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PRSというギター
たどり着いた島はPRS
「これぞ私が求めていたギター」というギターを手に入れることになりました。「手に入れた」というより、「長い紆余曲折を経て行き着いた」、「大海を泳ぎ回り、巡ってたどり着いた島」という表現が正しいかもしれません。
そのギターの名は、「PRS Custom 24」。
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PRSの特徴を一言で表すと?
フェンダーストラトは、誰が弾いてもストラトの音がする
ギブソンレスポールは、誰が弾いてもレスポールの音がする
PRSは、誰が弾いてもそのプレイヤーの音がする
ズバリ、これです。
よく言われるPRSの評価に、
「PRSの音は特徴がなく、つまらない」
というのがあります。
それは、
PRSではなく、弾いているあなたの音がつまらない
のです。
キツい表現かもしれませんが、これは自戒の意を込めて書いています。
何を隠そう、これは私自身の実体験であり、私自身がそう思っていたからです。そう、私が人生で始めてPRSを楽器店で弾いた時の第一印象は、
「正直、つまらない音だな」
でした。
特徴がなく、プレーンなのです。プレーンすぎるのです。カロリーメイトで例えるなら、いつもチーズ味やフルーツ味ばかり食べていて、初めてプレーン味を食べた時のような、「えっ・・・あ、味がねぇ!」という、あの感覚です。
弾いた人の、その人の持つフレーズ、その人のクセ、その人の身体に流れる電流など、その全てが統括された音が、そのまんま出てくる、という感じです。
PRSは「斧ではなく鏡」。補正してはくれない
ストラトなら、その暴れるようなサウンドも含め、多少の粗さもかっこよく響いたりします。多少の粗さも「スパイス的な味」として助けてくれるわけです。テレキャスなら、唯一無二のキレの良さで助けてくれます。レスポールなら、全てを黙らせるようなパワーと野太いトーンで助けてくれます。
そう、ストラトやテレキャス、レスポールは、自分にパワーを与える金の斧や銀の斧を手に入れた気分にさせてくれる楽器なのです。そこが「王道」と言える所以であり、スタンダードの揺るぎない位置を確立し、どのメーカーのどのギターもほとんどがこれらをベースにしたモデルであり、絶大な人気と信頼性をもたらしている最大の要因だと思います。
果たして、PRSは・・・
まるで、フルチンでビーチに出てボディビルのポージングをさせられているかのような、「丸裸にされた」気分になります。
全身を映し出す鏡の前に裸でたたされて、「はい、これがあなたです」と言われている気分です。最初に味わうのは、よほど自分のサウンドに自信がある人以外は、「おぉ」という喜びよりも「屈辱」です。
まず、それを受け入れないといけない。身にまとうもの、魅せるための筋肉の鎧は、自分で用意したり、作り上げていかないといけない。人前に立つ前に、やるべきこと、クリアすべき事が多いギターです。
まとめ
「つまらないのは、実は自分の音だった」
というのを知ったのは、このPRSを実際に手に入れてから、です。
これを知らずに一生、ストラト補正、レスポール補正、ダンカンやディマジオなどのカスタムピックアップ補正された音で楽しく幸せに生きることも出来たでしょう。
ただ、知ってしまってからは、手に入れたからには、もう後には戻れません。ちょっと大袈裟かもですが、ギターの世界にルビコン川があるのなら、その川を渡って向こう岸についたような気分なのかもしれません。
この、
「自分のはみ出た脇腹を見せつけられるかのごとく厳しく自分を映し出す鏡ギター」
と、目を背けずに向き合っていこうと思います。