ERPとアナリティクス/AI
経営インフラとしての統合ERPにおいて、情報資産であるデータの活用・BI分析は、昨今非常に注目されている。
データサイエンスの部署を設ける会社もあるほどだ。
ここでは、トレンドと技術的観点、そして実際に経営管理をしている私の意見も交えて述べてみたい。
IoTの概念
IoTそのものが、私の中でも曖昧だったので調べてみた。その中でしっくりくるものがあったので記載する。
様々なモノがインターネットに接続され、その情報が活用されている状態であり、個別の技術要素ではない。
この前提に立つと、企業は何のデータをどこでどのように取得し、どのように活用するのかを自ら考える必要がある。
CFO組織にとっては、詳細なデータをモノ経由で取得するだけではなく、それを分析するためのシステム構築、組織役割や業務プロセスの定義など、多面的な整備を合わせて行うことが重要である。
アナリティクス
現代はデータの時代ともいえるくらい、多くの種類のデータの相関関係など、これまで見えなかったものが見えるようになった。
例えば、これまでは売上高との関係性が明確でなかった多様なデータの相関を、アナリティクスを用いて見出すことができたりする。
いわゆるBIツール自体への過度な期待は禁物である。確かに経営者の頭の中ではERP導入に際して、将来的にはデータ活用などダッシュボードを見てあれこれ考えた「それっぽい」経営に期待する気持ちは分からなくもない。
しかし、手段と目的に切り分けて考えた場合、多量のデータをシステムに投入するだけで自動的に素晴らしい示唆が出てくるわけではない。
人間特有の鋭い勘というか仮説思考からの切り口が大切だ。
私自身、せっせと手を動かして資料を作ったりデータを集めて分析をすることがあるが、頑張って作った資料や結論をCFOにぶつけた際に、別の角度から突っ込まれたり質問を受けると、もろくも瓦解することも少なくない。(それ自体が面白くもあるが。)
自分より長く会社経営に携わっている大先輩から学ぶことは多い。
話を戻すと、データ分析モデルの構築には、事前に分析の目的と仮説を定義することが不可欠である。
また、アナリティクスを業務に活かすレベルになるには、会計知識と統計分析知識が必要となる。
仮説を立てるための会計知識と、処理手順や分析のための統計解析の知識、である。
もう一つは分析対象となるデータの整備である。つまり分析のインプットとなるデータの品質向上に注力する必要が初期段階では必要なのだ。
経営インフラ(データ基盤)として統合ERPの導入は重要であり、入力の自動化などによる人的ミスを最小化する業務設計は非常に大切となる。
AI
AIに総称される技術の実務への適用は、今後、日常生活やあらゆる業種のビジネスに広がっていくであろうが、現在AIの発達を決定づけた深層学習は、結論に至る論理的な説明がつかない。
つまり、データの相関や傾向によって結論は出せるが、「なぜこうなったか」という定性的な論理説明がなかなかできない。
これでは、結論までのプロセスがブラックボックス化するので、例えば外に出す業績予想や、決算発表の説明、といった領域は、根拠の明確さが必須となるため、ヒトの知恵が必要だ。
私自身、2020年度の予想作成と決算開示業務は、初めてであったが、負荷による大変さを身に染みて感じると共に、プロセスを踏む中で磨かれる勘や仮設思考を手を動かす中で体験できた。
まとめ
今行っている業務が10年後もあるか?という問いかけに対しては、非常に応えるのが難しい。
なくなってはいないだろうが、形は大きく変わっているはずだ。
私自身、テクノロジーと相対しながら、自身の価値を問い直し、よりよい経営管理という理想に向かって、日々精進し、業務を推進したい。
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