大地に強く根を張る大樹のように
昨年富山GRNサンダーバーズの試合を8試合ほど見た。
8試合のうち3回はフローレスが先発だった。ホームビジター取り交ぜて、時期もまちまちなのに、だ。
特に昨年の前半は、先発投手が何回もしないうちに降りてしまい、中継ぎが疲弊したり兼任投手コーチである乾さんが頻繁に登板する羽目になっている中、フローレスは抜群の安定感で長いイニングを食ってくれた。
ローテにドンといてくれる、太い柱のような投手だった。
昨季新入団の外国人投手。どんな投手なのか、どんな人柄なのか、分かる前にもうその安定感にファンは縋りついた。その信頼は、シーズン通して変わることはなかった。
千葉ロッテに育成選手として入団したホセ・フローレス。30歳。
二軍で教育リーグと練習試合に登板し、12イニング無失点と好投を続けた。26歳以上の年齢の育成選手は、3/31までに支配下登録するかどうかを決めることになる。このほど他の育成選手に先んじて、見事支配下登録を決めた。
ニュースを聞いて「そうだろうそうだろう」と一人頷く。昨季富山を見ていた者なら誰でも知っている。本当に頑丈でいい投手なのだ。
がっちりした体格。冬でも半袖を着ていて元気で明るい。夏の暑さにも強い丈夫な体。力のある球。
昨シーズン通して乾コーチに話を聞いていたので、フローレスのことも何度か聞いた。
最初はクイックが苦手で、本人がそれを克服しようと毎回タイムを測って何度も何度も練習し続けたのだと言っていた。ロッテでのテストの際は、自分からクイックを見てくれとアピールしていたというから、今は自信があるのだろう。
乾さんが投げる球種を「どうやって投げてるのか教えてくれ」と頼みこみ練習したともいう。
「完コピされました」と乾さんは笑っていた。「意識が高い選手で、キャッチボールもすごく力を入れてずっとやっている」。
昨季のフローレスは夏場もバテた様子を全く見せなかった。
長いイニングを投げ、「他の投手も投げさせなきゃいけないので代わってもらった」という時でも、「まだ行けるって本人は言ってました」
何度も言うが本当に頑丈な投手だ。22試合を投げて9勝7敗。防御率は2.00。完投勝利が1回あった。負け数こそ嵩んだが、力は誰もが認めていた。
ロッテでもまずは先発だという。
意識の高いフローレスのことだから、きっとロッテでもたくさんのことを吸収しているだろう。指導者もトレーニング方法も食事も体のケアも生活も、何もかもが良くなった中で、より一層努力しているだろう。
一軍で投げる姿が今から楽しみだ。
先の見えない今シーズンでも、小さく灯った明るいニュース。
ロッテはきっとファンもチームも外国人に優しい。どっしりと根を張り、長く在籍して、たくさん活躍して、たくさんの人に可愛がられる選手になってくれたらいいなと思う。
敵としてかもしれないが、一軍の試合で会えるのを楽しみにしている。
BCリーグを見ていると、人の入れ替わりはとても激しい。
でも、1年でも見ていた選手はもう他人ではなくなる。NPBへ。他のチームへ。就職して軟式野球へ。別の世界へ。どの選手も元選手も、応援していたい。次のステップへ。次のステージへ。
好きな言葉は「Be Happy」だというホセ・フローレス。
今までで一番ハッピーなシーズンが過ごせるように。
Buena suerte.
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