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高橋飛翔のMaaSミライ研究所

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MaaS(Mobility as a Service)をはじめとするモビリティ革命について、さまざまな観点から検討していく研究マガジンです。
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#モビリティ革命

未来の移動サービスをひと足先に体験!北海道・上士幌町でのMaaS実証実験、視察レポート【後編】

2019年10月にMaaSミライ研究所のメンバーが参加した北海道・上士幌町で行われた「生涯活躍のまち上士幌MaaSプロジェクト」の視察レポートの後編です。上士幌町役場 企画財政課の梶達(かじ・とおる)さんと、MaaS Tech Japanの日高洋祐(ひだか・ようすけ)社長に、今回のプロジェクトの成果と課題についてお聞きしました。 前編「未来の移動サービスをひと足先に体験!北海道・上士幌町でのMaaS実証実験、視察レポート」をご覧になる方はこちら エコシステムの形成が日本版M

未来の移動サービスをひと足先に体験!北海道・上士幌町でのMaaS実証実験、視察レポート【前編】

大雪山国立公園の東山麓に位置し、豊かな自然の広がる北海道は上士幌町。観光客が多く訪れる一方で、移動手段の少なさや、移動の担い手不足など課題を多く抱えています。全世代がいきいきと暮らす「生涯活躍のまち」を実現するためには、どのような移動サービスが必要なのでしょうか? 今回、MaaSミライ研究所のメンバーに2019年10月に上士幌町で行われた「生涯活躍のまち上士幌MaaSプロジェクト」の視察に行ってもらいました。前編では、自律走行バスを使った移動販売や、モビリティのレンタルなど

「過疎地には、人が住んでいるだけで公共的価値がある」東京大学生産技術研究所 大口敬教授×高橋飛翔対談【Vol.3】

東京大学生産技術研究所の大口敬教授と「自動運転時代のモビリティデザイン」をテーマにした対談の最終回です。今回は、日本の地方都市の構造が似通ってしまう理由や、大口教授が期待するベンチャー企業の動きについてお話を伺いました。 日本の地方都市は、なぜどこも同じような構造なのか? 高橋:素朴な疑問なのですが、日本の地方都市は、なぜどこも同じような構造なのでしょうか?幹線道路が走り、大型ショッピングセンターが沿道にポツポツ建っていて…というのがデフォルトになっていますよね。 大口:

「人間にとって幸せなモビリティデザインとは?」東京大学生産技術研究所 大口敬教授×高橋飛翔対談【Vol.2】

東京大学生産技術研究所の大口敬教授と「自動運転時代のモビリティデザイン」をテーマにした対談の第2回目です。前回は、自動運転技術の進歩と次世代のモビリティ社会の関係などについてお話を伺いました。今回は現状のAIの課題や、渋滞が起こるしくみ、人間にとって理想的なモビリティデザインについてです。 「人間のゆらぎ」に対応できるAIはまだ完成していない 高橋飛翔(以下、高橋):以前、女流棋聖の吉原由香里先生から「囲碁の世界では、すでにAIが圧勝している」という話を聞きました。柯潔(カ

「東大教授と考える自動運転の未来」東京大学生産技術研究所 大口敬教授×高橋飛翔対談【Vol.1】

MaaS(Mobility as a Service)をはじめとするモビリティ革命について、さまざまな観点から検討していく「MaaSミライ研究所」。今回は、東京大学生産技術研究所で交通工学に関わる研究をする大口敬教授のもとを訪れ、「自動運転時代のモビリティデザイン」をテーマにお話を伺いました。 ITSの推進によって快適なモビリティ社会を目指す 高橋飛翔(以下、高橋):本日はよろしくお願いいたします。はじめに、大口先生の研究領域について教えてください。 大口敬教授(以下、大

「MaaSは地方の移動課題を解決する」MaaS Tech Japan 日高洋祐×高橋飛翔対談【後編】

株式会社MaaS Tech Japanの日高洋祐社長と「MaaSの今と未来」をテーマにした対談の後編です。今回はMaaSの社会的インパクトについて意見交換をし、さらに、モビリティビジネスを通してどのような社会課題の解決に取り組んでみたいかについても語りあうことができました。 ベンチャーにとって、今がモビリティ領域に食い込む絶好のチャンス 高橋飛翔(以下、高橋):前回、MaaSの未来について話しましたが、自動車産業の未来にも話を広げていきたいと思います。 ちなみに私は10年後

「あと数年で、MaaSの勝ち筋は見えてくる」MaaS Tech Japan 日高洋祐×高橋飛翔対談【前編】

今回のMaaSミライ研究所は株式会社MaaS Tech Japanの日高洋祐社長をゲストに、「MaaSの今と未来」について語った様子をお送りします。 サブスク型の移動サービスは平準化が難しい 高橋飛翔(以下、高橋):まずは、MaaSの概念について、お互いの意見を共有しておきたいと思います。日高さんは、MaaSの概念をどのように捉えていらっしゃいますか? 日高洋祐さん(以下、日高): MaaSについて、自動車業界の方はモビリティの所有からサービスに変わっていく、いわゆる「所

MaaSの定義と世界での事例。そして、日本が目指すべきMaaSのあり方について

MaaSのそもそもの概念は、移動の手段をマイカーに頼らずに、各種の交通手段を組み合わせ最適なルートをシームレスなひとつのアプリケーションで提供しようというもの。自動車に限らずさまざまな交通手段を統合し、交通から都市の在り方を問うていくような試みまで生まれています。現在、欧米では、Uber(ウーバー)などの移動サービスにより、自動車やタクシー業界の市場が大きく変化しつつあります。 MaaSの登場によって、20年後、30年後の私たちの生活はどう変わるでしょうか? 今回は、そもそ

100年後のモビリティ社会を考える「MaaSミライ研究所」をスタートします

はじめに 2年ほど前、父がヤフオクで車を買おうとしているのを見て、私は頭をガツンと殴られたような衝撃を受けました。当時の私には、「車は現物を見て、試乗してから買うもの」という先入観があったからです。 父は、決してITリテラシーの高い人物ではありません。むしろ、当時はLINEを使い始めたばかりのIT超初心者。 そのような人が、ヤフオクで車を探し、業者と交渉をしているという事実に「ものを選び、所有すること」における風向きの変化を感じたのです。そして、この驚きが、新しい事業の種に