不思議なことがあった女の子の絵

この世で一番好きな絵は何か?と聞かれたら、各々どの絵を選ぶのでしょうか。世の中には数億円という値がつけられ、警備の行き渡った美術館に飾られている絵がたくさんあります。なぜその値がつけられるのかたまに考えてみますが、答えがまだ見つかりません。今までは「たくさんのお金持ちの人がオークションを行った結果その値段」だと考えていましたが、「その絵1枚でどれだけの経済効果が得られるか?」で決まっているような気もしてきました。

私にとって、一番好きな絵は、とあるエッセイの挿絵です。白黒の鉛筆画で女の子がひとり描かれた、ただそれだけの絵。その女の子は後ろで腕を組み、頬に指を添えてこちらを振り向いています。「何か考え事をしているんだな」と、なんの説明もなく解る絵です。考え事をしている、というより、不自然な出来事に遭遇して「あれ?」と振り向いてみた感じです。大したことではないけれど、気になってしまう何かに気がついた女の子。誰かにすぐさま話したいしたいほどではないけれど、気がついてしまった妙に気持ちのいい不思議。

この絵がもし手に入るならば、私はたくさんのお金持ちに混じって、車を一台買うくらいの気持ちまでならオークションに参加できそうです。

さて、この女の子。もう一度その姿を説明しますと、後ろで腕を組み、頬に指を添えて振り向いています。腕が3本あることに、どれくらいの人が気がついたでしょうか。実際に絵を見ても、気がつかないくらい腕は自然に描かれています。それほどの不思議が、彼女には起こったのです。