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しまむら決算 流行に左右されない実直経営!2024年のEC比率見込みはまさかの〇%

こんにちはhissy(@hissybiz)です。今日はしまむらのFY2021決算を解説していきます。さ、今日もビジネスレベルあげ!

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サマリ

1.売上微増・利益は大幅改善
2.TVCMカットしWEB広告に販促費はシフト
3.在庫管理強化で値引きコストをセーブし粗利率改善
4.投資計画はあくまでコンサバで効率経営を徹底していく

PL確認

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・売上高:5,426億円_YoY+4.0%
・営業利益:380億円_YoY+65.4%

売上は4%の微増ですが、営業利益は+65%と大幅に増加しています。粗利率の改善および販管費の削減が進んだことで収益性を大きく改善しています。

とはいえ、営業利益率は7%と高いわけではありません。

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粗利率については、主要ブランドの「しまむら」「アベイル」「バースデイ」揃って前年比で改善。また、在庫高も前年比でマイナスと粗利率を改善しながら在庫効率も改善と非常に良い傾向がみられます。

粗利率の改善は主に値下げの抑制よってもたらされています。

ここら辺は、在庫管理が上手な、しまむらの真骨頂といったところでしょうか。

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続いて販管費。注目したいのは広告宣伝費が前年度比▲23%と大きく減っていることです。

理由はTVCMをゼロにしたり、新聞の折り込みチラシを減らしたりとレガシーメディアへの広告出稿をおさえる代わりに、WEB広告へシフトしている点にあります。

売上が減っていないことから、レガシーメディアの広告効果が悪かったことが証明されてたとも言えます。

※これは、しまむらだけではなく、他の企業でも起きている事象です。いよいよ、レガシーメディアの「ほんとに広告効果あるんかいな?」が「うん、あんまないかも」と実証されるケースが増えてきたとも言えます。例えば、靴のECのロコンドなども同様です。

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SNS会員に向けたWEBチラシの拡大・セグメント別での動画配信など、どんどんWEBでの販促を強化している様子。

また、地域特性に応じた品揃え(冬と言っても北海道と沖縄だと、そりゃ違うものが売れるよね)を強化したとのことですが、逆に今まで注力していなかったのかというのが不思議です。効率経営ゆえ店長の裁量に任せない運用という意味では、しまむららしい点かもしれません。

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2020年10月に、しまむらオンラインストアをオープンしています。

https://www.shop-shimamura.com/

また同時にEC物流センターを立ち上げていますが、特徴的なのがオンラインストアの商品受け取りの9割が店舗受け取りであるという点。

他のリアル主体の企業のEC展開の多くは直送スタイルでEC比率を引き上げており、ゆえに専用の物流施設が必要という状況になっていますが、しまむらは、ほぼ店舗受け取りなので既存の店舗というインフラの稼働率を上げる補助的な販売チャネルという位置づけと考えることができます。

象徴するように「ローコストEC」と無理せず、コストをかけずを宣言しています。

これは、リアル店舗という資産を全国に多く持っているしまむらのEC戦略としては理にかなっており正しいです。

正直言って、直送モデルではamazonに勝てる企業は存在しません。なので、よっぽど自社の商品にブランド力が無い限りECの直送モデルでは、そのうちAmazonにPBを開発され、より低価格で販売され、淘汰されるというDeath by Amazonに陥るでしょう。

その点、既に全国各地にリアルの店舗を持っているという強みを生かせる戦略としては、モバイルオーダー・店舗受け取り、なのです。

これは、amazonは”まだ”マネできません。また、既存の固定資産の稼働率を上げるという観点でも賢いやり方なのです。仮に売上が10倍になってもEC直送の物流は大したことはなく、店舗の稼働率は上がるのみです。

地味なようですが、このEC戦略は素晴らしいです。

BS確認

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現金と有価証券合わせて2,000億円ほどあり短期的な現金の必要には十分に対応できるだけの準備があります。

また、商品つまり在庫が506億円と、ざっくり1.5カ月分の程度の在庫改善日数である点が特徴です。既にPB比率はしまむらで28%程度まで上がっていますが、それでも1.5カ月程度の在庫しか持っていないのは在庫管理能力の高さの証拠です。

※ファーストリテイリングは約3カ月

在庫が少なければ、在庫を持っておくための倉庫の保管能力も小さく済み、当然ながら値引きによる無理な在庫圧縮の必要性も少なくなるので粗利率を確保できる。ちなみにこの点で痛い目を見たのがユナイテッドアローズでした。


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借り入れは無く無借金経営状態です。無理しない効率経営のお手本のようなBSです。

ユニクロが伸びると、しまむらは終わる、なんてことを言う人たちが一定数いますが、しまむらが終わる要素は今のところ全くありません。小売が傾くときは、在庫にやられます。在庫が膨れる→値引きで消化→プロパー価格で売れなくなる→粗利率が下がる→不採算店舗が増える→閉店→規模の経済が働かなくなる→粗利率が下がる→・・・

しまむらは、その在庫管理が非常に強いので、ちょっとやそっとじゃ潰れません。むしろ、コロナで不調な他アパレル企業からシェアを奪う可能性すらあります。

今後の取り組み

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売上、営業利益ともに前年比+1~2%増という次期の予想とコンサバな見通しとなっています。この辺も無理をしない、しまむららしい計画です。

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出店計画は25店舗出店、18店舗退店の7店舗増という計画となっており、店舗増加は全体の1%未満程度という計画です。

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注記の経営計画を見ると、オンラインストアの展開、DXの推進という今風な言葉が並びます。

しかし、良く見ると2024年2月期のEC比率は2%目標という非常にコンサバな見通し笑

つまり、WEBはチラシおよび事前予約機能としてくらいしか考えておらず、引き続きリアルの店舗でのピックアップを前提とした効率経営を突き詰めていくというメッセージです。

流行りに踊らされず自社の強みにフォーカスした経営をしている正しい判断だと思います。

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商品力強化・サプライチェーン強化は当たり前にやるとして、通黙したいのは個店対応の強化です。

効率経営とは反対の概念になる、個店対応が陳列やマーケティングの領域で、どううまく融合していけるかは注目したいところです。

hissyが経営者ならこうする


はい、「もしもhissyが経営者なら」のコーナーです。

私だったら、以下の取組を実施します。

・ID化の推進によるMD・店舗在庫・陳列管理
・定期便の作成

・ID化の推進によるMD・店舗在庫・陳列管理

在庫管理の精度を高め、販売効率の高い売り場を作っていくためにID化の取り組みを実施します。

IDがわかれば、誰が・いつ・何を購入したかがわかり逆に何を購入していないかもわかります。大体、その店舗の商圏というのはデータとして持っているでしょうから、そこからはじかれる伸びしろを把握したうえで、客層を広げ、一人当たりの売上を上げるための店舗在庫・陳列最適化の改善に活かしていきます。

ワークマンの取り組みを、もっとデータを使って行う感じです。

・定期便の作成

しまむらの収益性を上げていくうえではPBのシェア増が必要になって聞きますが、PBは在庫を多く持ってしまいがちという特性があります。

そこで解決策として定期便の作成を行います。

しまむらを利用する人の中の「子供や旦那など同居人の服を代理購入している」層が一定数います。

いわゆる「お母さんが勝ってきた服」です。

代理購入者のために、いちいち購入のたびに店舗に来て選ぶのではなく、代理購入対象の年齢・体系・ファッション好み、予算感を入力すると、定期便が作成され、1年に数回、メールやアプリで通知が来て、店舗に受け取りに行くという流れです。

しまむらにとってのメリットは、PBの生産・在庫管理がしやすくなります。また、定期購入にすることで他の競合店で購入していた消費を寄せることもできます。

消費者のメリットとしては、代理購入のためにかける時間の節約です。

あくまで、既存の店舗という資産を最大限生かしながら、売上・利益を上げていくための方策です。

サマリ

1.売上微増・利益は大幅改善
2.TVCMカットしWEB広告に販促費はシフト
3.在庫管理強化で値引きコストをセーブし粗利率改善
4.投資計画はあくまでコンサバで効率経営を徹底していく

派手さはないものの、実直であり、amazonやユニクロ・GUの猛威もモノともせず、着実に売上と利益を上げていく経営は見事の一言です。

こういう企業は追いかけていて本当に参考になります。

流行に流された右ならえ施策や、「それシナジーありますか?」と思ってしまう無駄なM&Aや新規事業など派手さはあるが、身が伴わない他社のニュースに皆さんの企業の幹部は踊らされていませんか?笑

これからも、注視していきたい企業です。

お読みいただきありがとうございました。
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