小山田児山

そこは終わりではなくて、一つの始まりだった

嬉しい記事を見た。
元スワローズの児山祐斗投手を紹介した記事。
スワローズを戦力外になった後、藤井ちゃんも所属していたシティライト岡山に入って2年半。チームに欠かせない先発投手として、今年、都市対抗初出場への原動力となった。

経歴を紹介する文もインタビューも丁寧で、今の児山くんの声を届けてくれる。ああ成長してるんだと思えて感慨深い。
いいコラムを見ると、いつも名前を確認する。書かれたのは井上幸太さん。
そうか!と納得。井上さんにはお会いしたことがある。うぐさんのトライアウトの時。文春野球コミッショナーの村瀬さんにご挨拶した時、紹介して頂いた。スポルティーバに普段書かれている方だ。
その後お見かけしたうぐさんのトライアウトの記事は、とても丁寧にうぐさんの声を届けてくれるものだった。感想を送り、返事を頂いた。

「鵜久森選手、報道陣の輪が解けるまで取材を打ち切ることなく、丁寧に回答をいただきました。私が鵜久森選手を取材するのは初めてでしたが、今回だけでもその実直さ、人柄の一端を感じさせていただきました」
頂いた言葉が、とても嬉しかった。
書かれたご本人のお人柄も察せられる。

そんな井上さんの書かれた記事。
児山くんのことは、高校の頃から見ていたそうで。
判定に不服そうな顔をよく見たこともあり、幼い気がしたと。それが、今は精神的にすごく大人になった。優しく、強く、「いい男になったなぁ」と感じられたのだと。
その言葉がとてもとても、温かく心に響く。
その成長に、泣きたいような嬉しさの感情がこみ上げる。

2016年に戸田で少し見ていただけだけど、児山くんを忘れたことはない。その時高卒3年目だった。登板してもピリッとしない投球が多く、投手コーチだった成本さんにはドヤされることの多い日常。
ノックでへたり込む場面も何度もあって、心の中で頑張れ、もっと踏ん張れ、と叱咤激励を続けていた。
ファンとのキャッチボールイベントでは、ジュリアスと一緒にキャッチボールをしてくれた。ジュリアスは毎日部屋に行くぐらい仲がいいという話をその時聞いた。
一度も一軍の登板なく、まさか高卒3年で切られるとは、本人も周りも思わなかったんじゃないだろうか。ジュリアスも、きっと奎二くんもショックは大きかったはず。
甲子園でのトライアウトは見に行った。渚さん、寺田くん、竜平、江村くん、貴くん、そして児山くん。最後のスワローズユニを見送った。

長男と同い年だ。ずっとその歳を忘れることはない。まだ23歳。

それまでのこと、それからのこと、知っていることは少ないけれど。
彼を知り、彼を思う温かい文章が、届いた懐かしい手紙のように思えて胸がじんわりと熱くなる。たくさん苦労して、たくさん努力して、ここまで来たのだろう道のりを、少しでも知ることが出来るのは幸いだ。
幸せな気持ちで、またもう一度応援に行くことが出来る。
そうして、その人の成長した姿を見られるのだから。

アマチュア野球を中心に書かれている井上さんは、以前に「私が取材で関わった高校球児がヤクルトに入り、HISATOさんに応援されるような形になったら面白いなぁ…と思っていました」ということを言って下さったのだけれど。
ヤクルトで見ていた選手が社会人に行き、井上さんに取材され、私が読んで温かい気持ちになって、また応援に行く。
そんな繋がりも、なかなか素敵だなと思う。

NPBが野球の全てではない。その人のピークとは限らない。
戦力外、というそこから始めて、野球においても人間性においても成長したこの2年半は、彼の人生の中で、とても大切な時間だったのだろう。
都市対抗が楽しみだ。


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