原風景
しあわせだった頃の感覚。
エプロンの匂い
蒸し暑い夜に、寝ぼけて起きた私の目に映ったのはお母さんが1人で西瓜を食べてた姿。
動物園で肩車をしてくれたお父さんの腕。
おじいちゃんのピカピカの金歯
背の低いおばあちゃんの細くて長い脚
夜店の金魚と金魚のうんち
猫のひげ
秋田犬五郎の前足の硬いゴムみたいな肉球
花柄模様のガス炊飯器の周りにこびりついたご飯
道路に水をまいたら、どこからか飛んでくるトンボたち
雨降り前の夕方に飛び交う燕たち
夕方の空に躍り狂うコウモリ
魔法使いになるためいつかかならず飛べると信じて練習した箒🧹ダッシュの走り
ブランコを大きく揺らしたら空まで飛べるかもと不安になった時
人さらいに会うかもしれないと思い、ひたすら走って帰る夕暮れ道
気球の中には宇宙人がいて、子どもをさらうために上から見定めてるので気をつけなければと、いつも空を気にかけてる少女
台所のテーブルにある魚をくわえて成功した猫と目があって、猫がニヤリと笑ったこと。
あんたも共犯者だよ、あんた知ってたのに見てただろと言われたから。
きっと縁の下にあるたくさんの骸骨💀
きっとあるはず。畳の下にある謎の宝探しの地図
南京虫を眺めてたら、壁のコンセントが彼らの家だとわかった日
ノミを見ながら何でこんなにジャンプできるんだろうと不思議
鉄棒した後の手に残る鉄の匂い
原風景
記憶のかけらは、あたたかい。