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#186 地方のポテンシャルは高い!いなべ阿下喜ベース視察レポート

2月19日、20日
泊まりでいなべ阿下喜ベース の視察に行ってきました。

この施設は、木下斉さんが所長を務めるオンラインラボ「LDL」のメンバーが運営に関わっており、温浴施設の再生プロジェクトとして注目されています。

いなべ市からの依頼を受け、赤字体質だった温浴施設を再生する形でスタートした 「いなべ阿下喜ベース」。

視察を通して感じたことや、現地で聞いた話をもとにレポートをまとめます。


いなべ市のポテンシャルと温浴施設の再生

いなべ市は人口約4万人の地方都市で、キャンプ場やアウトドアが盛んなエリアです。
この地域特性を活かし、いなべ市が運営していた温浴施設の再生プロジェクトが始まりました。
単なる温泉施設の再生ではなく、「サウナの付加価値」「観光案内の要素」などを取り入れ、 地域に根ざした複合型施設 へと進化しました。

特に 施設のゾーニング にはこだわりがあり、横長の建物の特徴を活かして「飲食」「日帰り温泉」「有料サウナ棟」に分ける設計にされました。


レストラン棟・温浴棟・サウナラウンジに分かれた施設案内

入口には大きな黒板を設置し、近隣の観光スポットや店舗情報を掲示し、街歩きをしたくなるような導線設計を演出する、といった工夫が施されています。

玄関すぐにある近所さんぽを促す黒板のマップ

サウナ・施設のコンセプト


いなべ阿下喜ベースのサウナは、日本の伝統的な銭湯とは違い、 フィンランドやドイツの文化を参考にした設計 になっています。

ヨーロッパでは、老若男女が日常的にサウナを利用する文化がありますが、日本ではまだハードルが高い部分もあります。

そのため、ここでは 「自然体な自分に戻る」 をコンセプトに、誰でも入りやすい工夫がされています。

サウナエリアは男女混合利用のため、比較的低温設定のサウナにし、肌露出の少ないポンチョを着たままでも入れる環境設定にするといった工夫や、
私自身初体験だった、サウナ内の蒸気を大きなタオルで室内に攪拌(かくはん)させたり、利用者に向けて蒸気を送り込んだりする、パフォーマンス込みの体験「アウフグース(もともとは職業名だそう)」などの非日常な体験も取り入れ、
初心者から、様々な層に気軽に利用できる仕様になっています。

地域との連携とビジネスモデル

運営会社の代表である 宮本正樹さん は、和歌山県の人口1万人の町の出身。

大規模展開ではなく、小規模な店舗を掛け合わせる形で町を盛り上げていく地元の文化浸透が生活の中で醸成されていたと言い、
その考え方を、いなべ阿下喜ベースにも落とし込んだ形です。

地元の資材を活用した内装・インテリア、地元の店舗(上木食堂から⇒新上木食堂へ)の移転出店、など地元の関係業者と密接に連携しながら進めていきました。

また、 いなべ市長の存在も重要なポイントとなっており、キーマンと言えます。
市長は地域の内外の人々と積極的に会う風通しのいいタイプの性格であり、民間との連携を重視するタイプ。このプロジェクトの大きな推進力となったそうです。


風通しのよさを感じるいなべ市庁舎

その結果、行政との壁が低く、スムーズな開業へとつながりました。(いや、紆余曲折は間違いなくあったでしょうが、、、)

地方のポテンシャルを最大限に活かす 都心部ではできないこと

この視察を通じて、改めていなべ市に限らないですが、地方のポテンシャルの高さを実感しました。

都心部と違い、地方では スペースを比較的贅沢に使うことができるため、多様な用途に対応できる施設設計が可能です。

例えば、いなべ阿下喜ベースでは、

・カップルのデートや旅行の拠点
・ビジネスマンのワーケーション
・家族連れがそれぞれのスタイルで楽しめる空間(サウナスペースは中学生以上が利用可能)

など、利用者ごとの多様なニーズに対応できるつくりになっています。

都心部では「坪単価〇〇円」といった制約の中で最大効率を求める必要がありますが、ここでは 宮本代表のセンスとこだわりを大いに盛り込むことによって、地方ならではの魅力が最大限に引き出されています。

実際、最近LDLのメンバーが渋谷の商業ビルのテナント賃料を見て「目が飛び出るほど高い」と話していたことも思い出しました。都会の一等地では、いなべ阿下喜ベースのような 「余白のある空間」 を作ることは難しいですが、地方ではそれが可能なのです。

視察を終えて、自分のフィールド(寺院)に置き換えて

今回の視察を通じて、私は 「地方のポテンシャルはまだまだ高い」 という確信を持ちました。

これは、私が携わる寺院運営にも応用できる考え方ではないかとも思います。

地方の寺院は「何もない」「人が来ない」と嘆くのではなく、
「地域資源は何か?」を見つめ直し、それを活かした運営をすることで、十分に生き残ることができるはずです。

この視点は、私が京丹後狂犬ツアー(by木下斉)に参加して以来、ずっと考えてきたことでした。その後、LDLに参加するきっかけにもなったこの考え方が、いなべ阿下喜ベースでさらに確信へと変わりました。

地方には、面白い可能性が溢れている。

その可能性に気付かず埋もれている地域が多くあるはずです。
そのことを、強く実感させられる視察でした。

今後の展開

更に宮本社長の構想は躍動します。
キャンプ場との連携、
「はたけの日」と称した農作業体験イベントの開催、
病院が近くにあるという立地を活用した健康診断(人間ドック)後に活用してもらうプラン提案、
いなべ市民向けのチケット配布、
サウナ利用権を付与した大手企業従業員向け賃貸マンションの開発、
などなど。(まだまだ聞き漏らしてしまったことがありそうなぐらい)

すでに成長を続けているこの施設が、さらに地域の拠点として進化していくことが期待されます。

最後に

いなべ阿下喜ベースの視察を通して、地方の特性を活かした施設設計の重要性、地元資源を生かしたビジネスモデル、行政との連携が持つ力、「(スペース的な)余白」がもたらす新たな価値
といったポイントを改めて学ぶことができました。

都心部では実現しづらいことも、地方ならではのアプローチで成功させることができる。地方にはポテンシャルがある。

この視点を、私自身の活動にも生かしていきたいと思います。

今回の視察は、とても刺激的で学びの多い時間となりました。

引き続き、地方の可能性を探りながら、新たなチャレンジを考えていきます。


追伸:宿泊施設もあります!書ききれなかった~~
それだけ、充実感たっぷりの施設ってことで!!



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