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NHK「ひきこもり先生」第二話、ギャンパレ、「ナオミの夢」稽古第4週、YCA、撮影、劇場、いろいろやってること。
原案を担当しましたNHK土曜ドラマ「ひきこもり先生」第二話が6月19日、放送されました。
第二話の内容はこちらです👇
NHK土曜ドラマに携わるのは2009年に「再生の町」(NHK大阪)の原案・脚本を担当して以来でした。
「再生の町」は個人的にはものすごく好きな作品で、「あー、いいお仕事だったなー」と思っていますがDVD化されていません。政治的な題材だったのでいろいろ大人の事情もあるのでは。手元には円盤あるんですが。
今回の第二話には私の演劇ユニット「hishidas」のメインメンバー、竹下ポップ、岩佐好益、伊勢美琴が揃って出演させていただきました。
中学生の少年が万引きをしたコンビニの店長が竹下ポップ、少年が補導された警察の婦警さんが伊勢美琴、少年課の担当刑事が岩佐好益という、なかなかのhishidas数珠つなぎにしていただきました。
3月19日に東京郊外で撮影された竹下ポップ出演場面のロケには、私も立ち合わさせていただきました。
モニター越しでもわかる、口元ガチガチ目線キョどったポップさん。
休憩中の竹下さん。制服の下が派手なアロハシャツ。ご本人は大阪ミナミの治安よくない繁華街のコンビニでバイトしていた経験があるそうです。「役作りはバッチリです」と言ってましたが、あんまり意味なかったと思います。
翌日、某スタジオで撮影された警察署シーンには立ち合えなかったのですが、楽屋から写真が送られてきました。
警察関係者とは思えないパンクな二人組。
前日、プロデューサーさんには「明日、背の高い女優がお世話になります」とお伝えしていたのですが、
翌朝スタジオ入りした伊勢美琴にプロデューサーさんが「菱田さんから、デカい女がくるって聞いてたよ」と言われたそうです。
いや、デカい女とは言ってない。
佐藤二朗さんが身長181cmあるので、そんなにデカいようには見えませんでしたね。
第二話が無事にオンエアされてホッとしました。
これで私の任務はすべて終了です。
よく「原案」ってどんな仕事ですか、と聞かれます。
ざっくり言うと「物語の全体設定を作る」です。
登場人物・キャラクター、背景や人間関係、舞台設定、大まかなストーリーの流れ……。あと、一話でクローズアップされた挿入曲「ブランニューパレード」、「Close your eyes」を劇中に使うよう提案しました。
主人公の元ひきこもり中年男・上嶋(うわしま)陽平と、不登校の中学生・堀田奈々とが心を近づけ合うためのキッカケは何がいいのかを考えた時、「歌しかない」と思いました。
当初は「作詞してください」と言われたのですが、こんな54歳のじじいが15歳の少女が聞く歌の歌詞なんか書けるわけがない。むりくり書いたとしても、絶対に説得力も共感性も生み出せません。
悩んだ挙句に探し出したのが、アイドルグループ「GANGPARADE」でした。
物語の時間軸は2019年の初夏が始まりです。この時点で、十代の子供たちに支持されていて、かつ、いわゆる「大人たち」が絶対に近寄っていない希少なアーティストはいないか探しました。
そして出会ったのがGANGPARADE(ギャンパレ)。
なにより「ブランニューパレード」、「Close your eyes」の歌詞が、奈々のように「行き場を見失った若者たち」の思いをダイレクトに代弁しているようで、ああ、もうこれしかないと思いました。
上嶋陽平はひきこもり状態にあった11年間、ネットでアイドルやアーティストの動画を見まくっていて、ギャンパレもよく知っていた。それが、心を閉ざした少女に上嶋が寄り添える大事なアイテムになったのです。
「大人ども」がいくら言葉を投げかけても、奈々は聞く耳を持たなかったでしょう。しかし「歌」の持つ力は、薄っぺらい言葉など軽く凌駕する。これは私が「芝居作り」を通じて何度も痛感したことでもありました。
私も、「生きづらさ」を抱えながら、演劇に身を寄せ、舞台によって救われてきた子供たちと作品を作った経験が何度もあるからです。
しかし、実在のアーティストの楽曲を使うことに支障はないのかという不安があり、まあ、ダメ元で……と思っていたのですが、
提案後、数日経った打ち合わせで「ひきこもり先生」チーフ監督の西谷真一氏から「曲、あれでいきましょう。もう話も通しましたよ」と言っていただき、なによりも西谷監督に「意図」を汲んでいただけたことが嬉しかったことを覚えています。
本当にいい曲を選ぶことができました。おかげで今回の「原案」という、ややこしい仕事すべてが報われました。
ギャンパレは2020年5月に活動を停止したのですが、彼女たちが「人の心に残した歌」を物語に反映させることができました。ありがとうございました。
ギャンパレ、またドラマの中で流れたらいいなあ。
さてこの「ひきこもり先生」は
2019年の末、最初の非公式の打ち合わせ。ここで「元ひきこもりの中年男性が学校の先生になる」という案をいただき
2020年2月3日、製作スタッフと長野へ初の取材旅。これは不登校、ひきこもりという問題を抱えながらも生きるために頑張っている人々にお話を聞かせていただく貴重な機会でした。
この日、ちょうど横浜港にダイヤモンドプリンセス号が入港し、世の中からマスクが一斉に消え、長野の町でマスクを探して歩き回ったことを覚えています。
そして2020年5月に最初の企画・ストーリー案を提出。
2021年の年明けにはすべての仕事を終え、脚本担当の梶本恵美氏に引き継ぎましたので、6月19日の第二話放送までほぼ一年半でした。
私は自分が携わった映像作品には、日頃からクッソ安い出演料にも関わらず舞台を支えてくれているメンバーになんとしても関わってもらいたいと思いながら「いつまでたってもお金にならない舞台」をやっています。その大事な最後のミッションを見届けることができ、これでようやくお役御免。
ドラマは残り3回、続きます。どうか最後までお楽しみくださいませ。
ここにドラマの話を書くのは今回で終わりです。
ドラマのこと、もっと裏の裏までじっくりと聞きたい方は「YCAよしもとクリエイティブアカデミー」脚本家コースにご入校くださいませ。来年度生募集中です。
そして、私が今、大事な人たちと作っているのが8月公演「ナオミの夢」(8月26~29日/神戸三宮シアター・エートー)。
稽古も4週目に入り、舞台での立ち稽古も開始しました。
舞台ではコンビニ店長ではない、ロックバンドの「リードヌンチャクスト」役、竹下ポップ。笑わせどころもない「めちゃくちゃに長いセリフ」を渡されながら、そもそもヌンチャク芸人なのに懸命に芝居してくれてます。
こちらについては随時ご報告します。
今回は配信なしです。劇場に来たら、もう、表じゃ絶対に口外できないこと全部見れますよ。まずはなによりご予約下さい!!👇
5月から週一回、神戸から片道二時間かけて大阪芸術大学に通っております。講師ではなく、放送学科3回生の製作実習作品に「出演」しているのです。
在版テレビ局のドラマプロデューサーを長年務められた森山浩一氏が現在、教授を務められており、森山氏から誘っていただいたものです。
役柄は「まあまあ心が荒んだTVディレクター」役です。
撮影準備中の待機しているところを学生さんに撮っていただきました。
娘に父の活躍を見せようとこの写真送ったら
「闇市にいる人だ」と返ってきました。
誰が「戦後の焼け跡にあった闇市の新聞売り」やねん。
なぜ役者として出ようという気になったのかと聞かれたら
なんか面白そうだったから、しかございません。
二十歳の学生スタッフさんたちが森山教授に怒鳴られまくりながら懸命に走り回っている姿を見ておると、ああ、いいなあ、私もあんなだったかなあ、いやあんなに素直じゃなかったなあと思い出します。
だって、私は二十歳過ぎのころ、森山さんから直々にお電話いただき
「『部長刑事』(昭和の伝説のテレビドラマ)の脚本、書かないか」と言っていただいたのに「見たことないから無理です」と言って断った、天に唾するようなことやったんですから。
そして、私のホームグラウンド「神戸三宮シアター・エートー」。
8月の「ナオミの夢」は「hishidas」の公演ですが、年末にかけて新しい劇場イベントをいくつか予定し、プロデュース作業を進めています。
9月にhishidasのメンバーを中心とした音楽ライブイベント。同じく9月に新しい「一人芝居」の公演。12月にも新しい演劇公演を一つ。
今はこういうご時世ではありますが新しいものを作っておくいい機会です。
ほかにも情報を出したら「おお、そうなんですか!」と笑っていただけるような面白い話がゴロゴロしています。