ZOZO決算 現金は1年で○億円も積み上げ!今後の戦略は大丈夫!?
こんにちはhissy(@hissybiz)です。今日はZOZOのFY2021決算を解説していきます。さ、今日もビジネスレベルあげ!
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サマリ
1.増収増益で好決算
2.引き続き会員あたりの流通が下がっている点は課題
3.キャッシュが溜まってきているので次の投資先に注目
4.流通に頼らない成長という戦略が吉と出るかは疑問
PL・KPI確認
・商品取扱高:4,194億円_YoY+21.5%
・売上高:1,274億円_YoY+17.4%
・営業利益:441億円_YoY+58.3%
コロナ前は取扱高成長に課題はありましたが、コロナの追い風を受けて4,000億円を突破。
販促費もセーブしてきたことも有り、営業利益率も441億円と大きく伸長。
Q4でみても取扱高は+17.3%と好調。コロナの追い風1年たって一巡してくる今後伸ばして行けるかは注視していきたいですね。
一方で、Q4の販管費率25.0%と前期比+2.7ptと上昇傾向なのが気になるところ。その結果、営業利益率もQ3の12.0%→9.7%と2.3pt悪化しています。
販管費の内訳を見ると、人件費が取扱高比で前期5.8%→7.3%と1.5pt上昇していますが、こちらは賞与期の影響なので特段問題なし。
一方で、荷造り運賃が同じ季節の前期と比べても6.4%→6.7%と0.3pt悪化しています。こちらは、配送単価の低下によると考えられます。この部分は以前からのzozoの課題であり、今後も荷造運賃比率は上がっていくことが予想されます。
続いて各KPIを見ていきましょう。
年間購入者数:948万人_YoY+14.6%
うちアクティブ会員:813万人_YoY+18.9%
年間購入者は順調に成長。アクティブ会員は20%近い高成長。
一方で、アクティブ会員一人あたりの年間購入金額は42,845円_YoY▲7.8%と減少傾向が続いています。
「それは新規ユーザーが引き下げているのでは?」という質問に対しては以下で回答します。
1年以上前からZOZOを利用している既存アクティブ会員一人あたりの年間購入金額も50,139円_YoY▲5.4%と下がっているのです。
しかも、下げトレンドはずっと続いているので今後も下がり続けることが予想されます。
このKPIの数字がZOZOの抱える一番の課題です。
平均出荷単価も、ずっと下がり傾向が続いています。伴って荷造運賃比率が上がり続けているわけです。
そこで期待されるのがZOZOCOSMEなわけですね。
コスメ商品による単価増および一人あたりの購入金額増を見込みたいという話です。
今後の決算で数字が出てくると思うので楽しみです。
BS確認
・現金:616億円_前期末比+280億円
営業キャッシュフローが大きく改善し447億円。結果的に280億円も現金を積み上げることが出来ています。
短期借入金は200億円ありますが、特に問題ないですね。
新経営陣の体制においては大きな投資は行われず、キャッシュフローが積み上がっていっています。
純利益も増加していますが、それ以上に自己資本が増加しているためROEが悪化。この積み上げた現金を今後、何に投資して行くのかに注目したいところ。
今後の計画
FY22の計画としては取扱高+12.7%と2ケタ成長を見込みます。一方で、営業利益は8.3%成長にとどまる見込みで営業利益率の悪化が想定されています。
こちらは前述の荷造運賃比率の増加等が理由と考えられます。
今後の戦略として3つを打ち出しています。
3つに共通している点は、アセットライトな領域の取組であることです。また、流通総額を上げていくことに対する大きな投資が見られないのも特徴です。
まずひとつ目の「「買う」以外のトラフィックも増やす」です。
”パーソナライズ”はZOZOSUITやZOZOGLASSのことですね。
続いて、WEB接客支援としての機能提供。
そして、ブランドからの広告費、ブランド(含むリアル店舗)への送客などでブランドからのテイククレートを上げることによる利益率改善を見込むことになります。
ただでさえ、30%近いテイククレートを取っているZOZOが更にブランド側から金を取っていけるかというのが本チャレンジですね。
続いて、ブランドに対する商品開発や生産管理の工程におけるサービス提供。
この領域は結構ハードルが高いかなと言う気がしています。
特に需要予測による生産管理の領域です。
アパレルにおける需要予測は本当に難しい(実質不可能ではないかという気すらします)です。
というのも、需要を喚起する機能を1社が持つことが難しいからです。例えば、消費財メーカなどであれば新しい商品の需要を喚起するためのマーケティングを全国的に打ち出し、全国への配架を整備することで流通を作る事がある程度可能ですが、アパレルの場合、大きな機能差分を生むことが難しいので未来の需要予測を仕切るのは困難です。
例えば、ZOZO発のブームみたいなものが起こせるくらいのメディア力が必要です。
少なくとも短期的には想像がつきませんよね。
なので、この取組は言うは易く行うは難し、かと思います。
そして、技術ライセンスの販売です。
ZOZOのSUITやZOZOMAT、ZOZOGLASの技術の外販ですね。
こちらは海外展開していくとのことです。
個人的には、そこまで付加価値が高いものなのかという気がするので、営業力が必要ですが、海外販売に向けた営業力は現状のリソースには無いので、こちらも時間がかかる話かなと思います。
hissyが経営者ならこうする
はい、「もしもhissyが経営者なら」のコーナーです。
私だったら、以下の取組を実施します。
・男性向け教育メディアの構築
・日本初ブランドの越境ECプラットフォームの構築
・男性向け教育メディアの構築
まずZOZOTOWNの利用者は以下の通り年代としては20代、性別としては女性に偏っています。
ZOZOの課題はユーザあたりの購入金額であるわけですが、女性向けの対応としてはコスメ領域の展開によってカバーしていく計画です。
一方で、男性向けの対策というのが少ない印象があります。
元来、アパレルに対する消費金額は女性>男性であるからだとは思いますが、それはむしろポテンシャルであるとも言えます。
男性は女性に比べてもともと、オシャレや美容にお金をかける層というのが少ないですよね。だからといって、需要がないというわけではないです。
日本の男性を「オシャレにする」ための教育メディアというのが不足していることが理由の一つであると考えています。
要は、誰も教えてくれないわけです。
なので、ZOZOが男性向けの「オシャレ」に関する教育メディアを立ち上げることで、男性の需要を換気し男性の利用者および一人あたり購入金額を上げることを狙います。
実質存在しない男性向けの教育メディアを持つことで、需要を生み出すことができるようになります。「ZOZOがスキニーパンツがモテる」という特集を組み、ZOZOTOWNのブランドのパンツを紹介すればだいたい○万着は売れる、といった予測が立てられるようになります。
そうなってくると、ブランドに対する影響力も強くなり広告等でテイクレートを上げることも可能になります。
・日本初ブランドの越境ECプラットフォームの構築
続いて、海外向けの展開です。
ZOZOの持つアセットとして、国内のブランドとの関係性があります。
国内のブランドの中でファーストリテイリングを除くアパレルブランド企業が単独で海外に大きく展開していくというのは困難だと思います。
そこで、ZOZOが越境ECプラットフォームを構築し、マーケティングと物流面を担うことで国内ブランドの海外展開をサポートします。
日本人は購買力が低下していますが、海外は逆に購買力が上がっていることに加えて国内ブランドの海外展開用のチャネルが実質存在していないので先述の男性向けオシャレ教育メディア同様、競争も穏やかなので時間をかけて構築していくことが出来ますし、成功したときのインパクトは大きいです。
また、海外販売チャネルを国内ブランドに提供できれば国内ブランドのPLも良くなっていく可能性が高いのでブランドにとっても願ったりだと思います。
現地でUI面とマーケティングのみを行い、配送はあくまで国内倉庫からの出荷というスキームにすれば失敗してもダメージは小さく済みますし、同時に複数の国・地域にスピード感を持って展開していくことも可能と考えます。
というわけで、私なら新しいブルー・オーシャンを作るための投資をしていきますね。
サマリ
1.増収増益で好決算
2.引き続き会員あたりの流通が下がっている点は課題
3.キャッシュが溜まってきているので次の投資先に注目
4.流通に頼らない成長という戦略が吉と出るかは疑問
PLは引き続き優等生なZOZO。
すごい勢いで積み上がってきている現金の有効な投資先を見つけられるかが次の課題ですね。しかし、ROE50%超は本当に異常ですね(良い意味で)。
お読みいただきありがとうございました。
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