Kindle電子書籍をペーパーバック化
ペーパーバックを試作
私の著書である電子書籍「ZBrushで作るミニチュア胸像造形技法」ですが、ペーパーバック化を試作してみました。
いろいろやって、校正用のサンプルが届きました。Amazonのペーパーバックサービスは出版革命。これは素晴らしい。
550ページものペーパーバックなので厚みはこのくらいになりました(↓)
デメリットとしては、画像を多く使った技術本なのでどうしても印刷コストが高くなることです。ペーパーバック化すると他のZBrushやBlender系の3DCG技術本と同程度(3,000〜8,000円)の価格帯の本になってしまいます。
小説とかなら白黒で大量テキストでも安く抑えることが出来ますが、私の本のような方向性の場合はどうしても画像を大量に使うので、その辺はいたしかたないところです。
著作の電子書籍(↓)
英語版も出版しました(↓)。
EPUB制作とペーパーバック向けのデータ制作環境について
以下は、私のEPUB制作環境です。OSを含め、すべてオープンソースソフトウェアのみで制作しています。制作環境のコストはPCのハードウェア面のみで、ソフトウェア面は「0円」です。
OS:Pop!_OS (Linux)
マシン:AMD Ryzen5950X+NVIDIA GPU搭載の自作カスタムPC
EPUB用テキスト書きアプリ:SIGIL、VScode
EPUB変換:pandoc コマンド
PDF変換:epub-convert コマンド
画像編集:Inkscape、GIMP、Krita
基本のEPUB制作ワークフローは、
VSCodeでMarkdown形式でアイディアを書き溜め
pandocでMarkdownテキストをEPUBにコンパイル
SIGILで直接HTMLとCSSを手書きコーディング
epub-convertでPDFに変換
という流れです。
電子書籍制作は「ポータブルWebサイト制作」
ちまたでよく見かけるKindle電子書籍入門書がおすすめしているMS Wordを使った制作方法は、一切採用していません。というか、私はその方法に対してはアンチの姿勢です。
私は電子書籍は「単なるドキュメント書き」の延長ではなく、
「ポータブルなWebサイト制作」
という視点と意識で制作しています。
そもそも、大量に書き留めた細切れテキストをまるっと一つのEPUBにしたり、章をごと前に持っていったり後ろに持っていったりと入れ替えたりしつつ思考をする作業には、Wordは向いていません。
VScodeを使ったマークダウンでの細切れテキスト形式や、SIGILを使ったHTMLやCSSの直接ハンドコーディングする制作スタイルではそれがとても快適に可能(基本的なWebサイト制作スキルを要するので「かんたん」とは言いません)です。
また、電子書籍は一般の紙の本とちがって、スマホやタブレットなど、様々な画面サイズで読まれる事を前提とした「リフロー型」と呼ばれる形式です。WEB制作でいうところの「フローティングレイアウト」「レスポンシブWEB」ですね。
大手が出している紙の書籍をそのままePUB化した固定レイアウトの電子書籍などはユーザー指定でフォントのサイズ変更などが出来ません。必然的に拡大して読むことになるのでスマホでは読みづらく、タブレットかそれ以上のサイズの画面でしか快適に読めません。
そういう「レスポンシブでない電子書籍」に対しても私はアンチの姿勢です。それはやはり根底に「電子書籍はポータブルWebサイト」という考えがあるからです。
ただ、その「リフロー型」をペーパーバック化する時は、少々CSSのスキルやEPUBフォーマット独特の工夫が必要になってきます。
このあたりのワークフローもいつかまとめて書いてみたいなとか考えてます。
ではまた。