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#178 機能的価値と意味的価値

先日、お付き合いのある京都信用金庫さんから、とあるセミナーへの参加を勧められました。
全3回にわたる講座で、テーマは
「付加価値向上と人材育成について考える」
このテーマを聞いた瞬間、「面白そうだな」と興味を持ったのだが、第1回はすでに出張の予定が入っていた。せっかくの機会なので、第1回は代わりに妻に参加してもらうことにしました。

後日、妻を通じてセミナーの資料を受け取り、目を通してみたところ、やはり非常に興味深い内容だった。特に「機能的価値」と「意味的価値」の違いについての議論と、それを自社の強みや付加価値向上につなげるためのワークは、「参加できたらよかったのに!」と思う内容でした。


「機能的価値」と「意味的価値」とは?

機能的価値とは、「役に立つ」ことに焦点を当てた価値だ。たとえば、車なら「速く走れる」「燃費がいい」、宿であれば「画一的な安定したサービスの提供」といったビジネスホテルチェーンのように。便利さや性能の優位性がこれにあたります。

一方、意味的価値とは、「それが持つ意味やストーリー」に関わる価値だ。車であれば、「〇〇年製のヴィンテージものの車」、宿であれば、「女将が客に合わせたオンリーワンの対応をする歴史のある老舗温泉旅館」といったように、感情や文化的な背景が関わってくる。

このテーマを聞いたとき、真っ先に山口周さんと水野学さんの共著『世界観をつくる』を思い出した。彼らの提唱する「感性×知性」の仕事術と、「機能的価値」と「意味的価値」の考え方は非常に近いものがある。本書の中でも、単なる「役に立つもの」から「意味のあるもの」へと価値の重心を移すことの重要性が説かれています。

そして、日々、久柳としても、重きを置くべきは「意味的価値の向上」だと改めて感じているところです。

なぜ「意味的価値」が重要なのか?

機能的価値は、誰もが追求しやすい。
技術革新が進み、情報が広く共有される現代では、どんな企業もすぐに似たような機能を持つ製品やサービスを提供できる。その結果、価格競争に巻き込まれ、利益率が下がるという負のスパイラルに陥りがちです。

しかし、意味的価値は、企業の独自性や哲学に基づいたものであり、簡単に模倣できるものではない。
久柳でも、お布施をくださる檀家さんのモチーフとなる柄や模様を袈裟に反映させることで、単なる法衣ではなく、檀家さんの心に働きかけるものづくりを大切にしています。
このような「意味的価値」はどんどん磨いていきたい重要なことのひとつです。

最近、袈裟や法衣でもある意味で「機能的価値」を追求した化繊のものも扱われることが増えてきました。僧侶が法要の際に身につけるべき「ユニフォーム」的な位置づけであり、その基本的な役割は変わらない。
しかし、それだけでは価格競争に巻き込まれてしまう可能性があります。

一方で、そこに「個々の檀家さんの想いや歴史が織り込まれた袈裟」があれば、それは単なる法衣ではなく、「自分たちの大切な想いが表現された特別なもの」になり、これこそが、久柳が目指す「意味的価値の向上」なのです。

これからの時代に求められる価値

現代は、モノがあふれ、機能的価値だけでは差別化が難しい時代になっています。そんな中で、消費者が求めるのは「意味のあるもの」になってきます。単に便利なものではなく、そこに物語や哲学が込められたものこそが、選ばれていくでしょう。

今回のセミナーの第2回、第3回には、今度こそ自分自身で参加できるので、引き続き「付加価値向上」について学びを深めていきたい。そして、久柳のものづくりにどう活かせるかを考えながら、自社の強みをさらに磨いていくつもりです。

そうした視点を大切にしながら、これからも「意味的価値の向上」に取り組んでいきたい。



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