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マッチングで失敗5 きょん(32)不詳

めっちゃおばさんやん。失敗談。
マッチングの数だけドラマがある。

「きょんです。近所で気軽に会える友達欲しいです。」

「田村です。わりと近所だと思います。近いうちランチでもします?」

「ランチ良いですね。火曜とかはどうです?」

「大丈夫です。」

新宿のビックロで待ち合わせた。
照明が強くて加工は通用しない。

きょんは32才。未婚かは不明。
アップで谷間をみせた写真。痩せの巨乳。

オーバー30はギャンブルだ。

ほうれい線や毛穴が目立つ場合が有る。
たまに美肌に少しやつれ顔のセクシーもいる。

「急に会わないとか寂しいからなしね。」

「問題ない」

ビックロのZARA側の入口で待ち合わす。

後ろ姿。
ツヤ感の無い茶髪。ピンクのカーデ。
左肩にかけたヴィトンのトート。
膝丈のスカートと透けたタイツ。ペタンコ靴。

ゲゲっ、なんか古い。青春が止まってる。

「きょんさん?」

振り向くとデカサングラス。
鼻の毛穴はさらにビッグ。
ファンデーションは嘘と同じくらい塗り重ねている。

雰囲気がブックオ○に売ってる中古みたいだな。ギャンブルに敗れた。

インナーから浅く胸とデコルテが覗く、
首のシワの方が気になる。保湿されてるのか?

ブラはレースの黒がチラ見えした。
なんの喜びもなかった。

早く逃げたい一心だった。
ひきつった俺の顔を見て

「じゃあ、まずはパスタ食べようかー」

リードされている。2軒目は行きたくない。

きょんは歩いてる途中にあるレンタルルームの看板を凝視している。
俺は気づかないフリをしている。

まぁ仕事相手だと思って不毛なランチタイムを乗り切ろう。

「わたし渡蟹のパスタとアイスティー」

「ボロネーゼとホットコーヒーで」

注文を終えるときょんが話し出した。
「アプリいつからやってるの?」

「3か月くらいです。」

「たくさんマッチした?」

「ボチボチです。」

「わたし本当は32才じゃなくて39なの」

み、見えます。39才に。

「性欲を満たしてるんですか?」

「まぁねぇ。女ホル出るから」

サングラスを外した目尻の小ジワが気になる。
言葉が出ない。女ホルも出てないだろう。

「何歳ぐらいの人とマッチするんですか?」

「うーん。大学生から50代までかな」

「20歳下ですか?寝たんですか?」

「あぁママ活ってわけじゃないけど
童貞の子とか多いみたい。」

「ボランティア活動みたいですね」

「下手くそだけど頑張ってるのが可愛いの」

「演技するんですか?」

「いちよね。自信持ってほしいし。」

はたして俺に必要な情報なのか、
どうやって逃げようか目尻の小ジワを見ながら考えた。

せめてヒルドイドクリームを3週間前から塗って整えて欲しかったな。
色素沈着も抑えられただろうに。。。年下と会う前に。

パスタを食べ終える。

「このあとどうしよかっか?」

こいつの唇の下にソースがついてる。
かわいい子だったら取ってあげるだろう。
ほうれい線とソースにしか目が行かない。

「友達と会う約束があって帰ります。」

「あっ、そうなの。あたしは伊○丹に下着買いに行くわ。」

「そうなんですね。手伝えなくてすいません」

「別に大丈夫。」

トラウマになった。
これ以来オーバーエイジとは会っていない。
心がもたないと思った。

帰り道マッチングアプリを消したいと思った。

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