.3になって反応待ちやクラッシュが減った
ハイポリ状態でのブーリアンなどの重い処理も、落ちることなく粘る感じになった印象です。Blenderは元々ZBrushよりもクラッシュ頻度はかなり少ないですが、その代わり動作が緩慢になったり止まる事が多かったです。画面が止まっても実際にはバックグラウンドで処理が進んでいるので、処理待ちが終われば通常に戻ります。カーソルの部分が小さく回っているだけなので(しかも見づらい)その進行具合が分かりづらい。「ん?フリーズかな?」と待ちきれずに強制終了&再起動してしまうことも多々ありました。
そのような欠点はまだ散見されますが、スカルプトモード時に関しては安定感が増して全体的にパフォーマンス上がった感があります。
Nomad Sculpt目線で見たBlenderの不満点
Nomad Sculptも併用している視点から見ると、スカルプトのフットワークに関してだけ言えばZBrushよりもBlenderよりもNomad Sculptの方がダントツで良いです。Nomadはスカルプトモードが基本なのでそのままオブジェクトを追加してパッパとスカルプトで形を作っていく、という流れが非常にフットワーク軽い。オブジェクトの選択もペンでタップするだけなので直感的。全体的にBlenderとZBrushの「いいとこ取り」・・・というより「悪いところを取り除いた」という印象。
対するBlenderはテキストエディタで例えるとVimのような感じで、作業中常にモードの概念を上手く行き来する必要があり、モードごとの作法にしきたりがある。
まぁ、「オブジェクト(追加・移動・変形・レイアウト)」「スカルプト」「頂点編集』「テクスチャ編集」のモードではそもそも対象アイテムへのアプローチの方法が違うので、観点毎にきっちり分けられているというか・・・・左脳的というか、ちょっと理屈っぽいですね。
スカルプトモードの時にオブジェクトをショートカット(Alt+Q)で選択しないといけないのもちょっとめんどくさい。Nomad Sculptのようにタップで選択できたりそのままオブジェクト追加も出来たらいいなーと思ったりします。
まとめ
2020年のバージョン2.8から使い始めたBlenderも4.3になり、日々進化を続けてます。この4年間はハードウェアは全く変えていないので、ソフトウェア側の進化でどんどん使い勝手が良くなっているのは嬉しい。私は元々ZBrushユーザーで、Blenderは2020年から使い始めたのでBlender歴は4年半ほど。
(使い始めた頃の記事↓)
まだBlenderよりもZBrush歴の方が長く、また同時にNomad Sculptも併用してます。複数アプリユーザー視点で見るとBlenderは(特に使い勝手の面で)正直不満点はまだまだあります。
でも、それを補うくらい進化が早く、バージョンアップ毎に性能が確実に向上しているのが楽しい。何よりUI&UXが好みで、Blenderの世界観の中の居心地がとても良い(←実はこれが非常に大事)ので、これからもフィギュアモデリングのメインアプリと据えて使い込んでいこうと思ってます。
ではまた。