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紅萬子さんと30年のこと。12月 紅萬子座長公演「朝焼け旅立ち ヨヨイのヨイ!」は12/6〜8 近鉄アート館

2024年12/6~8の三日間は関西のベテラン名物俳優・紅萬子さん率いる「浪花人情紙風船団」の公演です。

浪花人情紙風船団 第25回さよなら公演 

『朝焼け旅立ち ヨヨイのヨイ!』

作・菱田信也 

12月6日(金)14:00/18:00開演
12月7日(土)13:00/17:00開演
12月8日(日)13:00

開演会場:近鉄アート館 あべのハルカス近鉄本店 ウイング館8階
料金:前売・当日とも 7,000円(全席指定席)
出演者:紅萬子、洋あおい、喜味家たまご、曽我廼家八十吉、南条好輝、鍋島浩、三原あや、浦川ともみ、泉しずか、戸田都康、田村ツトム、田中孝史、大咲せり花、小安展子、小田ゆりえ、森光冬、和泉大輔、松谷圭悟、阪本愛梨、織田梨緒、相生トラ、サーシャ、一谷伸、三浪郁二

浪花人情紙風船団 25回さよなら公演『朝焼け 旅立ち ヨヨイのヨイ!』決定! | 浪花人情紙風船団公式ホームページ (kamifusendan.com)

(あらすじ)
1960年代の高度成長期。とある温泉地の政府登録国際観光旅館に、小さな電子計算機製造会社が慰安旅行に訪れる。
一行を迎えた旅館の女将(紅萬子)を筆頭に、土産物屋、射的屋を含めた旅館側の連中はありとあらゆる誘いを持ちかけ、いちいち小銭を奪い取っていく。さらに「西日本最強の野球拳女王」の異名をとる温泉芸者が女将の命を受け、ヨヨイのヨイ!と次々に金を巻き上げていく。浮かれた社長(曾我廼家八十吉)以下、下品な男性社員たちはまんまとひっかかり、
『健全な社員旅行』のはずの計画はいつの間にかドロドロ、ズタボロに…。
京大卒の青年社員(田村ツトム)は、女性社員が旅館の中でめまいを覚えて苦しんでいることに気づき、この旅館が抱えている最大の秘密であり、弱点を知ることになる。
そして、保険調査員の女、社長夫人(洋あおい)、小物代議士(南条好輝)などを次々に巻き込みながら、奇想天外なエンディングへ。(公式ホームページより

浪花人情紙風船団は2000年に大阪・テイジンホールで旗揚げ。旗揚げ作品は「どうしてこんなに心がときめかないの」。
出演/紅萬子・青野敏行(吉本新喜劇)、久保田磨希 ほか

出会い系サークルで知り合った男女がすぐにラブホテルに入るも、女が男を拒否。その利用は「ときめかないから」。
男は、女が「ときめくまで」待つと言い出し、その日から半年間、ふたりはラブホテルの一室で手ひとつ握らず共同生活を送ることになる―。

この作品は、ほとんど紅萬子さんと青野敏行さんの二人芝居ですが、ラブホテルの従業員役で、上京直前の久保田磨希さんが出演しました(この直後にフジテレビ「大奥」の毒見役「美味でございます~」の決まりセリフで人気者になりました。

私はこの旗揚げ公演から、第七回公演「負けてもイギョラ!」まで、座付き作家として7作を書き下ろしました。
第七作を書いて離れた後、2018年に第18回公演「不思議な、な。」を
11年ぶりに書き下ろしました。

それからあっという間に6年。その間、1995年に紅萬子さんと一緒に活動を始めるきっかけとなった戯曲「いつも煙が目にしみる」を神戸で書下ろし以来26年ぶりに初上演しました。

「紅壱子ひとり芝居~焼け野原にいた女たち」をご覧くださいます皆様へ|燃えよhishidashishidas shinya

いろいろ振り返ってみますと

最初に出会ってからもう30年!!

長いな~~。紅さんと知り合ってから、アホみたいに長かったな~。。。

というのが率直な感想です。

1994年

私が当時の近鉄小劇場で上演した、クソへたくそな芝居を真っ赤なコート着てなぜか見に来て、終わってから「そのうちなんか書いて」とだけ言って帰った紅さん。めっちゃビビりました。

1995年

阪神淡路大震災に被災した私が、地震後にあんまり暇なので描き上げた戯曲「いつも煙が目にしみる」(この4年後に「近松門左衛門賞優秀賞、10年後に読売文学賞を受賞)を読んで、いきなり「これをやるための劇団を作る」と言い出した紅さん。

1996年末

私を小さな劇場に連れ出し、劇場事務所で97年のスケジュールを広げて、勝手に「1月、4月、8月、12月」の各月1回、週末をすべて押さえて「全部、新作書いて」と平然と言い放った紅さん。

2000年の春

新宿2丁目、タイ二イアリスの近所の喫茶店で「映画の”人情紙風船”みたいな劇団始めるから書いて」と言い出した紅さん。*「人情紙風船」山中貞夫監督 1937年

紅さんが最近いきなり始めたXのプロフィールに「大阪を拠点に数々の劇団をスクラップビルドしながら、舞台に立ち続けて半世紀。座長をつとめる4つめの劇団、浪花人情紙風船団もラスト公演を迎えるが、紅萬子の辞書に終わりという言葉は無い。」と書いてはりますが

https://twitter.com/kurenai_manko

考えたら4つの劇団のうち2つは深くかかわらせていただいたということで

つまり私「紅さんに、劇作家として育てていただいた」ということです。

ああ、
うちの娘が生まれて、ちょっと喋れるようになった頃
娘は紅さんに抱っこされながら
「ハロー、マンちゃん」とか言うてたのが
(紅さんが”マンちゃんて言え!”と脅してました)

その娘も26歳で
今は役者やって紅さんとも共演させていただいたりしてるんですから

そりゃあ親も子も紅さんに育てていただいた、てなもんでしょうか。

というわけで
30年間、いつもいきなり唐突な話を言ってきた紅さんから
今年の春に電話をいただき
「紙風船団を25年目で解散するから、ホン書いて」と言っていただき
「光栄です」と答えました。

こうして書き下ろした作品が「朝焼け旅立ちヨヨイのヨイ!」。

内容はあらすじを読んでいただきたいですが、
タイトルに「旅立ち」とある通り
”お互いの新しい旅の始まり”という
意味を込めて書きました。
「紙風船団やめても、どうせ死ぬまで芝居やりますよね?」という
私なりに、紅さんにメッセージを送ったつもりです。

右も左もわからない劇作家志望の28歳に「ものを書いて人に見せる」
チャンスを与えてくれ、
なんとかここまで生かせてくれた紅さんと、
旗揚げに関わった「浪花人情紙風船団」の、さよなら公演。

もうこれはぜひぜひお運びいただき、劇場でこの芝居をご覧いただきたい。


紅萬子さんは現在、すさまじい人気を巻き起こしている映画
「侍タイムスリッパ―」(安田淳一 監督)にご出演され、なんか急に
人気者になってはります(新しく始めたXもいちいち万バズ)。

「朝焼け旅立ちヨヨイのヨイ!」で、金儲けが大好きな守銭奴旅館女将役の紅さんを相手に「京大卒、曲がったことが大嫌いな青年社員」役で、女将と真っ向ぶつかる田村ツトムさんも「侍タイムスリッパ―」では「心配無用ノ介」として大人気です(田村さんも紅さんの演技上のお弟子さんです)。

 今や大人気、必ずや日本アカデミー賞にもノミネートされるであろう、日本映画界を席巻する「侍タイムスリッパ―」に登場する名物キャラふたりが激突する貴重な貴重な生の舞台、ぜひご覧いただきたいです。

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